
生命保険へ加入する時は入院特約も付けておいた方がいい?
万が一の時の備えとして生命保険の加入を検討する場合、あわせて入院特約の付加もおすすめされることがよくあります。保険料負担が増すからと付加を検討しない人もいるようですが、本当にそれでいいのでしょうか。今回は生命保険への入院特約の付加について考えていきます。特約とはどのようなものか、付加することのメリットやデメリットを中心に見ていきましょう。
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入院特約だけではない! 生命保険の特約の種類について
保険商品は「主契約」と「特約」に分かれています。主契約は「終身保険」「医療保険」「がん保険」など、単独でも加入できる保険です。反対に特約は単独での加入ができません。必ず主契約に付帯する形で加入しなければならないという特徴を持っています。
生命保険に付加できる特約は入院特約だけではありません。まずは入院特約以外で付加できるさまざまな特約について確認してみましょう。
ある期間の保障を手厚くする保険
代表的な商品に「定期保険特約」があります。生命保険に加入しているが、ある一定の期間だけ死亡保障を手厚くしたいと考える人のための保険です。
終身保険などに定期保険特約を付けることで、保障期間は死亡保障の上乗せができます。「子どもが学生の間だけ」「配偶者が再就職するまで」など、永続的ではなく一時的に保障金額を上げたい場合に検討したい保険です。
特定の疾病の保障を付けたい時の特約
「がん保障特約」「三大疾病保障特約」がこれに当たります。「がん保障特約」は、がんの診断・入院・死亡時に給付金が出るという特約です。保障対象になるがんの種類は保険会社ごとに違いますので、加入時に必ず確認しましょう。
「三大疾病保障特約」はがん・急性心筋梗塞・脳卒中で所定の状態、もしくは死亡・高度障害を負った時に給付金・保険金が出る保険です。「所定の状態」が何を指すのかは保険会社によって違います。がん保障特約と同様に確認が必要です。
女性ならばぜひ加入しておきたい特約
死亡保障も入院保障も付けているという女性にもぜひおすすめしたいのが「女性疾病特約」です。子宮・乳房の病気など、女性特有の疾病での入院の際、今加入している入院保障に上乗せして給付金が出ます。手術を受けた際に給付金が出るタイプの商品もあります。
生命保険に追加する入院特約には、どんなメリット・デメリットがあるの?
生命保険に追加する入院特約ですが、どのようなメリット、そしてデメリットがあるのでしょうか。
医療保険単独で入るより楽? 入院特約のメリット
入院時に給付金が出る保障といえば「医療保険」がありますが、単独で入る医療保険に比べ入院特約にはお得な面もあります。
それは複数の契約を管理する手間が省けるところです。死亡保障と入院保障が欲しい場合、生命保険と医療保険にそれぞれ加入すると保険料を別々に支払わないといけません。またそれぞれ違う保険会社に加入してしまうと、毎月の保険料引き落とし日が違う可能性もあるためさらに管理が難しくなります。
入院保障部分を特約にすると、保険料は主契約に上乗せされるため、引き落としも同時に行われます。引き落とし前に口座にお金を入れ忘れるというミスも減らすことができるでしょう。
単独の医療保険、そして生命保険に入院特約を付けたもの2つに加入していると、入院した時にどちらの保険からも給付金が出るというメリットもあります。保険料はそれなりにかかりますが、保障金額を引き上げたいと考えている人は医療保険と入院特約、2つの保険への加入を検討してもいいのではないでしょうか。
入院特約だけでは契約できないというデメリットも
入院特約には「単独で加入することができない」というデメリットもあります。途中で終身保障(主契約)が不要になったからと解約してしまうと入院特約も消滅するのです。
もし主契約を解約後も入院保障は継続したいと考えるのならば、主契約として医療保険へ加入しないといけません。改めて医療保険に入ることを検討するならば「契約時点での年齢で保険料が計算されるため、あとから契約する方が負担が大きくなる」「新たに健康告知が必要になるため、健康不安があったら加入できない場合もある」という点も留意してください。
次のデメリットは保険料の支払い方法についてです。主契約の生命保険商品の中には「60歳払い済み」「70歳払い済み」という商品もあります。もしこのような主契約の商品に入院特約を付けたら、主契約が払い済みになる時点でその後の特約保険料をまとめて支払うことを求められる場合があります。予想以上に金額が大きい場合もありますので気を付けましょう。
また、入院特約以外にもいくつか特約を付加したいと考えている場合も要確認です。特約によっては重複して付けられないものもあります。
生命保険に付加する入院特約と医療保険、保障内容はどう違う?
入院した時の保障には入院特約、そして医療保険があることをご説明しましたが、これら2つの保障内容は違うのでしょうか。
入院給付金の出る条件はどう違う?
「入院日数に応じて入院給付金が出る」という部分はどちらも同じです。ですが、保障内容は少し違いがあります。例えば、主契約の医療保険は日帰り入院から給付金が出るタイプのものがほとんどです。
しかし生命保険に付ける入院特約の入院給付金については、入院1日目から給付金が出るものの、1泊2日以上入院しないと給付が認められないものもあります。
近年は入院期間が短くなる傾向があります。厚生労働省の「平成26年 患者調査」によると平均在院日数は31.9日です(※1)。しかも0~14日の入院の人の割合が67%と非常に高くなっています。こういった統計をふまえて考えると、日帰り入院や短期間入院に備えた保障も考えておく方が良いといえますね。
手術給付金の有無にも要注目
手術給付金も違いがあります。現在ほぼすべての医療保険は手術給付金が出ますが、入院特約では手術給付金が出ない場合もあります。白内障やヘルニアなど入院せずに手術をすることも増えていますよね。入院はもちろん、手術にも備えたいという場合は生命保険に付ける入院特約だけでは対応できない可能性があることも覚えておきましょう。
入院特約で必要な保障がカバーできているか、きちんと確認を
生命保険に加入する時に入院特約を付帯することで入院した時も給付金を受け取ることが可能です。死亡保障・入院保障をひとまとめにすることで管理がしやすいという利点もあります。
入院特約を検討する時は「入院何日目から給付されるか」「手術給付金は出るのか」も確認の上で契約するようにしましょう。
■プロフィール
田尻宏子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。2016年からライター活動中。以前は複数の金融機関で勤務。その頃培った知識を元に「よく分かる金融情報」をお届けしています。
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