医療保険と生命保険はどっちに入る?それとも両方入る?
保険について「入りたいけれど内容がよくわからない」「医療保険と生命保険、どっちがいいのかわからない」と思っている人は多いでしょう。加入したくてパンフレットを取り寄せてみたけれどもよく理解できず、結局そのまま入らなかったという話もよく聞きます。
そこで、今後保険加入を考えている人のために、代表的な保険商品「医療保険」と「生命保険」について解説します。「どっちに入った方がいい?」「医療保険と生命保険どちらも必要なの?」と気になっている人は必読です。
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どんなときに給付される? 医療保険の特徴について
医療保険とはどのような保険なの?
医療保険は「生きている間のための保険」です。病気やケガで入院したときに給付金が出ます。入院1日当たりの給付金額は加入時に決められていますが、女性ならば「女性疾病特約」という契約を付けておくと、子宮がんや卵巣疾患など女性特有の病気の場合は給付金が上乗せされます。
また入院だけでなく、手術や通院時に給付金が出るタイプの医療保険もあります。手術は日帰り手術でも給付されるのが一般的ですが、通院給付金に関しては給付金の対象になっている入院の後の通院にしか支払われません。(入院前の通院でも給付金が出るタイプの商品もあります)
医療保険の給付金に支払い限度はない?
入院、もしくは手術・通院時に給付金が出る医療保険ですが、1回の入院につき60日までなど給付金の支払い限度があります。また、通院給付金も同様に「入院の後、最高30日まで」等の制限があるため注意が必要です。
長期の入院を想定して加入する場合は入院給付金の支払い限度を「120日」にすることも検討しましょう。ただし、支払い限度日数を長くすればそれだけ毎月の保険料も上がることを忘れないでください。
医療保険の重要な役割とは?
医療保険には「公的保険」の補助としての役割もあります。ご存知の通り日本は「国民皆保険制度」を取っている国です。勤務先の組合健保、もしくは自営業の場合は国民健康保険に入っていれば病院に支払う入院費用や治療費は3割負担で済みます。(現役世代の場合)
ですが、入院すると病院に支払う治療費以外にも差額ベッド代・食事代、そしてお見舞いに来る家族の交通費などさまざまなお金がかかります。自分で民間保険会社の医療保険に加入していればそれらの出費のカバーが可能です。
誰に支払われる? 生命保険とはどのような保険?
生命保険は何を目的とした保険なの?
医療保険は「生きている間のための保険」ですが、生命保険は反対に「残された人たちのための保険」です。加入者(被保険者)が亡くなったとき、受取人に指定されている人に保険金が支払われます。
生命保険には保障が一生涯続く「終身保険」と保証期間が区切られている「定期保険」があります。毎月の保険料は定期保険の方が終身保険よりも低くなりますが、定期保険を満期後も継続するならば更新時の年齢で保険料が決定しますので注意しましょう。
終身保険は定期保険に比べて保険料が高くなります。しかし一定期間以上保有して解約すると解約返戻金が今までの払込金額を上回る場合があります。貯蓄目的としての利用方法もある保険です。ただし、払戻金目当てで解約をすると死亡時保障もなくなってしまいます。貯蓄として利用するときはよく考えてから行いましょう。
保障金額はどうやって決める?
生命保険に加入する時にいちばん頭を悩ませるのは保障金額をどうやって決めるかです。生命保険は自分(加入者)のための保険というより、残された家族のための保険です。家族の生活費がいくらほど必要かを考えて保障金額を決める必要があります。子どもがいる場合は学校を卒業するまでの教育費ももちろん含めないといけません。
保険会社のサイトでは家族の年齢や収入を入力すると必要な保険金額を算出することができます。ぜひ試してみてください。
保険金に関する税金も要チェック!
さて被保険者が亡くなって受け取る保険金ですが、受け取り時に税金がかかります。契約者、受取人が誰になるかでどの税金がかかるかが決まります。詳細は以下の通りです。
●契約者=受取人、被保険者のみが違う場合……所得税
●契約者=被保険者、受取人のみが違う場合……相続税
●契約者・被保険者・受取人がそれぞれ違う場合……贈与税
どの税金がかかるかで支払う金額は違います。「誰が受け取るか」もよく考えてから加入しましょう。
どっちを選ぶ? 医療保険と生命保険
医療保険と生命保険、2つの保険の特徴をそれぞれ述べましたが、自分が入るとすればどちらを選べばいいのでしょうか。
はじめに自分の置かれた状況を把握しよう
生命保険の場合は自分が亡くなった後に残される家族がいるのか、もしいたとしたら彼らにどのくらい収入があるのかを確認してください。
残される家族がいない、もしくは家族皆に十分な収入があり経済的には困らない場合もあるでしょう。その際は加入しない、もしくは葬儀代や家族にも負担してもらうことが予想される治療費に間に合うくらいの必要最低限の保障でいいかもしれません。
医療保険に加入するかは自分の現時点の預貯金額を考慮してから決定してください。今病気になったとしたらすぐにお金を払うことができるか、治療費で預貯金を減らしてもその後の生活が困らないかを考えましょう。
また医療保険に加入する場合、女性であれば「女性疾病特約」の付加は必須だといってもよいでしょう。女性特有の病気だからといって治療費が大幅に違うわけではありません。しかし、がん治療時の脱毛に対応する「かつら代」や乳がん治療で乳房を切除し再建する場合にかかる費用の助けにはなるはずです。
1つの保険にしか入れない! どうすればいい?
理想としてはどちらの保険にも加入した方がいいのですが、どうしても1つしか入れないという場合はどうしたらいいでしょうか。
まだ働いていない子どもなど扶養家族がいる人は「生命保険」を、扶養家族がいないならば「医療保険」を優先させるのがベストかと思われます。
その理由ですが、医療費には「高額療養費制度」があり、多額を支払ったとしても一定金額以上は後ほど戻ってきます。しかし、扶養している家族は自分(保険加入者)が死亡後、すぐには働くことができない可能性が高いためです。
扶養する家族がいないのならば、自分の入院生活の充実を実現させるために医療保険に加入しておきましょう。
医療保険か生命保険か、自分の状況に合わせて適切な保険選びをしよう
生きている間のための「医療保険」、自分が亡くなった後のための「生命保険」。同じ保険でも全く性質が違います。
もちろんどちらの保険も大切ですが、どうしてもどちらかを選ばないといけないのならば、自分の家族構成、預貯金、自分や家族の仕事のことを考えてから加入する保険を決めるようにしましょう。
プロフィール
田尻宏子
2級ファイナンシャル・プランニング技能士。2016年からライター活動中。以前は複数の金融機関で勤務。その頃培った知識を元に「よく分かる金融情報」をお届けしています。
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