医療保険は美容整形をしていても加入できる？保障の対象になるのか、気をつけたい点

美容整形に医療保険は適用されるのか

医療保険の広告には、「入院・手術を保障します」と書いてありますよね。では、美容整形はそのうちに入るのでしょうか。結論から言うと、医療保険には美容整形の費用まで保障しているものはほとんどありません。

これは、医療保険は一般的に公的な健康保険にプラスして保障をする保険のため、あくまで病気や怪我の治療に対して保険金がおりるものであるからです。

ただし、まったく利用できないというわけではありません。場合によっては医療保険が適用されることがあります。腋臭症や眼臉下垂（がんけんかすい）など、医師に病気と診断されてその治療のために整形を要する場合には、「治療のための入院・手術」に該当しますので、医療保険による保険金が利用できます。つまり、病気治療のための手段として整形手術を受ける場合は保障されるということです。

医療保険加入時に告知する必要はある？

医療保険に加入するときも、生命保険と同様に“告知”という手続きがあります。保険会社からの質問に沿って、健康状態や過去の病歴・通院歴などを伝えるものです。この時は必ず事実を正確に伝える必要があります。告知の内容に虚偽があった場合、保険会社から保険契約を取り消されることもあります。

では、「過去に美容整形をしたことがある」という事実は告知する必要があるのでしょうか。

保険には、加入者の負担をできるだけ公平にするという原則があり、この原則を守るために告知が存在します。負担が偏らないように告知で健康状態など把握し、保険加入者を選別することによって負担の公平性を守っているのです。

以上のことを鑑みると、美容整形の場合、告知する必要があるときと不要なときがあるといえます。

告知が必要か不要かについての判断は、過去に行った美容整形が病気や怪我の治療目的であったか否かということで決めると良いでしょう。美容整形は、機能的に問題のない箇所を美容目的で治療する場合と、先述した眼瞼下垂や腋臭症の治療のように医師が病気の治療目的で処置する場合とに分けることができます。前者の美容目的での治療は、医療保険告知の趣旨に照らせば告知は不要であると考えられます。逆に、後者は病気の治療目的で処置を行なっているので、告知が必要であると考えられるのです。

告知には質疑応答義務がありますから、聞かれたことに関しては正直に答えるべきですが、聞かれなかったことに関してこちらから自発的に言わなくてはならないということはありません。美容目的の処置をしたことがあった場合、「病気や怪我を治療したことがあるか」と聞かれたら告知する必要はありませんが、単に「入院や手術をしたことがあるか」と聞かれた場合には該当するので、告知する必要があるでしょう。

美容整形を保障してくれる医療保険はあるのか

基本的に保険は予期せぬリスクに備えるものですから、自発的に受ける美容整形に充てるものではありません。しかし、病気と診断されたものを治療する場合であれば医療保険が適用されますから、医療保険の約款をよく確認することが大切です。

美容整形をする際に、それが病気や怪我の治療を目的とするかどうかは自己判断できることではありません。自分から見てどうかという話ではなく、医師に病気であると判断されたら適用さるかもしれないことなので、必要があるときは医師に判断を仰ぎましょう。

美容整形も医療目的のものは医療保険の保障の対象になりうる

美容整形と医療保険の関係について解説しました。美容整形が保障の対象となることはあまりありませんが、医療目的であればその類ではありません。自分が行う（行った）美容整形の目的がどこにあるのかをきちんと把握しておくことが大切ですね。

プロフィール

諏訪竜生
3級FP技能士資格を持ち、住宅ローンおよび教育資金に関する相談を中心に業務を行っています。また、新社会人向けに社会保険や知っておきたいお金に関する知識を教えています。予備校および金融機関で勤務した知見を生かし、アドバイスを行っています。