#015 流れを感じる
限られた空間の中で、想像力をどこまで膨らませることが出来るか?
最初の打合せで、「道路から家に入るまでに和室前の坪庭が見えて、奥にタイルテラスが見える。玄関の上り口に立つと正面に床の間の奥の坪庭が見えて、側面にタイルテラスが見える。」という計画があることをお聞きしました。動線の中でそれぞれが同時に見える場合もあるので、各所を分断して考えるのでは無く、統一性がありかつ連続性も見られる方法を思案しました。そこで、タイルテラスの中心に意匠壁を据えて庭の核とし、その意匠壁を滝に見立てました。「滝から流れ出た水は室内に引き込まれ、床の間奥の景石にぶつかります。景石にぶつかった水は流れを変え和室前の庭へと至り、敷地の外へと流れ出ていきます・・・」。タイルテラスに用いるタイルの色はダークグレー色であることが決定しており、このイメージの具現化には黒御影石の磨きが最適ではないかと考えました。意匠壁には凹凸のあるボーダータイルが張られていますが正面斜め上から下にかけてランダムに同サイズの黒御影石(磨き仕上)が張られています。床のタイル張りの中にも黒御影石(磨き仕上)を埋め込み、意匠壁から水が引き込まれていくイメージを演出しています。和室内の床の間の天板は磨きがかかっていた為、外の坪庭も黒御影石(磨き仕上)を用いました。そして天板と黒御影石(磨き仕上)の高さを揃えることにより内外の繋がりを持たせました。和室前の植込みと砂利の見切りにも黒御影石(磨き仕上)を用いて素材の統一をはかっています。今回は限られた空間であったが故に建物も含めた敷地全体を「庭」と考え、屋外と室内を想像の中で行き来させるダイナミックなプランとなりました。タイルテラスに立ってみると石の反射の面白さに魅了されます。季節ごと、時間ごと、天候ごとに様々な表情を見せてくれる庭になりました。お子様の成長と共に喜怒哀楽が楽しめる庭になることを願っております。
Green Scape Lab(GSL)