
賃貸物件でも注目される屋上緑化
建物の屋上に土を入れ、植物を植える屋上緑化は、コストや手間がかかることから、これまでは商業ビルや分譲マンションなどで導入されるケースが大半でした。
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最近では庭園や菜園など、屋上にさまざまな形で緑を取り入れるケースが多くなっており、多様なメリットが生まれることから、賃貸物件でも屋上緑化に取り組む物件が少しずつ増えています。
ビルだけでなく賃貸住宅でも! 進む屋上緑化
環境に対する意識が高まる中、ビルの屋上を緑化するケースが増えています。都市部では特に、建物が太陽光の熱を反射したり、蓄積した熱を放散したりすることで気温が上昇するヒートアイランド現象が問題となっており、有効な対策として屋上緑化が注目されているのです。
分譲マンションでも屋上緑化に取り組むケースが増えていますが、最近では賃貸住宅でも導入するケースが増加しています。背景にあるのは、省エネに対する認識の変化や癒やしを求める意識の高まりです。
東日本大震災以来、節電を求める声が社会全体で大きくなっています。また2015年には第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において、CO2の大幅削減を約束するパリ協定が批准されたこともあり、建物の断熱性能を高める有効な手段として屋上緑化を推進する動きが加速しているのです。
また以前は「芝生を植えるだけ」というのが一般的でしたが、最近では樹木を植えて庭園を造ったり、菜園を設けたりするケースもあります。賃貸を含む住宅では、人を癒やすはたらきが屋上緑化の大きなメリットとして、認識され始めています。
室温はマイナス3℃――屋上緑化のメリット
建物に屋上緑化を導入する最大のメリットは夏場の室温低下効果です。植物を植えるために敷き詰める土には断熱効果がある上、植物には葉っぱから水分を放出する「蒸散作用」によって周辺の温度を引き下げるはたらきがあります。
東京や大阪などの大都市圏では近年、猛暑日が増加しています。エアコンを利用しないと健康を害するリスクもあるため、エネルギー需要が増加しがちです。特に建物の最上階は屋根が吸収した太陽光の熱が伝わりやすいため、高温になりがちです。
屋上緑化を導入すると、直下の部屋は室温が3℃も低下するという報告があり、エアコンの使用を抑制するはたらきが期待できます。また実は寒さが厳しい季節にも、部屋の暖かさが抜け出さないよう保温する効果があり、北欧では古くから民家の屋根に草を植える屋上緑化が活用されてきました。
夏期は5割以上、冬期もエネルギー使用を3割削減できるという調査結果があり、非常に大きな省エネ効果をもたらすことができるのです。
魅力的な共用部として評価される
賃貸物件における屋上緑化については近年、緑化された屋上に集うことで、住人同士のコミュニケーションが生まれるという効果も報告されています。
都市部の賃貸住宅ではしばしば、「入居者同士のコミュニティ作りが難しい」ことが問題視されます。プライバシーを重視する生活習慣から、「隣家の家族構成も知らない」といった隔絶が一般化しており、入居者間トラブルの増加や防犯性の低下を招いていると指摘する専門家もいます。
屋上を緑化する中で菜園を設ければ、野菜の世話をするために入居者同士がひんぱんに顔を合わせるようになり、自然とコミュニケーションが生まれます。野菜作りを通じて顔見知りになり、日常から挨拶をする仲になれば、騒音などのトラブルが発生する可能性は低くなります。また、建物内に見知らぬ人がいればすぐに気づくことができるので、犯罪を未然に防ぐ効果も生まれます。
新鮮な野菜やハーブを収穫できるため、生活の楽しみも大きくなります。緑化された屋上は魅力的な共用部として評価され、物件の価値を押し上げるはたらきが期待できるのです。
手入れには手間と費用――屋上緑化の注意点
メリットの大きな屋上緑化ですが、導入にあたっては注意点もいくつかあります。植物を生育するためには、手間と費用がかかります。費用面では人件費の他、屋根が劣化しないよう防根や防水などの工事を行う必要がある上、植物の購入費用や水道代などのコストを要します。
日常的なメンテナンスも欠かせません。メンテナンスを怠れば、屋根の劣化が進みやすくなるほか、土埃や落ち葉などが近隣の迷惑になることがあります。
まとめ
賃貸住宅では導入されることが少なかった屋上緑化ですが、最近では排水や防根などの技術が進歩し、安価でトラブルなく導入できるようになりました。コミュニティの形成などの利点が大きく、入居者からも高く評価されることが多いので、今後は競合物件との差別化を狙って導入されるケースが増えそうです。
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