水道料金の計算方法をご紹介!減免制度についても詳しく解説
水道料金は電気料金などとは異なり、お住まいの自治体の水道局によって管理されています。そのため、料金体系も各市町村で独自に設定されている場合がほとんどです。しかし、どの自治体でもほぼ同じような料金体系をとっていますから、どちらにお住まいであっても料金の算出方法自体はそれほど変わりないといえます。
この記事では、基本的な水道料金の計算方法についてご紹介します。これまで水道代を詳しく計算したことがなかったという方も、お住まいの地域の料金体系に合わせて1度算出してみてください。
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■水道料金の内訳はどうなっているの?
各市町村における水道(上水道)料金は、基本的には以下の計算式の合計で請求されます。
基本料金+従量料金+消費税=水道料金
このうち消費税は8%で全国どこでも変わりありませんが、基本料金と従量料金の設定が各自治体によって細かく異なってきます。
また、自治体によっては量水器(メーター)の使用料を加算する場合もあります。
ただし、実際にはメーター使用料を別途表示しているか、基本料金に込みで請求しているかの違いにすぎません。
また、2か月ごとに水道料金を請求している自治体も多くあります。
毎月ではないため、請求があること自体をつい忘れがちになりますが、しっかり予定に組み込んでおきましょう。
■「基本料金」はどのように算出されているの?
水道料金における基本料金とは、水道を契約している限りは使用量にかかわらず、誰にでも一律で請求される決まった料金です。
基本料金の設定基準は、各家庭に設けられている水道管の太さ=口径によって定められており、口径が大きいほど基本料金も上がります。
これは、「太い水道管で水を引いていれば、それだけ一定期間に多くの水の使用が可能となる」という理由です。
以下が、東京都水道局で定められている、口径によって課金される基本料金の一覧です。
■13mm:860円
■20mm:1,170円
■25mm:1,460円
■30mm:3,435円
■40mm:6,865円
■50mm:20,720円
■75mm:45,623円
この料金体系から分かるように、口径30mmを超えると基本料金が一気に上がります。
しかし、一般家庭で引く水道の場合、現代では20mm、少し以前であれば13mmが主流です。
二世帯住宅など、水道を多く使うことが想定される住宅の場合には、25mmを採用していることもあるでしょう。
いずれにせよ、普通のご家庭で口径30mm以上の配管を引いているケースはかなり稀ですから、基本料金はほぼ25mm以内での費用に収まる場合がほとんどと考えられます。
いっぽう大阪市を例とした場合、基本料金は口径にかかわらず一律850円となっています。
このように、基本料金設定の仕組みも自治体によって異なりますから、引っ越しなどで新たに水道契約をする際には必ず確かめておくとよいでしょう。
■水道料金の変動にかかわる「従量料金」とは?
基本料金は、水道を契約していれば必ず請求がある一律の金額です。
しかし、従量料金の場合は各世帯における月間の水道使用量に応じて変動します。
つまり「今回の水道代請求は高かった」と感じたときには、請求書にある従量料金の項目を見てみましょう。おそらく、前回よりも高い数値となっているはずです。
従量料金を算出する使用量の単位は「㎥」で、「立方メートル(りゅうべい)」と読みます。
一般的に水量を測る際に使われている「L(リットル)」とは異なりますから、少し分かりにくいかもしれません。
しかし、1㎥の容積をメートル法に換算すると1m×1m×1mとなりますから、1㎥=1,000Lであることが分かります。
一般的なご家庭の浴室にあるバスタブの容積は200Lほどといわれていますから、普通の家で5回お風呂に入れば1㎥の水量を使用したと考えられます。
自治体によって水道料金が異なってくる場合、主にこの従量料金の部分で差がついていることが多いといわれています。
地域による水道料金の差は、主に「飲料水として供用するための浄水にかかるコスト」の違いによりますが、このコストも地域の水質やダムの数、降水量が多いか少ないかなどで変わります。
一般的には、水源に恵まれ水質が良好な土地であれば、水道代は安くなる傾向にあるといわれます。
従量料金の設定基準は、基本的に「生活に欠かせない範囲内の水量まではできるだけ安く提供しよう」という考え方となります。
そのため、水道使用量に応じて1㎥あたりの単価も変動し、全体の使用量が少なければ単価は低くなり、増えれば上がるようになっています。
東京都を例にとると、当月利用が20㎥までの場合には1㎥あたりの単価は128円ですが、これがその月のうちに21㎥を超えると、それ以降に使用した水量の単価は163円に上がります。
当月の利用料の合計が25㎥だったとすると、そのうち20㎥までは1㎥あたり128円、21~25㎥までが1㎥あたり163円と計算されます。
なお、この課金の仕組みは「累進制」と呼ばれます。
もし東京都内にお住まいの方が、前月の水道使用量20㎥、当月28㎥で「ずいぶん水道代が跳ね上がったなぁ…」と感じたとします。
その場合、翌月には節水を心がけることはもちろん、大幅には減らせない場合でもできれば21㎥を越えないよう気をつけてみましょう。
■水道代の計算方法を使って、水道代をシミュレーションしてみよう
では、実際に水道料金を計算してみましょう。東京都の料金体系をもとに、1か月あたりの水道料金を算出する場合は、以下の計算方法となります。
ここでは、水道(上水道)と下水道の使用量は同じものとします。
【口径13mmで、1か月に水道を27㎥利用した場合】
■水道料金
基本料金:860円
従量料金6~10㎥:22×5=110円
従量料金11~20㎥:128×10=1,280円
従量料金21~27㎥:163×7=1,141円
消費税:271円
合計:3,662円
■下水道料金
~8㎥:560円
9~20㎥:110×12=1,320円
21~27㎥:140×7=980円
消費税:228円
合計:3,088円
【口径20mmで、1か月に水道を50㎥利用した場合】
■水道料金
基本料金:1,170円
従量料金6~10㎥:22×5=110円
従量料金11~20㎥:128×10=1,280円
従量料金21~30㎥:163×10=1,630円
従量料金31~50㎥:202×20=4,040円
消費税:658円
合計:8,888円
■下水道料金
~8㎥:560円
9~20㎥:110×12=1,320円
21~30㎥:140×10=1,400円
31~50㎥:170×20=3,400円
消費税:534円
合計:7,214円
この計算結果から分かるように、従量料金の累進制は実際の請求金額にも大きくかかわってきます。
なお、東京都水道局の平成24年度の調査によると、各世帯での平均の水道使用量は1か月あたり1人暮らしで8㎥、2人暮らしで16.2㎥、4人家族の場合には25.1㎥となっています。
また、この計算方法のほか、ホームページ内に水道使用量と下水道使用量を入力するだけで各料金を自動計算できるシミュレーションページを用意している自治体もあります。
「水道料金 〇〇市」などと検索して、もし見つかったらぜひ活用してみましょう。
一般のご家庭で手軽にできる節水方法としては、まずお風呂で使う水量を減らすことが最も効果的でしょう。
夏なら毎日の入浴を1日おきにしてシャワーに切り替える、冬なら風呂水洗浄剤などを活用して風呂水の入れ替え回数を減らすなどの方法で、効果的に節水できます。
ただし、風呂水を入れ替えずに追い焚きを利用した場合、給湯方法によっては給湯にかかる光熱費が高くつくことがありますので注意しましょう。
また、浴室で使う水量を減らす簡単な方法として、シャワーヘッドを節水タイプのものに切り替える方法もおすすめです。
最近では、水量を減らしても水圧は変わらない製品も増えており、使い心地を変えずに済みますから快適なまま節水を実現できます。
入浴の次に水道を多く使う家事といえば洗濯でしょうが、洗濯の場合にはお風呂のお湯を入れ替えるタイミングで再利用することで、かなりの節水につながります。
また、少量の洗濯物を頻繁に洗うよりは、ある程度多めの洗濯物を長いサイクルで洗う方が節水できるといわれています。
キッチンで使う水を減らすには、多少初期コストはかかりますが食器洗い機(食洗器)の導入がおすすめです。
最近の食洗器には、普通に手洗いで食器を洗った場合に比べて9分の1まで節水が可能になるものもあるほどです。
もちろん食器洗いが使えない場合でも、水を流しながら食器洗いをする習慣がある方は、すすぎ以外にはなるべく流水を使わず溜めた水で洗うように気をつけてみましょう。それだけで、水道の使用量にもかなり変化が出るはずです。
そのほかにも、トイレで流す水量を意識して使い分けるようにする、トイレの便器を旧来のものから節水タイプの新しいものに替えるなど、節水の知恵はさまざまなところで生かせます。
無意識にだらだらと使ってしまっていた水道も、ちょっとした意識づけひとつで家計節約の大きなポイントになるでしょう。
■水道料金の減免制度と支払い方法を知ろう
水道料金には、さまざまな状況に応じて免除・減免の制度があります。
対象者であっても、申請をしなければ免除・減免が行われませんので、あてはまる方は必ず申請を行いましょう。
また、今では水道料金の支払い方法にもさまざまな形態が用意されています。
自分に合った支払い方法を選んで、納め忘れをなくすよう気をつけましょう。
【免除措置が適用される場合】
東京都水道局の場合は、以下の方が上下水道料金の免除対象となります。
■生活保護法に基づいて各種の扶助を受けている方
■児童扶養手当・特別児童扶養手当を受給する方
■中国残留邦人等およびその特定配偶者の自立支援に関する給付を受けている方
■東日本大震災の避難で水道局の管轄内にお住まいの方
また、老齢福祉年金を受給している方は、下水道料金のみが免除対象となります。
【減免措置が適用される場合】
同じく東京都水道局の場合、以下の方が上下水道料金の減免対象となります。
■公衆浴場
■社会福祉施設
■メッキ業
■用水型の皮革関連企業
なお、ドライミスト発生設備については、上水道のみが対象となります。
また、医療施設、染色整理業、食品製造業や飲食店など一部の生活関連業種は、下水道料金のみが減免対象となります。
これらの免除・減免措置は申請の翌月から適用されますから、対象にあてはまる方はできるだけ早めに申請を済ませておきましょう。
【水道料金の支払い方法】
水道料金の支払いは、以前は請求書による窓口での納入が一般的でしたが、今ではライフスタイルの変化に合わせてさまざまな支払い方法が用意されている場合があります。
ここでも、東京都水道局の料金支払い方法を例に挙げてみていきましょう。
■請求書による支払い
地域によって、検針時に請求書が発行される場合と、後日請求書が郵送される場合があります。
取扱窓口は水道局営業所のほか、都内の各金融機関やコンビニエンスストアでも支払いが可能です。
■口座振替
指定の口座から、上下水道料金が自動で引き落としされる方法です。
利便性や納め忘れを減らせる点から利用が推奨されており、口座振替を利用することで月額50円(年額600円)の割引が受けられるメリットがあります。
また、東京都水道局の管轄内で引越しを行った場合には、同じ口座を引き継いで利用できます。
■クレジットカード
水道局へクレジットカードによる支払いの申し込みを行えば、その後の料金を引き続き月々のカード払いで支払っていく方法です。
こちらも利便性が高く納め忘れも防げますが、口座振替と異なり料金の割引制度などはありません。
これらは東京都水道局の例となり、他の自治体の場合には支払い方法の仕組みも異なる場合があります。
事前にお住まいの自治体の料金支払い方法にはどんなものがあるか確認し、利用しやすい方法を選ぶとよいでしょう。
■まとめ
「今月は高かった」「安かった」程度の意識でつい見過ごしがちな水道料金ですが、内訳を知って課金の仕組みを詳しく学ぶことで、節水に対するモチベーションもアップします。
節水は家計を節約する手段のひとつにとどまらず、限られた貴重な資源を効率よく活用することで自然界と上手に付き合っていく知恵ともいえます。
この機会にご自宅の水道の使い方を見直し、まずは簡単な節水のアイデアから暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。
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