水道料金と下水道料金は違う?下水道料金の仕組みを詳しく解説

一般的な家庭では、2ヶ月に1回の頻度で支払っている水道代。この水道代の内訳を見てみると、下水道料金と呼ばれる料金が含まれていることがありますが、「下水道料金って何だろう」と疑問に思ったことはありませんか?この下水道料金に関する知識をつけることで、実は水道代を節約できる可能性があります。そこで今回は、下水道料金の基礎知識についてご紹介していきましょう。

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■そもそも下水道って何だろう?上水道との違いを解説

一般家庭が支払っている水道代は、上水道料金と下水道料金を合計した金額です。

「水を多く使用すると水道代が高くなる」と認識している方は多いかと思われますが、蛇口をひねって使用する水は上記の「上水道」に該当します。

では、下水道とはどのような水道を指すのでしょうか?

トイレや洗濯、料理などで使用した生活排水には多くの不純物が含まれているので、そのまま川などに流すことはできません。

そのため、生活排水は自然に帰す前に「浄化」をする必要があり、この浄化の役割を担っている水道が下水道と呼ばれます。

当然ですが、生活排水を浄化するためには様々なコストがかかります。したがって、水道を使用する者は上水道料金に加えて、下水道料金も負担するケースが多くなっています。

上水道と下水道には、上記でご紹介した点以外にも違いが見られます。そこで以下では、上水道と下水道の違いをさらに詳しく見ていきましょう。

【違いその1】下水道料金は必ずかかるものではない

水を使用する分だけかかる上水道料金とは違い、下水道料金は必ずしもかかる費用ではありません。日本国内でも地域によっては、下水道自体が整備されていないためです。

2015年3月時点での調査によると、東京都や大阪府などの都会では下水道の普及率が90%を超えていますが、普及率が50%以下の都道府県もいくつか見られます。

ただし、下水道が備わっていない地域であっても、「浄化槽」と呼ばれる下水道と同じ役割を担っている装置が存在しています。

下水道が備わっていない地域の場合、浄化にかかるコストだけでなく設置コストも発生する可能性があります。

【違いその2】料金の消滅時効期間

消滅時効期間とは、料金の支払い義務が継続される期間のことを指します。上水道料金の消滅時効期間は2年、下水道料金の消滅時効期間は5年となっています。

ただし、消滅時効期間があるからと言って、料金を支払わなくても問題がないわけではありません。

特に下水道料金に関しては、支払いが遅れると「滞納処分」と呼ばれる行政処分が下される恐れがあるので、きちんと定められた日に支払う必要があるでしょう。

【違いその3】料金のシステム

上水道の料金は、当然ですが使用した水の量を基準として計算されます。一方、下水道料金は水の使用量ではなく、下水道に流れた水の量が料金計算の基準となっています。

このような違いにより、上水道と下水道の料金に差が生じるケースも見られます。

以下では、下水道料金の仕組みについてさらに詳しく解説していきましょう。

■下水道料金とは? 料金の仕組みもご紹介

下水道料金の計算方法は、お住まいの地域によって異なります。

自治体ごとに下水道使用量や料金に違いが見られるので、以下では東京都を例として下水道料金の仕組みを解説していきましょう。

東京都では、汚水排出量(生活排水の量)と料率によって下水道料金が計算されています。汚水排出量に関しては、水道の場合は水道使用量、地下水の場合は揚水用のポンプに設置した時間計などが基準となっています。

料率については、以下のように汚水排出量に応じて細かく設定されています。

【東京都の下水道料金の料率(1ヶ月分)】

■0~8立方メートル…一律560円

■9~20立方メートル…1立方メートルごとに110円

■21~30立方メートル…1立方メートルごとに140円

■31~51立方メートル…1立方メートルごとに170円

上記のように汚水排出量が区分されており、各区分で課される料金が異なります。

東京都では1001立方メートル以上まで細かく区分されていますが、ほかの自治体に関しても同じような料金システムを採用しています。

では、1ヶ月に28立方メートルの汚水を排出したと仮定して、東京都における実際の下水道料金を見てみましょう。

このケースにおける各区分の下水道料金は、以下の式によって計算できます。

■0~8立方メートルまで…一律560円

■9~20立方メートルまで…12立方メートル×110円=1,320円

■21~30立方メートルまで…8立方メートル×140円=1,120円

上記の各区分を合計すると、排出量が28立方メートルの場合の下水道料金は以下となります。

560円+1,320円+1,120円=3,000円

なお、上記でご紹介した東京都の下水道料金の料率は一般汚水の金額であり、東京都では浴場汚水の料率が別に定められています。

これは、一般家庭では料理やトイレなどほかの生活排水に比べると、浴槽の生活排水が圧倒的に多いためです。

このように自治体によっては生活排水の種類によって料率が異なるので、その点にも注意しておきたいところでしょう。

また、上記の例は1ヶ月分の下水道料金となりますが、下水道料金は上水道料金と一緒に2ヶ月ごとに請求されるケースが一般的です。

ただし、自治体によっては水道料金請求のシステムが異なる可能性もあるので、お住まいの地域の情報を確認しておくことが望ましいでしょう。

■下水道料金が高い場合の原因は?

お住まいの地域やご家庭によっては、「想定していたよりも下水道料金が高い」「上水道料金に比べて下水道料金が高い」といった状況に直面することもあります。

下水道料金は、ほかの公共料金と同様に継続的に発生するコストなので、できれば節約したいと考えている方も多いことでしょう。

では、下水道料金が高い場合にはどのような原因が考えられるのでしょうか?主な原因としては以下の3つが挙げられます。

【原因その1】水道を使用していなくてもかかる一律料金

上記の東京都の例を見てわかる通り、たとえ水道を使用していなかったとしても下水道料金はかかります。

東京都を例に挙げると、仮に水道の使用量が0立方メートルであったとしても、560円の一律料金が課されます。

この一律料金の部分は見落とされがちなポイントであり、「旅行中にも下水道料金がかかっていた」といった声も聞かれます。

この一律料金は多くの自治体で発生するので、気になる方はお住まいの地域の情報を調べてみましょう。

【原因その2】汚水排出量の計測方法

下水道料金は汚水排出量を基準として計算されますが、この排出量の計測方法は自治体によって異なります。

例えば、東京都では上水道の使用量がそのまま汚水排出量として計算されますが、上水道の使用量より若干少ない量が基準となるケースも見られます。

また、前述でも軽く触れましたが水道水と井戸水の場合で計測方法が異なる点も、注意するべきポイントでしょう。

このような計測方法の違いにより、下水道料金に大きな差が生じるケースも少なくありません。

【原因その3】料率の違い

各自治体の料率の違いも、注目しておきたいポイントです。

上記では東京都の料率をご紹介しましたが、北海道の稚内市では8立方メートルまでの一律料金が1,200円となっています。

このように自治体ごとに料率が異なるのは、下水道料金は「その地域の住民全体で負担をする」といった取り決めがあるためです。

したがって、下水道整備に多くのコストがかかり、住民数が少ない地域に関しては下水道料金が少し高い可能性があります。

上記3つの原因を見ると、下水道料金は地域によって大きく変動すると言えます。

そのため、引っ越し先を決めるタイミングで水道料金の仕組みを調べておけば、月々の水道料金を節約しやすい地域を選べる可能性があるでしょう。

住民数が多い自治体、生活用水の貯水池が存在している自治体は下水道料金が比較的安い傾向にあります。

また、下水道料金を節約する方法として「浄化槽を設置すること」を検討する方もいるかもしれません。

ただし、浄化槽を設置するためにはコストがかかりますし、浄化槽では「浄化槽使用料」と呼ばれるコストが発生します。

各自治体の浄化槽使用量を見ると、下水道料金と大きな差が生じないケースも珍しくないので、浄化槽を設置したからと言って必ずしも水道料金を節約できるわけではありません。

また、下水道が新設された地域に関しては、「3年以内に下水道に接続する義務がある」と下水道法において定められています。

この際の費用は個人負担となるので、無理をして浄化槽の設置をするべきではないと言えるでしょう。

■地域によって下水道料金はどれぐらい違う?

前述では東京都の例をご紹介しましたが、実際に下水道料金はお住まいの地域によってどれぐらい変わるものなのでしょうか?

以下では、いくつかの地域を例に挙げて下水道料金の計算方法と、東京都の例と同じく汚水排出量が28立方メートルであった場合の下水道料金(税抜)をご紹介していきます。

【大阪市の下水道料金】

大阪府大阪市の下水道料金は、東京都とは少し計算方法が異なります。

汚水排出量がいくつかに区分されており、各区分で単価が決められている点は東京都と同じですが、大阪市では以下の通り区分によって計算方法が異なります。

■0~10立方メートル…一律550円

■11~20立方メートル…1立方メートルごとに61円をかけて、その合計から60円を引いた金額

■21~30立方メートル…1立方メートルごとに83円をかけて、その合計から500円を引いた金額

大阪市の家庭で28立方メートルの汚水を排出したとすると、下水道料金は以下のように計算できます。

(28立方メートル×83円)-500円=1,824円

【金沢市の下水道料金】

石川県の金沢市では、汚水排出量30立方メートルまで以下のように下水道料金の料率が定められています。

■使用していない場合の一律料金…900円

■1~10立方メートル…1立方メートルごとに27円

■11~30立方メートル…1立方メートルごとに124円

金沢市で28立方メートルの汚水を排出したとすると、下水道料金は以下となります。

900円+(10立方メートル×27円)+(18立方メートル×124円)=3,402円

上記の金額を比較すると、下水道料金は地域によって大きく異なるということがわかるでしょう。

また、大阪市のように東京都とは異なる方法で、下水道料金を算出する自治体が存在する点にも注意が必要です。

地域によっては、同じ汚水排出量でも2倍近くの料金差が生じるケースも見られるので、「下水道料金が思っていたより高い」と感じる場合は自治体の料金システムが原因となっている可能性が高いと言えます。

■下水道料金の減免制度って何だろう?

多くの自治体では、下水道料金の減免制度を実施しています。減免制度とは特定の条件を満たすことによって、通常よりも下水道料金が安くなる制度のことです。

この減免制度を利用すれば、お住まいの地域を変えなくても下水道料金を節約できる可能性があるでしょう。

では、この減免制度を利用するためには、具体的にどのような条件を満たす必要があるのでしょうか?

自治体ごとに条件は異なりますが、主な条件としては以下などが挙げられます。

■生活扶助を受けている世帯

■児童扶養手当を受給している世帯

■老齢福祉年金を受給している高齢者がいる世帯

■障害基礎年金を受給している世帯

例えば東京都であれば、減免制度を利用することで8立方メートル以下(一律560円)の料金が徴収されません。

愛知県名古屋市に関しては、下水道料金のうち1,209.60円が減額されます。

このように、下水道料金の減免制度も自治体によって仕組みが異なるので、お住まいの地域の情報を確認しておきましょう。

■まとめ

今回は下水道料金の仕組みについてご紹介してきました。いかがでしたでしょうか?

水道料金と聞くと「上水道の使用料金」をイメージしがちですが、一般的な水道料金には下水道の料金も含まれています。自治体によって料金計算の仕組みは異なるので、お住まいの地域の計算方法や減免制度の有無などを確認してみましょう。

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