59歳、貯金1370万円。昨年、離婚しました。老後を考えると不安しかありません……

相談者は、59歳の会社員女性。昨年離婚をしたが、老後が不安で仕方がないとのこと。現在の貯蓄と収入から、どう老後資金を用意しておくべきか。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

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85歳を超えるまで生きる心構えをアドバイスお願いします

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、59歳の会社員女性。

昨年離婚をしたが、老後が不安で仕方がないとのこと。現在の貯蓄と収入から、どう老後資金を用意しておくべきか。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

クースケさん(仮名)
女性/会社員/59歳
九州/賃貸住宅

家族構成

一人暮らし

相談内容

昨年、離婚しました。そのために働き始め、手取りは少ないのですが、正社員で65歳まで働けます。定年までの間につみたてNISAと個人年金で300万円は貯める予定です(つみたてNISAはあと1万円、増額したい)。相続は現金で200万円くらいしかないと聞いています。携帯も近々格安スマホに替えるつもりです。住居費は高めですが、猫2匹を飼っているため、なかなか引っ越せません。

この先賃貸で85歳を超えるまで生きていけるか心配です。年金は120万円くらい+個人年金40万円(終身)。ボーナスも全額貯金したいのですが、まだ働き始めて間もないのでボーナスも毎回満額出るのかわかりません。子どももいない一人暮らしで、貯蓄も少ないので老後のことを考えると不安しかありません。今から心構えをしたいのでよろしくお願いいたします。

家計収支データ
クースケさんの家計収支データは図表のとおりです。

家計収支データ補足

(1)加入保険の保障内容
本人/共済(病気死亡400万円、入院4500万円、入院一時金・先進医療特約付き)=毎月の保険料3000円
本人/個人年金保険(60歳で終身、年金額41万2000円)=保険料払い込み終了

(2)ボーナスについて
夏は30万円支給、うち20万円貯蓄。冬はコロナ禍で15万円に減額、うち貯蓄10万円。今後、満額(60万円)支給となるかは不明。

(3)退職金について
退職金制度はあるが勤務期間も短く「寸志」程度とのこと。

(4)定年後について
月4万円程度は働きたいが、体力的には自信はない。現在の勤務先の業績が良ければ、定年(65歳)後に再雇用で働けるかもしれないとのこと。

(5)住居について
「賃貸で85歳を超えるまで」と考えているが、賃貸契約が無理なら実家に戻る予定。現在、母親が一人暮らし。家は古いが最近フルリフォームもした。近くに兄の家族も住んでいる。ただし、都会暮らしが好きなので、もっと先になったら考えたいとのこと。

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1:老後資金は問題なし。必要以上に不安にならないこと
アドバイス2:65歳まで正社員として働き、貯蓄ペースを維持していく
アドバイス3:賃貸でも実家でも、資金的にどちらの選択も可能

アドバイス1:老後資金は問題なし。必要以上に不安にならないこと

結論から申し上げれば、ご心配されている老後について、資金的に困ることはほぼないと言えます。では、具体的に試算をしてみましょう。

毎月の家計収支は3万円の黒字。ボーナスはこのコロナ禍で昨年減額となり、今後も支給額は流動的とのこと。仮に昨年と同じとすれば、そこからの貯蓄は30万円。これで年間66万円の貯蓄ペースですから、定年となる65歳までの6年間で約400万円。結果、投資商品の評価額が元金と変わらないとすれば、手持資金と合算して1770万円となります。

他に、60歳から支給開始の個人年金保険の年金について定年までは貯蓄に回すとすれば、さらに206万円が加算。退職金を言われているとおり「寸志」とすれば、65歳の時点で準備できる金額はざっと2000万円。これが老後資金となります。

65歳以降ですが、働いて収入を得ないフルリタイアを想定してみます。収入は公的年金と個人年金で支給額は年間160万円とのことですから、月割りでの手取り額(税、社会保険料を引いた額)は11万円半ばから12万円といったところ。

対して、生活費が今と変わらないのであれば月14万円。他に臨時の出費(これまでボーナスから支払っていた部分)も考慮して15万円とすれば、毎月の不足額は3万~3万5000円となります。

また、老後の予備費についても、クルマも自宅も所有されていないので、まとまった支出としては医療、介護費用くらいでしょうか。確定はしていませんが、相続として200万円を受け取れるなら、それらに備える費用として、先の老後資金からはあと300万円も差し引いておけばいいのでは。それでもまだ1700万円残ります。それでも40年間、105歳まで年金の不足分をカバーできるわけです。

アドバイス2:65歳まで正社員として働き、貯蓄ペースを維持していく

この試算のとおり、老後資金は65歳まで勤務し、現在の貯蓄ペースを維持できれば、その後フルリタイアしても計算上は資金的に困ることはないと言えます。その理由は、クースケさんの生活がコンパクトで無駄がないことと、終身の個人年金保険が大きく貢献しています。

むしろ、個人的にはもう少し資金的に生活レベルを上げる、つまりは「もっと使ってもいい」と思います。例えば、月2万円生活コストを上げると、定年までに144万円生活費が増えます。

結果、老後資金は1850万円ほどに。そこから予備費300万円を引いて1550万円。その上で、プラス2万円の生活を65歳以降も続けても、23年間、予備費500万円に手を付けずとも、87歳まで自前の老後資金でカバーできます。その2万円は、趣味でも食事でも、あるいは愛猫のためでも、自身の生活や気持ちが豊かになるものに使えばいいのでは。

ただし、手持ち資金が減っていく生活は当初不安に感じるかもしれません。そうであれば、65歳以降も体に負担のない範囲でアルバイトをされて、月3万円でも4万円でも収入を得ればいいと思います。社会に触れるというメリットもあり、おススメします。

アドバイス3:賃貸でも実家でも、資金的にどちらの選択も可能

また、住宅については、ご実家に移り住む可能性もあるとのことですが、資金的に余裕があるので、それも当然可能です。ご実家は最近リフォームされたようですが、家賃10年分で約800万円になりますから、あらためて自分用にリフォームもできるはず。それはまた今後様子を見ながら決めていけばいいでしょう。

ともあれ、十分な老後資金が用意できるのと、まとまった年金が受け取れるので、いろいろな状況に対応できる点が、クースケさんの強みです。

必要以上に不安になるのはかえってマイナス。しっかり家計と健康を管理できていれば、老後はもっと前向きにとらえていいのではないでしょうか。

相談者「クースケ」さんから寄せられた感想

アドバイス、ありがとうございました。スポーツジムに行く費用捻出のため、休日にアルバイトを始めましたが、早くも疲れてしまいました。深野先生のアドバイスで、少しは余裕を持っていいことがわかり、アルバイトは辞めることにします。なるべく健康的な生活をして、人様の迷惑にならないように頑張っていきます。

教えてくれたのは……深野 康彦さん
 
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:清水京武

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