建築家・隈研吾×ガーデナー・齊藤太一。今をときめく2人のコラボ

「このショップのグリーン、素敵だな」と感じることが増えていませんか? もしかしたらそこはSOLSOの齊藤太一氏がグリーンプランを手がけた場所かもしれません。日本中でさまざまなプロジェクトを手がけるガーデナーの齊藤氏が、この秋、世界的な建築家・隈 研吾氏とコラボレーションしていたのをご存知ですか? 子供の目線を意識したプロダクトの魅力をお伝えします。

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東京ミッドタウンの芝生を賑やかに彩った「つみき」を生かしたプランター。

SOLSO・齊藤太一が「つみき」でプランターをつくる!?

左が建築家の隈 研吾氏。右が齊藤太一氏。

グリーンを楽しむことを新たな視点から提案するSOLSO FARM(ソルソファーム)を切り開き、グリーンショップを出店、さまざまなジャンルの施設や店舗のグリーンの計画、ランドスケープデザイン、個人邸の庭までを手掛ける齊藤太一氏。建築家の中村拓志氏や谷尻 誠氏といった人気の建築家とタッグを組んでいることでも有名だ。「アーバンガーデニング」や「緑育」といったキーワードを打ち立て、常に新しいグリーンの提案をするSOLSOの活躍は、とどまるところを知らない。

グリーンデザインの領域を拡げ、人とグリーンの親しい関係を常に示し続ける齊藤氏が、この秋に開催された東京ミッドタウンのイベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」に合わせて、誰もが親しみやすいプランターをつくりあげた。それは、世界的な建築家である隈 研吾氏が考案した「つみき」を生かしたもの。建築とグリーン、話題の2人のコラボレーションが実現した。

大きな「つみき」を組み合わせることでプランターを造形。

プランターをじっくりと見てみよう。大きなサイズで特注した三角形の「つみき」を縦に、横に、斜めに組み合わせて置く。その中に土を入れて個性的な植物を植える。

カウンターのようにも見える高い位置にある「つみき」の板は、切れ目を利用して木を支える受け材に。木と木と結ぶ糸にまるで万国旗のようにかけられているのは、そう、カラフルに塗られた「つみき」。大小の「つみき」がそれぞれの役割を果たし、景色をつくりあげている。

牧歌的で、思わず遊びたくなる雰囲気! 隈 研吾氏がmore trees(モア・トゥリーズ)のためにつくった「つみき」というテーマに取り組んだ、ガーデナーのひらめきの裏側にあるものとは? 齊藤太一氏にインタビューした。

飛行機の中で不審がられながらも、「つみき」を触り続け生まれた形

国内外で活躍するガーデナーの齊藤太一氏。

──LIMIA編集部:隈 研吾氏の「つみき」を使ったプランターをつくるにあたり、どのようなことを考えられましたか?

齊藤太一氏(以下、齊藤):もう、僕、本当に真面目に課題に取り組みましたよ。この「つみき」以外は使わずに、ひたすら実物を手で触って、どんなプロダクトがいいのか検討しました。

実は、小さな方(販売しているサイズ)の「つみき」を10個くらい持って、ニューヨークに出張に行ったんです。それで、飛行機の中でも「どうしようかな」と寝ないで触っていました。そうしたら、サービスクルーから不審物を持ち込んだと思われてしまって! 「それはなんだ?」と聞かれても、なんと説明していいか分からない。「これを触っていると集中力が湧くんだ」とごまかしたら、妙に納得されましたけど(笑)。

いろいろとプランを考えましたが、最終的に一番シンプルなものにしました。

子供たちが「実体験する」大切さを考えたプランニング

プランターの上にはカラフルな「つみき」が。子供の遊ぶ力を育む。

──LIMIA編集部:会場となった東京ミッドタウンのガーデンとも非常に馴染んでいますよね。

齊藤太一:そうですね。僕はデザイナーではないので、このプランターをどう並べるかを考えたときに、ぱっと見たときに楽しいほうがいいと思ったのです。東京ミッドタウンのガーデンには芝生が広がっているし、子供たちと一緒に遊べるようにしたかった。このガーデンに1カ所くらい「つみき」を実際に手で触れる場所があってもいいでしょう? この「つみき」をおもちゃにしながら、子供が手で土を触って、指をブスブスと刺すといった体験も大切だなと。

プランターに植えたグリーンに関しては、あえてすっとした枝ぶりのものにしています。いつもはもっと植え込んでモサモサとした印象にするのですが、今回はプランターの中の土を見せたいと考えました。モア・トゥリーズのコンセプトには、「きちんとした森を増やす」というものがあります。土や木といったアースを感じ取れるようなものがいいかな、と。

当たり前が当たり前じゃない。キッズガーデンをつくる楽しさ

「つみき」を手にコンセプトを語る齊藤太一氏。

──LIMIA編集部:子供の視点はデザインのヒントになるということですね?

齊藤:小さい子供は特に、色や形からその物に興味をもちますよね。だから今回は「つみき」に色を付けたんです。

今、僕は、幼稚園の「園庭」のプランニングも多く手がけています。その中で感じるのが、子供にまつわる「サイズ感」が面白いということ。普段、大人の僕たちが使う椅子やテーブルの高さって、実はセオリー的に決まっているのです。たとえば、椅子のシートハイ(シートの高さ)は40〜45㎝とか、テーブルの高さは70〜75㎝など。

でも、これが子供のために考えると、全然違う! だって、椅子のシートの高さが10センチ。大人の普通のスケールに慣れていると、「なにそのサイズ?」と思うでしょう。その違和感がすごく楽しいし、設計しているだけでなんだか幸せになる。園庭のデザインの話は、海外からもお声がかかっています。来年以降、オランダのアムステルダムやドイツでも子供のためのガーデンをつくる予定で、今からわくわくしています。

「つみき」を活用したキッズ向けの遊具。

人とグリーンをつなげる役割を果たしたい

プランターに背の高い木を植え、住まいのシンボルツリーとして取り入れてみては?

──LIMIA編集部:この「つみき」プランターはすぐにでも販売できそうですね? 楽しみです。

齊藤:当初から「つみき」はモア・トゥリーズを通して販売されるということでした。ですから、この「つみき」プランターももちろん皆さんの手に届けられるようにと完成度を高めています。このプランターだったら、どんな家に取り入れても可愛いんじゃないかな。このプランターを見て、「自分の家でもここに木を植えてみようかな」と、グリーンに親しみを感じてくれたら、それが一番ですね。

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常々、「グリーンをもっと広めていきたい」と熱く語る齊藤太一氏。この「つみき」プランターにも、情熱が込められている。日本をグリーンの力で変える。その思いは、建築家の隈 研吾氏ともモア・トゥリーズとも共通するもの。ひとつのプロダクトがきっかけになり、少しずつ世界が変わっていく期待を抱かずにはいられない。


Photo:木下 誠
Text:加藤 純
Edit:山本奈奈(LIMIA編集部)

プロフィール/
齊藤太一(さいとう・たいち)

岩手県生まれ。高校生の頃から造園、野菜の生産、山野草の採取などを学ぶ。2011年にSOLSO architectural plant farmを設立。個人邸の庭、オフィスのレンタルグリーン、ショップや商業施設のグリーン・ディレクションなど、幅広い分野でグリーンに携わる。本拠地である「SOLSO FARM」のほか、SOLSOの直営店「BIOTOP NURESERIES」(白金台・大阪)「SOLSO HOME」(伊勢丹本店・二子玉川)と5店舗を展開する。

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