
伊勢志摩-海の博物館#2
前回に続き、三重県志摩地方にある「海の博物館」を建築家目線で紹介。
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前回に引き続き、「海の博物館」の見学記です。
最初に入った展示A棟の2階から外に出て、もう一つの展示棟へとルートが用意されています。
このあたりで、ぼちぼち気づき始めます。「確か雑誌では、このあたりで海が見えたような、、下に見えている石の広場は海の見立てだっけ??」
外部ルートを通り、展示B棟の2階に入ってみると、足元がすべて抜けていて実に気持ち良く感じられます。
展示室の突き当たりから、眼下に港が見えています。ここで、バスで山の上からアクセスしていても、港からは程ない距離であることが理解できました。
設計者は、最初の展示A棟から一旦2階に上がり、高低差のある地形を外部を歩かせることで感じさせ、次の展示B棟の吹抜から入っていくことで視線を下へと誘導し、港へと向かわせているのでした。だから、展示A棟とB棟が角度が振れているのも港へと視線を向かせるためであると理解できました。
B棟の港が見える出口から外に出て振り返ったところ。下のコンクリートの基礎と焼杉の間をすべて透かして構造体の集成材が見えるようにしているデザインです。(写真ではブラインドが下りていましたが、容易に想像できますよね?)
「高低差のある地形を意識させるために外壁と基礎をすべて切り離し、オーソドックスな形態の屋根と外壁を力強い骨組みの上に被せる。」
内藤さんが考えていらっしゃった構成が理解できてきました。
収蔵庫の入口も、足元を透かすデザインです。海の博物館は床を海と見立て、建築物は海面から浮かせて重力から切り離しているというストーリーなのだとお見受けしました。
収蔵庫の中の展示空間。船のへさきとプレキャストコンクリートの梁がマッチしています。
ストーリが見えてくると、デザイン処理の方法が納得していきます。展示A棟の2階部分も地形を意識させるために足元を透かしています。
最後帰るときに、左のA棟と右のB棟の間に敷き詰められた石を見て、やっと思い出しました。雑誌では水が張られていました。海の博物館のホームページでも。(笑)
事情は判りませんが、水を抜いていたんですね。
それと、左側A棟の足元に簾を立てかけています。ここは奥のB棟と同じく、床と外壁を切り離し、開口だったのです。
簾があって、それが判らなかった。。でも、使いながら建築の表情は変わっていくもの。設計者の描いたストーリーと若干違っていても、名建築は名建築だと感じ入った次第です。
また、鳥羽からここへ向かう途中で体験してきた地元の人の会話、漁村の様子、これらすべてが海の生活を紹介する博物館の趣旨を肉付けする形となっていて、まさにエコミュージアムそのものだと思いました。その意味でも名建築だ思うのです。
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