(4700字)育休とってみた。パパの育休取得に立ちはだかる3つの懸念。

思い切って育休を6週間ほどとってみました。そうしたら「なぜ男性の育休取得が進まないか」がなんとなくわかりましたので、ここに書いてみます。ただしこれは一般論ではなく、僕が育休をとって過ごす中、いろんな方と話をするなかで感じたことであって、あくまで個人の感覚でしかないのでご了承ください。

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昨年の夏、思いきって育休を6週間ほどとってみました。

なぜ育休を取ったのか

多くの育休取得者が産前産後のタイミングで取得するのと違い、僕は2人目が1歳になる直前の6週間で取得しました。

妻は専業主婦で、しかも妻の実家はすぐ近くにあり、妻の父母もほぼ毎週末にいっしょに子どもの面倒をみてくれていたので、家庭内労働力が不足しているというわけでもありませんでした。

ではなぜ取ったのかというと、幼稚園入園前の長男とひたすら一緒に過ごすためです。(もちろん間接的に妻の育児負担軽減になれば、という思惑もありました)普通にサラリーマンをしていると、子どもと顔を会わせるのは出社する前の朝1時間程度で、家に帰ればもう寝かしつけ完了している。そして丸々一緒に遊べるのは1週間で土日の2日だけというのが一般的ではないでしょうか。

今回6週間の育休取得によって約20回分の土日、5ヶ月分の土日をまとめて確保したわけです。セルゲームに備える修行のために、精神と時の部屋に入る悟空と悟飯を思い出してください。

10年くらい社会人として生きてきたため、目標設定→行動→振り返りのサイクルはなかなか抜けないもので、いざ休みに入っても、目標を設定し、タスクを洗い出し、スケジュールを埋めていきました。(もちろん子供の体力を考慮しながらではありますが)これはある種のワーカホリック、病気だなと思いました。

やってみたこと
・レンタカー走行距離2500km
・キャンプ5回
・工場見学6回
・プラネタリウム5回
・プール2回
・海1回
・捕まえた昆虫31種
・集めたダムカード16種

取る前は迷いましたが結果として取って本当に良かったと思っています。会社の上司や同僚には応援していただきすごく感謝しています。

日本の男性育休取得率は2.65%、さらにそのうちの6割が2週間以下の超短期

イケダハヤトさんのブログによると、日本の男性育休取得率はたった2.65%。さらに取得期間1~5日が4割、2週間以下が2割。100人に2~3人しか取らないうえに、さらにそのほとんどが産前産後に一緒にいるくらい。1ヶ月以上の育休を取得するパパは100人に1人いるかいないか。というのが実態のようです。僕も1人目の時には、産後に慶事休暇を1日、有給を2日とるくらいでした。


一方で東京都が行った調査では、育休取得を希望する男性は68.9%というデータがありますので、取得率とのギャップを鑑みると「取りたいけど取れない」というのが多数派であるということが言えます。

「育休をとる」という選択肢をなぜ取れないのか

実際に取ってみて、友達や近所のパパママ・親戚・休み中に一緒になった人たちと話をすると(先の調査にもあるように大変珍しい人間なので、すごくびっくりされていろいろ質問されるのですが)育休に対する認知、正確な理解がほとんどないということ、調べる前から取れないものだと諦めているひとがほとんどだということを実感しました。

ヒアリング結果
・育休を男性でも取れるということが知られていない。女性しかとれないものだと思っている。
・育休が国の制度であるということが知られていない。会社の制度であると思っている。もしくは混同している。
・取れるものなら取りたいと思っているが、どんな制度であるかを調べたことがない。
・会社の状況を鑑みると、現実的に取れないと諦めている。(会社や同僚に迷惑をかける)


日本社会において男性が長期の育休を取る、ということはまだまだ珍しく、みんな身近に先行事例がないのでイメージが湧かないのです。人はイメージが湧かないもの、ぼんやりとしか認識できないものは、選択肢にあがりません。すなわち選択できません。「取リ方を知っていて、検討した結果、取らなかった」のと「取り方を知らず、検討せず、取らなかった」のは大きな違いです。

あるべき姿は「育休を取るという選択肢があること」を認識したうえで、取るか取らないかを決める。という態度だと思います、そのためにはまずは認知をさせること。事例を増やして、身の回りに長期の育休を取ったひとが居る。居るらしい。という状況を作っていくしかないと思います。

男性がぶちあたる懸念は、意欲面・家計面・キャリア面の3つ

では育休の取り方が認知されれば、みんなすんなり取るのか?というとそうでもないと思います。そこには男性ならではの足踏みポイントがあります。

僕が勤務する会社にはパパママ会という部活動というかサークルというかがあって、子どもがいる社員の交流ランチやイベントが不定期で開催されているのですが、そこで男性の育休取得について議論がありました。男性の育休取得に対する懸念点としていろんな声があがったのですが、要約すると以下のようだったと記憶しています。

1:意欲面    そもそも育休取得について前向きか、否か?
2:家計面    育休中に家計を維持できるか?
3:キャリア面  チームに迷惑をかけないか?人事考課やキャリア形成に不利にならないか?

僕もまさにその3点をいろいろと考えて、悩んで、最終的に納得して取得するに至ったわけですが、それは僕が育休中に話をした様々な人々に質問されたり、話題にあがったポイントとも合致します。

1. 意欲面について

これはむしろ前提のようなものですが、そもそも育児に対しての関心が高くなかったり、関心はあるけど得意ではない、仕事に行って稼いだほうが家族に貢献できる、というひともいます。当たり前の話ですが、育休という制度が向いている・フィットする家族がいれば、一方でそうでない家族もいますので、育休取得することがどの家族にも等しく良いことだとは思いません。

また女性側も男性に育休取得を望んでいない場合もあります。「夫に育児休暇を取ってほしいか?」という調査で「取ってほしい」が49%だったという結果もあります。

育休とったら奥さんが喜ぶかと思いきや、半数は「そうでもない」という状況のようです。確認をミスるとかなり寒い状況になりそうです。

2. 家計面について

このポイントはよく質問されました。育休中のお金回りはどうなっているんでしょうか。ざっくりまとめると、

・会社からの給料はストップします
・国からの育児休業給付金(月額賃金の67%、但し上限28万円くらい)が支給されます
・社会保険料の源泉徴収がストップします

*6ヶ月目以降は月額賃金の50%になる
*支給は2ヶ月に1回。2ヶ月分をまとめて支給。

会社から支給されると思っている人が多いようなんですが、国の制度なので国から支給されます。原資は給料から天引きされている社会保険料です。なので会社からしてみると金銭的に痛くはないのです。

育休中に家計を維持するための必要な貯蓄額は、
月額賃金ー(月額賃金×67%もしくは28万円の安い方)×育休期間(月)
でざっくり算出できます。

月額賃金が30万円だったら、30万ー(30万×67%)=ひと月9.9万 
月額賃金が50万円だったら、50万ー(28万)=ひと月22万 
の貯蓄があれば生活レベルを維持可能です。1ヶ月程度の取得であれば、妊娠3ヶ月時点から月々2万円貯めておく、くらいの努力でクリアできます。

僕の場合はレンタカーをマンスリーで借りてして出かけまくっていたのですが、お金の掛からないアウトドア中心だったことと、会社帰りに飲みに行かなくなったことと相殺されて、出費額は育休前とあまり変わりませんでした。


3. キャリア面について

これは、一番大きいと思います。

実務面
・会社や同僚に迷惑をかけるのではないか
・人手が足りず実務が回らないのではないか

キャリア形成面
・人事考課、昇進や昇給に響くのではないか
・出世競争に遅れるのではないか
・キャリアが分断され、いままで積み上げてきたものがなくなるのではないか


などなどいろいろあるでしょう。まあこれはひとそれぞれの環境によるんで、しょうがないですね。大手銀行に行った大学の同期は、後者のまさに銀行っぽい理由で取ることを諦めました。限られたポスト、たくさんのライバルがいるなかで、自ら出世コースから外れることはできないのです。でもそれはそういう業界なのでしょうがないです。現場では変えようがない。これは国策レベルの話なので、なんとかしてください偉い方々。


以下は、個人的にどう折り合いをつけたかを書きます。

前提として上司もメンバーも応援してくれましたので環境に恵まれたと思っています。ラッキーでした。前者の実務面については、育休をとるために半年くらいかけて、僕がいなくなっても業務が回る仕組みを作っていきました。仕事の属人化を防ぐために、業務を改善してマニュアル化し、自分の仕事をどんどんメンバーに引き継いでいきました。誰でも必要な情報にアクセスできるようにし、メンバー同士でチェックバックできるようにする。結果、棚ぼたでメンターをしていたメンバーの子が成長し、評価されて、MVP表彰を取りました。メンバーの成長という観点でも、マネージャーほどどんどん自分の仕事を手放して任せていくことが重要だと思います。

そして「おれがいないと会社が回らないんだよ」と思っている方にお伝えしたい。

そんなことはありません。あなたがいなくても会社はバンバン回ります。
全ての仕事は、あなたじゃなくてもできます。
あなたは全く特別ではありません、完全に代替可能です。
だから大丈夫。

最後にキャリア形成面ですが、職場に戻ってみた感触では、いまのところ人事考課にマイナスに反映するような会社ではないようですw 育休中は仕事のことを忘れるかと思いきや、これまでのキャリアとか働き方とかを振り返り、これから自分はどういうキャリアを積んでいきたいのか、を改めて考えるいい機会になりました。給料をもらうことをいったん止めてみると、はたらいて稼ぐことの意味を考えたりとか、仕事に取り組める環境のありがたみを実感したりして、仕事に対するモチベーションが上がりました。就職してから10年くらい止まらず走り続けてきたので、すごく新鮮でよい経験になったと思います。


「在宅ワーク」がもっと普及すればいいんじゃね?

子どもをもつ全ての親に一定期間だけ家庭内労働力が不足する時期がある、そこを社会全体でカバーするのが育休という仕組みだと思います。自分が大変な時には助けてもらって、それ以外の時は助ける側に回るのです。まず誰かが取らないと誰も取れないので、まずは取れるひとが取っていって、誰もが取れる雰囲気をつくることが重要だと思います。

育休期間中だけ育児を手伝うというのもナンセンスだと思います。仕事で成果をあげ続けることは前提としたうえで、なるべく残業を必要最小限にする、有給休暇をきちんと取得する、休日出勤をしない、という基本スタンスが大事だと思います。そもそもそういう働き方がベースにないと、そもそも育休を取ろうという発想にはならないでしょう。

育休制度があってもほとんどの人が取れない・取ってないんだから、その一歩手前にある在宅ワークの普及を、官民で頑張るのが最も合理的な道だと思います。ぶっちゃけネット環境さえあれば仕事できちゃうんですから。

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