どうして飾るの?松っていうより竹じゃない?現代の門松について園芸のプロに聞いてみた
お正月と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか? おせち料理、お餅、しめ縄、初詣、凧、羽子板……挙げ始めるとキリがないかもしれません。そんなお正月の風物詩のひとつ“門松”について、園芸のプロである〔八勝園〕の代表取締役専務・溝向さんに直撃してみました。
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ズバリ率直に「どうして門松を飾るんですか?」
お正月に向けて準備をしはじめる12月、街を歩いているとちらほらと門松が目に入るようになります。竹が目立つダイナミックな姿は、「もうすぐ年が明けるんだな」とお正月気分を盛り上げてくれますよね。あれだけの存在感を放つものだから、飾る意味がきっとあるはず。そこで園芸のプロ溝向さんに“門松を飾る理由”を聞いてみました。
どうやらお正月飾りのひとつとして玄関や門構えの両脇に飾られている門松は、新年に年神様を迎えるために飾られるのだとか。年神様とは毎年お正月に家にやってくる神様のことで、幸せや豊作をもたらすと言われています。その年神様が迷わず家に来られるよう、目印の役割を果たしているのが門松のようです。
〔八勝園〕は「良い年になりますように」という願いを込めて、毎年門松を出荷しているとのことですよ。一般のご家庭だけでなく会社の玄関先に門松を飾るところも多いですが、それも業績アップの要因のひとつかも!? 企業ほど大きくて立派なものでなくても、自宅の玄関先に門松を飾ってみたくなりますね。
松よりも竹が主役に見えるのに、どうして名前は“門松”なの?
子どものころから気になっていた方も多いのではないでしょうか。「“門松”という名前なのに“竹”が主役に見える」ということを。これについてもたずねてみると……。門松は竹が目立って見えるかもしれませんが、“松・竹・梅”というおめでたい要素が組み合わさってできている、という意外な回答が!
古くから樹木には神様が宿っていると考えられており、特に松は“祀る(まつる)”という意味を含んでいるとされています。数ある木の中でもおめでたい樹木として、新年を迎える時期に重宝されるようになったようです。その由来もあって、竹よりも松が本体であることから、“門松”という名前になったと考えられますね。ちなみに“梅”ですが、梅の花や梅の木が添えられることもあれば、土台部分に梅の花のモチーフが添えられることもあるんですよ。
松竹梅のバランスやデザインに関しては関東風と関西風があり、松の飾り方が違います。関東風はやや下に松が配置することが多く、関西風は大胆に背面に松を配置することが多いです。一概には言えませんが、関東はシンプルで、関西はきらびやかなイメージでしょうか。〔八勝園〕では要望に応じて装飾品や雰囲気、飾り方をコーディネートしてくれますよ。
門松選びのポイントを教えてください
私たちが門松を選ぶときにポイントにすべき点も知りたいところ。竹にはいろいろな種類がありますが、門松によく使われるのは真竹(まだけ)や孟宗竹(もうそうちく)の2種類です。真竹は青々としていて発色がいいのに比べて、孟宗竹はややスモーキーな色合いです。ご利用になる方の好みにもよりますが、新年のおめでたい時期には美しく鮮やかな色の真竹を使った門松がおすすめですよ。〔八勝園〕が採用しているのも厳選された真竹です。
2つセットで飾ることが多い門松の形は、“外こぼれ”と“内こぼれ”の2種あることにもぜひご注目ください。“外こぼれ”とは両サイドの竹がそれぞれ外側に傾斜がついているもので、『悪いものを外に払う』という意味があります。“内こぼれ”とは竹がそれぞれ内側に傾斜がついているもので、福を招き入れる・商売繁盛といった意味があります。飾るときに、少し気にしてみるのも楽しみのひとつになりそうですね。
園芸のプロが選ぶお気に入り門松3選
ここ数年〔八勝園〕で手がけてきた門松の中で、溝向さんお気に入りの3つを選んでもらいました。それがこちら!
関東風の代表作といっても過言ではないのがこちらです。非常にシンプルですが、その分素材の良さが際立っていて厳かな雰囲気を醸し出しているとのことですよ。
関東風をベースとしているこちらは、中央のダイダイがさりげなくワンポイントになってるかと思います。控えめな梅もかわいらしいですよ、とのこと。
ベースは関東風ですが、中央の装飾品がとても華やかで品がいいタイプがこちらです。赤、黄色、白、ピンクの発色が美しいですよね。
ちなみに、門松以外のお正月飾りも取り扱っている〔八勝園〕。せっかくなのでどんなものがあるのか教えてもらいました。
盆栽やお花は年始のご挨拶のときに飾られる企業さんが多いそうです。玄関先やよく通る場所に、いつもと違ったおめでたい雰囲気の植物が飾られているだけで、新年を迎えたという気持ちが高まりそうですね。
信頼できる職人が、厳選した素材で仕上げる門松
〔八勝園〕が門松を取り扱いはじめた20年ほど前は、お客からご依頼を受けて届けるサービスは多くなかったようです。ちょうどその頃、溝向さんの知り合いの方が神奈川県内で門松を取り扱っており、そこでノウハウを学んでサービスを開始したのだとか。それからは松や竹、その他の素材を厳選したうえで、信頼できる職人が手がけた門松を提供し続けているとのことですよ。
今年は、〔八勝園〕で本格的な門松に挑戦してみるのもいいですね。園芸のプロは観葉植物も手がけており、東京都内に〔Sea Garden〕という店舗も展開しています。そちらもぜひチェックしてみてください。
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