医療保険の診療報酬点数ってなに?公的医療保険の外診療に対する民間医療保険の備え

診療報酬点数という言葉を聞いたことがありますか? 診療報酬点数は、わたしたちが病気やケガで医療サービスを受ける際の価格を決める根拠となるものです。診療報酬点数とはどのように決められているのでしょうか。その点について、ご説明するとともに、診療報酬点数と公的医療保険(健康保険)と民間医療保険の関係について考えてみたいと思います。

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公的医療保険の診療報酬点数とは

わたしたちが、病気やケガで医者にかかり、診察や治療等の医療サービスを受けた場合の医療費は診療報酬点数に基づいて算出されています。その診療報酬点数は、厚生労働大臣が諮問機関である中央社会保険医療協議会(※)の議論を踏まえ決定します。とはいえ、医療現場の実態や国民のニーズは、日々変化をしていきます。その変化に応じた内容とするために2年に一度、改定が行われています。

診療報酬点数は、例えば初診料282点(2,820円)といったように、1点10円として診療報酬点数表に、医療サービスごとに細かくまとめられています。この診療報酬点数表により算出され医療機関から請求された医療費の内、医療サービスを受けた者が公的医療保険の自己負担割合に応じた金額を医療機関の窓口で支払い、その残額については医療サービスを受けた者が加入している公的医療保険の保険者(公的医療保険の運営主体)が医療機関に支払うことになります。

医療機関で医療サービスを受けて支払いを行ったときに受け取る領収書に、診療報酬点数が記載されていると思います。医療サービスを受ける機会があったときには、その記載内容を見てみることで、どんな医療費がかかっているのかを考えてみるきっかけになると思います。

※中央社会保険医療協議会は、健康保険、船員保険及び国民健康保険の保険者並びに被保険者、事業主及び船舶所有者を代表する委員7人、医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員7人、公益を代表する委員6人で組織することが社会保険医療協議会法に定められています。

公的医療保険の診療報酬点数に規定されていない治療はあるの?

医療サービスは、公的医療保険の対象となる保険診療と公的医療保険の対象外である自由診療(厚生労働省が承認していない医療)があります。

日本の医療保険制度は公費、保険料を財源として成り立っているので、保険給付の範囲の適正化等を図る必要があるという観点から、必要な医療については基本的に、保険診療(治療の有効性・安全性が確認された医療)で行われるべきであるとされています。

とはいえ、厚生労働省が承認していない医療でも効き目が高いと勧められたら受けたいと考えることもあるかもしれません。そのような医療は自由診療とされ、診療報酬点数における医療費の制限はありません。ただし、医療機関と医療サービスを受ける者の間での契約に基づいて行われることになり、その医療費は医療サービスを受ける者が全額自己負担をすることになります。

自由診療の例として挙げられるのは例えば歯科矯正。歯科矯正とは歯並びを整える医療サービスのことです。歯科矯正は顎の骨の位置がずれているために歯並びに影響をしている場合など保険診療の対象となることもありますが、単に見た目を整えるための歯科矯正は原則として自由診療となります。歯科矯正をしたいけど、費用が高額になるため、あきらめた経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

その他の自由診療としては、先進医療が挙げられます。先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養のことをいいます。平成30年5月1日現在91種類の先進医療があり、一例としてはがんの治療方法である、陽子線治療や重粒子線治療が挙げられます。これらの治療には数百万円がかかりますが、自由診療となるため、全額自己負担となります。

本来、保険診療と自由診療を併用して治療を行う場合(混合診療)には保険診療についても全額自己負担をするという旨が、健康保険法に定められています。ただし、先進医療は、将来的に保険診療の対象とする価値があり、その有効性評価を行うことが必要な療養という意味合いを有するので、自由診療部分だけを全額自己負担をすることが例外的に認められています。このように混合診療の例外となる自由診療もいくつか定められています。

自由診療への備え

混合診療の例外もあるとはいえ、数百万円の医療費がかかる可能性のある自由診療。そのような医療費についてどのように備えておけばよいのでしょうか。

高額な医療費がかかった場合に適用となる制度として、高額療養費制度を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。高額療養費制度とは、医療費について一定の金額以上の支払いをした場合、その一定額を超えた医療費については還付を受けられるという制度です。ただし、この制度はあくまでも保険診療の対象となる医療が対象となります。自由診療に対する支払いが、高額となっても高額療養費制度の対象とはなりません。

自由診療に対する保障は、民間医療保険で備えておく必要があります。特に費用が大きくなる可能性のある先進医療については、民間医療保険に先進医療特約を付けておくことで備えることができます。先進医療特約を付けることで、保険会社によっても異なりますが、先進医療の治療費に対して、一般的には最大1,000万円~2,000万円を限度として、先進医療給付金を受け取ることができます。原則、いったん治療費を支払った後に先進医療給付金を受け取る流れとなります。なお、保険会社によっては、高額な先進医療について、直接、保険会社から医療機関に支払いを行ってくれる制度を設けている場合もあります。

日進月歩で進化を続けている医療技術。そのおかげで、今までは、治療が困難であった疾病でも、完治を目指すことができるようになったものもあります。しかし、場合によってはその医療技術を受けるために多額の費用がかかる可能性もあります。その医療技術があれば治る見込みがあるのに、金銭的理由だけであきらめることができるでしょうか? いざという時に、活きる備えを健康な時にしっかりと考えておきたいものですね。

プロフィール

キムラミキ
株式会社ラフデッサン代表取締役。外資系生名保険会社での営業経験を経て、FPとして独立。保険代理店のスタッフ指導を行うなど企業アドバイザリー業務に携わる他、保険や住宅ローンなど身近なお金についての執筆、講演も多数行っている。

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