ビアードパパは行列なのに……赤字転落の【ヒロタシュークリーム】、実は「プリン」こそ名品だった!
「ヒロタのシュークリーム」で知られる菓子メーカー「洋菓子のヒロタ」。最近、“赤字転落”との報道を見かけ、経営がうまくいっていないようですが、一体何が原因なのか……実際にお店に行ってみました。 目次 ・「洋菓子のヒロタ」
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「ヒロタのシュークリーム」で知られる菓子メーカー「洋菓子のヒロタ」。最近、“赤字転落”との報道を見かけ、経営がうまくいっていないようですが、一体何が原因なのか……実際にお店に行ってみました。
目次
・ヒロタの「贅沢プリン」は名品!
※2024年3月24日の情報です。
※価格はすべて税込み。
※店舗によって商品が異なることがあります
※最新情報は公式サイトやSNSをご確認ください。
創業100周年を迎える「洋菓子のヒロタ」とは?
現在、大幅リニューアルの勝負中!
1924年10月1日に創業し、今年で100周年を迎える「洋菓子のヒロタ」。駅の構内に売り場が多く、主にシュークリームやシューアイスの製造販売で高い知名度を誇っています。
しかし、その道のりは順風満帆とはいえず、2001年には50億円の負債を抱えて経営破綻。21LADY(現・ヒロタグループホールディングス)の支援により再建するも、20年に関西から撤退したり、先月発表された24年3月期第3四半期の連結最終損益で赤字に転落するなど、安定しない経営状況が続いているようです。
そんなヒロタは100周年を迎えるにあたり、昨年、ロゴや商品パッケージを大幅にリニューアル。同10月、東京と大阪に旗艦店をオープンしたり、工場を構える千葉に直営店を増やすなど、大勝負に挑んでいるといいます。
ヒロタにほど近い「ビアードパパ」には行列ができているが……
今まさに転換期を迎えているヒロタですが、実は筆者がよく通っている商業施設に昨年、直営店がオープンしたんです。しかし、客で賑わっている印象はあまりなく、ほど近い場所にあるシュークリーム専門店「ビアードパパ」に押されているようにも見えます。
もちろん、立地や客単価の違い、作り立てか否か(「ビアードパパ」は店舗、ヒロタは工場)などの違いもあるでしょう。ただ、ここの「ビアードパパ」は、客が行列を作っているのをよく見かける一方、ヒロタはそういった様子はないので、「大丈夫か?」と心配になってしまうんです。
この印象の違いは果たして何が原因なのか……実際にヒロタに行って探ってみます。
新しいヒロタは「レトロかわいい」映えスポット!
こちらは、2023年10月にオープンした直営店の外観です。
懐かしさを感じる「ヒロタ」の書体や、シュークリームをモチーフにした「100」の文字、よく見ると頭文字の「H」が隠れている赤と青のチェック柄など、随所に遊び心が詰まっています。
まさにSNSに上げたい“映えスポット”といえるのでは?
オリジナルグッズのコーナーには、胸にでかでかと「ヒロタのシュークリーム」と書かれたTシャツ(2,200円)や保冷バッグ(3,080円)などがずらり。
ヒロタのブランド力をアピールするためには効果的なのかもしれませんが、正直「売れるのか?」と疑問がよぎります。このTシャツを着る勇気はありませんが、「ヴィレッジヴァンガード」あたりに並んでたら「え、ヒロタ? 可愛い!」と手に取ってしまうかも……。
ヒロタのお菓子をチェック! 「隠れた人気商品」とは?
生菓子のショーケースで一際目を引いたのが、三毛猫、ひよこ、うしをモチーフにした「動物シュークリーム」(378円)。商品説明には「ヒロタの隠れた人気商品が復活です」と書かれていました。
こちらのショーケースには、小ぶりのシュークリームが4つ入った定番商品「100周年シュークリーム」(400円)や、「いちごショート」(621円)などが並んでいます。
また、大ぶりの「北海道生クリームシュー(100周年 生クリームシュー)」は378円。生クリームだからか、「ビアードパパ」の「パイシュークリーム」(199円)と比べると1個あたり179円高いです。
近くで作り立てのシュークリームが200円弱で売られていたら、そっちに並んでしまうのも無理はありません。
ヒロタは常温のお菓子も充実。和菓子は、猫や犬をモチーフにした商品が目立っていました。一方、「焼きドーナッツ」(324円)は、瀬戸田レモン、あまおう苺、チョコなど味の種類が豊富で、選ぶのが楽しそうです。
「シュークリームのヒロタ」のイメージが強いヒロタですが、こんなにさまざまなお菓子を製造しているとは驚き! シュークリームだけ見ると、どうしても“作り立て&200円以下”の「ビアードパパ」に心を奪われがちですが、もしかしたらヒロタの強味はシュークリームだけではないのかも……。
というわけで、今回はまだ知らないヒロタの魅力を見つけるべく、あえてシュークリームではなく、“人気商品”と書かれていた「ヒロタの100周年 贅沢プリン」(346円)と、季節商品の「エクレア(いちご)」(378円)を初購入します。
ヒロタの「エクレア(いちご)」と「贅沢プリン」を実食!
持ち帰り用のチェック柄の箱がキュートで、食べる前からテンションが上がります。
公式サイトによると、「贅沢プリン」は「卵黄のみ」で固めており、「従来のカスタードプリンに黒糖を加え100周年仕様にリニューアル」したそう。
一口食べるてみると、卵黄感がダイレクトに感じられ、思わず「おいしい!」と声が出てしまいました。
プリンは適度な弾力がありつつも、舌ざわりは極限までなめらか。食べる前は、プリンの量が「結構多いな」と思いましたが、カラメルソースもプリンも上品な甘さなので、しつこさがなくさっぱりいただけます。
これは筆者が今まで食べたプリンの中で一番おいしいかも! もう、食べるのが止まらない!!
続いて、エクレアをいただきます。いちごクリーム入りのエクレアにいちごチョコをかけ、さらにフリーズドライのいちごをトッピングした、まさにいちごづくしのエクレアです。
食べてみると、いちごミルクのような優しい味わいで、乙女ちっくな気持ちに……。そして、フリーズドライいちごのカリカリ食感がいいアクセントになっています。
ただ、以前、ヒロタのシュークリームを食べた際にも感じたように、「クリームはおいしいけど、シュー皮が味気ない」と感じてしまったのも事実。最近は、コンビニ商品でもシュー皮にこだわったものが多く、どうしても欲張りになってしまいます。
とはいえ、ヒロタの公式サイトには「創業者廣田定一の創業の精神を基に、ヒロタは流行の波に左右されないより多くの人に喜んで頂ける美味しさの追求をしてきました」とあり、時代に流されないオリジナリティを大事にしている様子。
今のヒロタは、ブランディングの面でほかのシュークリームチェーンやコンビニのシュークリームにはない独自路線を突き進んでいる印象があり、その信念を貫く姿勢には魅力を感じます。
【結論】ヒロタの「贅沢プリン」は名品! 500円でも食べたいレベル
今回はイメージを一新したヒロタに行ってみましたが、店舗やパッケージのデザインが可愛さ満点で、ブランディングに勢いを感じました。
そして何より「贅沢プリン」がとんでもない名品であることに気づけたことが、一番の収穫。量もたっぷり入っているので、500円でも買いたいと思いました。
ただ、この店舗に限っていえば、作り立てで数メートル先からバターの香りが漂う「ビアードパパ」の客をこちらに振り向かせるのは、なかなか至難の業といえそう。
シュークリーム以外にも魅力的な商品を取りそろえているヒロタですが、シュークリームのイメージが強すぎるゆえに、プリンや焼き菓子の魅力があまり広まっていないのは、もったいない気もします。
また、コンビニで売られているシュークリームやエクレアはどんどんレベルが上がっており、これにヒロタが“伝統”で打ち勝つのは、大変な苦労があるんだろうなと……。今回のヒロタの大幅リニューアルが功を奏すのか否か、この先も末永く見守っていきたいと思った次第です。
なお、ヒロタの直営店は現在7店舗のみ。ほとんどの売り場は駅の近くや駅構内にあるそうなので、見かけた際には100周年のヒロタの味をチェックしてみては?
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