厚生年金に上乗せされる【加給年金】年下の妻がいるといくらもらえる?
「加給年金」とは老齢厚生年金の受給者に一定条件の配偶者、子どもがいる場合、もらえる年金版の家族手当です。加給年金と特別加算をあわせた金額はかなり大きいです。年齢差ごとにいくらもらえるか試算します。
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「加給年金」とは老齢厚生年金の受給者に一定条件の配偶者、子どもがいる場合、もらえる年金版の家族手当です。
さらに、配偶者の場合、老齢厚生年金の受給者の生年月日によって特別加算もあります。加給年金と特別加算をあわせた金額はかなり大きいです。
加給年金は夫婦の年齢差がポイントになります。今回は、年齢差ごとにいくらもらえるか試算します。
1. 年金版の家族手当である「加給年金」配偶者に対する受給要件とは
加給年金は、年金版の家族手当といわれています。老齢厚生年金の受給者に配偶者・子どもがいれば、年金に上乗せされます。
しかし、配偶者や子供がいればもらえるものではなく、それぞれに要件があります。それぞれの要件をみてみましょう。
1.1 配偶者に対する5つの要件
配偶者に対する加給年金が上乗せされる要件は次の5つがあります。
老齢厚生年金の受給者(夫または妻)は20年以上厚生年金に加入していること
老齢厚生年金の受給者が65歳時、65歳以下の年下の妻(夫)で生計維持をしていること
年下の妻(夫)には、20年以上の厚生年金期間に加入したことによる特別支給の老齢厚生年金・老齢厚生年金を原則もらう権利がないこと
年下の妻(夫)は、障害年金をもらっていないこと
年下の妻(夫)は老齢厚生年金の受給者(夫または妻)と同居※1しており、もし、働いていても、前年の収入が850万円未満(所得であれば655万5000円未満)であること
1.2 子どもに対する3つの要件
子どもに対する加給年金が上乗せされる要件は次の3つがあります。
老齢厚生年金の受給者(父・母)65歳時、子供は18歳の年度末(高校卒業)または20歳未満の障害1、2級で生計維持されていること
老齢厚生年金の受給者(父・母)は20年以上厚生年金に加入していること
子どもは老齢厚生年金の受給者(父・母)と同居※1しており、もし、働いていても、前年の収入が850万円未満(所得であれば655万5000円未満)であること
※1:「同居」には、以下の場合も含まれます。
別居している場合、定期的に仕送りしていたり、健康保険の扶養に入っていたりすれば同居に該当
2. 年金版の家族手当である加給年金、年下の妻(夫)はいくらもらえる?
2022年(令和4年)の加給年金として、年下の妻(夫)を持つ、老齢厚生年金の受給者に支給される金額は以下のとおりです。
出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
【年下の妻(夫)】22万3800円
【1人目、2人目の子】それぞれ22万3800円
【3人目以降の子】1人あたり7万4600円
2.1 老齢厚生年金の受給権者の生年月日ごとの「配偶者加給年金+特別加算額」
さらに、年下の妻(夫)の加給年金額には、3万3100円~16万5100円が特別加算されます。どのくらい加算になるかは、老齢厚生年金の受給権者の生年月日によって決まります。
出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
1939(昭和9)年4月2日~1940(昭和15)年4月1日:25万6900円
1940(昭和15)年4月2日~1941(昭和16)年4月1日:28万9800円
1941(昭和16)年4月2日~1942(昭和17)年4月1日:32万2900円
1942(昭和17)年4月2日~1943年(昭和18)年4月1日:35万5900円
1943(昭和18)年4月2日以後:38万8900円
2.2 年下の妻(夫)が加給年金をたくさんもらうには?
老齢厚生年金の受給権者が、年下の妻(夫)の加給年金をたくさんもらえるのは「年の差」がある夫婦です。
たとえば、老齢厚生年金の受給者自身が1957年(昭和32年)生まれで、現在65歳。年下の妻(夫)がいれば、加給年金が「22万3800円(加給年金)+16万5100円(特別加算額)=38万8900円」もらえます。
今後も夫婦が円満で健康であれば、年下の妻(夫)が65歳になるまで加給年金をもらい続けることができます。
年齢差5歳・10歳・15歳・20歳あるパターンで、どのくらいもらえるか、試算してみましょう。
【年齢差5歳の場合の加給年金】38万8900円×5年=194万4500円
【年齢差10歳の場合の加給年金】38万8900円×10年=388万9000円
【年齢差15歳の場合の加給年金】38万8900円×15年=583万3500円
【年齢差20歳の場合の加給年金】38万8900円×20年=777万8000円
夫婦の年齢差が大きければ大きいほど、長い期間、加給年金がもらえることがわかります。
ただし、加給年金は、年下の妻(夫)の厚生年金加入期間が20年以上になると一切支給されなくなります。
年齢差がある夫婦は、妻(夫)が、今までどのくらいの期間、厚生年金に加入しているのか確認しておきましょう。
3. 加給年金をもらうときに必要な手続き
加給年金をもらうときは、自身で申請手続きをすることになります。
出所:日本年金機構「【記入例】老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」
その際、以下の4つの書類が必要です。
老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届
(日本年金機構のホームページからダウンロードできます。)
受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本(コピー不可)
世帯全員の住民票の写し(コピー不可)
加給年金の対象者(配偶者や子)の所得証明書など(コピー不可)
提出先は、近くの年金事務所または街角の年金相談センターです。ご不明な点は、ねんきんダイヤルまたは近くの年金事務所等でご確認をお願いいたします。
4. まとめ
加給年金をもらえるかどうかは、夫婦の厚生年金加入歴、年齢差などが影響します。
お互いが、どのような年金加入歴なのか、正しく把握しておくことがポイントになります。
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