上乗せされるはずだった加給年金がもらえない?!厚生年金で知っておくべき加算とは
2022年4月に厚生年金の改正があり、加給年金の受給について変更がありました。経過措置はありますが、今年の4月以降受給ができない方もいます。改正のポイントや加給年金の概要を押さえましょう。
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2022年4月に厚生年金の改正があり、加給年金の受給について変更がありました。
経過措置はありますが、今までもらっている方がいる加入年金について、今年の4月以降受給ができない方もいます。
老後を支える年金について、制度改正のポイントや知っておくべき加給年金の概要を押さえておきましょう。
【注目記事】厚生年金220万円なら「後期高齢の保険料」が10万円天引き!容赦ない手取りに愕然
1.【厚生年金】 加給年金とは
加給年金とは20年以上厚生年金や共済年金に加入した方で、老後の厚生年金(以後、老齢厚生年金)をもらえる方が、特別支給の老齢厚生年金の定額部分または、老齢厚生年金と老齢基礎年金をもらい始めた時にもらえる、厚生年金の家族手当のようなものです。
家族の状況にもよりますが、例えば65歳の夫と63歳の妻という場合、夫は65歳から老齢厚生年金と老齢基礎年金がもらえます。
現役時代の収入や働き方によって変わりますが、厚生年金受給者の平均年金受取額は14万6145円(※1)となっています。上の例の夫婦ですと、妻が65歳になるまで年間38万8900円アップ(月額約3万2000円の上乗せ)となります。
※1:厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より
その後、配偶者が老齢厚生年金や老齢基礎年金をもらえますので、本人の加給年金は停止となります。
出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
短い間ですが、月額約3万2000円の上乗せでご夫婦の収入が増えるため、助かるのではないでしょうか。
出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
もしも、ご夫婦に18歳到達年度の末日までのお子さん(一般的に高校3年生)がいる場合は、2人目までは追加で年間22万3800円(月額1万8600円)もらえます。
2. 2022年4月より一部の加給年金が停止となった
63歳の妻が一定の収入(850万円)以下である場合、加給年金を受け取ることができていましたが、制度改正により、2022年4月以降は加給年金の停止が行われています。
配偶者が通常65歳からもらえる老齢厚生年金(※2)、退職共済年金(組合員期間が20年以上ある方)について、実際に受け取っていなくても、受け取る権利がある場合(在職により支給停止となっている場合など)は、配偶者加給年金が支給停止されるようになったのです。
※2:厚生年金に20年以上または共済組合等の加入期間を除いた、期間男性は40歳以降15年から19年以上、女性は35歳以降15年から19年以上の場合
3. 2022年4月以降の経過措置
ただし、該当者には経過措置が設けられています。
出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
令和4年3月時点で、本人の老齢厚生年金または障害厚生年金に加給年金が支給されている場合
令和4年3月時点で、加給年金の対象者の配偶者で、厚生年金保険の被保険者期間が240月(20年)以上ある老齢厚生年金等の受給権があり、全額が支給停止されている場合
この加給年金をもらうために、配偶者の働き方を調整されている方もいらっしゃいます。
一般的に夫が厚生年金に20年以上加入し、妻が厚生年金に20年未満の加入であれば、夫に加給年金の受給権が発生していました。
しかし、今回のような改正で、働き方によっては加給年金をもらうことができなくなります。もらえると思っていたものがもらえなくなる、思わぬ落とし穴のようなものです。
加給年金がもらえないのであれば、厚生年金に加入する期間が20年未満ではなく、20年以上にした方が老齢厚生年金も多くもらえますね。
世界と比べても日本の高齢化率は高くなっています。財政上、日本の国としても厳しくなってくるのであれば、歳出抑制のために、このような改正は今後もあるでしょう。
4. 加給年金の制度改正を受けて今後どうすれば良いのか
法律上で改正される制度については、個人ではどうすることもできません。
例えば先ほどの例で、加給年金をもらうために厚生年金の加入を調整している場合など、加給年金がもらえないのであれば、20年を超えて厚生年金に長く加入している方が、将来もらえる老齢厚生年金を増やすことができます。
加給年金は配偶者が65歳になるまで受給することができますが、老齢厚生年金は一生涯もらうことができます。
夫婦で年齢差がある場合は、加給年金を受給した方が良いでしょうが、年齢差がなければ、加給年金をもらえる時期は短いので、ある程度厚生年金に長く加入しても良いのではないでしょうか。
5. まとめ
年金の加入については、本人や配偶者の体調、また家族の状況にもよりますし、扶養のことも考える必要があるでしょう。年齢を重ねていくと働くことが難しくなってきます。
今後も働くことができれば、厚生年金に加入し働き続けると将来の厚生年金を増やすことで、老後の収入を増やすこともできます。
公的年金は老後の収入の中心となるものですが、公的年金は今回のような改正もあるでしょう。
高齢者が増えるため、年金額が増えることは期待できないので、ご自身で老後資金を準備することも必要になってきています。
公的年金で将来の収入を増やす手段を作っておき、今からでもできるのであれば老後の準備として、ご自分の年金を作りましょう。
老後までの準備期間が長ければ、税制面でも有利なiDeCoやNISAなどで老後資金を準備する方法も考えましょう。
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