目に留まったのは繁殖用の猫…ペットロスを救った愛猫との軌跡とは?
最近では、外で暮らしていた猫を保護し、家族に迎える人も増えてきました。飼い主さんと保護猫ちゃん、どのように出会って、どんなふうに共同生活を築き上げているのでしょうか?飼い主さんのリアルな声をお届けします!
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【みんなの保護猫物語〜くっこさんのお話〜】
ペットロスで悲しむ日々、訪れた運命の出会い
画像提供:先代猫のロクちゃん/@RNKmama1
2020年5月23日、くっこさん(マンチカン長足/メス)をお迎えした飼い主さん。出会いに至るまでには、紆余曲折があったのだそう。
くっこさんをお迎えする前、先住猫ちゃんと暮らしていた飼い主さん。「1996年8月16日、先代黒猫ロク(メス)を保護しました。産まれたばかりの子猫と一緒に捨てられていましたが、残念なことに保護したのは母猫ロクだけでした。ロクは野良猫ではなく「飼い猫」だったそう」と、その出会いを振り返っています。
その後、飼い主さんのもとで幸せに暮らしてきたロクちゃんですが、2019年にお別れの時がやって来たといいます。「ロクが、25歳2ヶ月で虹の橋を渡り、私は重度の「ペットロス」になりました」と飼い主さんは悲しみのあまり心のバランスを崩してしまったそう。
そんなある日、「2020年3月頃、多分、私のことを心配していたのでしょう、ロクが夢の中に初めて出てきました。その時、現れたロクは、まだ若い時のロクでした」と、思いがけない再会を果たした飼い主さん。
その後、ペットロスから抜けられない飼い主さんを心配した旦那さまから、「新しい猫を探したら」と声をかけられ、探し始めたところ、「保護猫サイトでくっこさんと出会いました」と、明かしています。
飼い主さんによると、「何百匹の猫を見て、一目惚れしたのがくっこさん。目が大きくて可愛いと思った反面、他猫と表情が異なり、3枚の写真が全て怯えた目をしていました」と、くっこさんが醸し出す雰囲気がとても気にかかったのだそう。
画像提供:@RNKmama1
「すぐにでも保護してあげたい、きっとロクが『この子を私の時のように保護してあげて』と言っているようで直ぐに連絡、会いに行かずに引き取ることにしました」と、心が決まったといいます。
くっこさんのことを知るうちに、飼い主さんが写真から感じ取った不安が的中することになったそう。
「くっこさんは、2017年7年9日生まれ。付いていた名前は、クララちゃん。くっこさんは所謂「繁殖用猫」。サイトには「ブリーダー引退」と書かれていて、まだ3歳なのになぜ引退したのか(普通4歳〜5歳位)理由を尋ねると、「雄猫が嫌いで、繁殖できないから」との答えでした」と、語る飼い主さん。
子猫を産むことができなかったというくっこさんは、「3年間ケージ生活で、たまにケージの外に出してもらえた」という過酷な生活を強いられていたといいます。
くっこさんにとっても、飼い主さんにとっても、人生の転機となった運命的な出会いだったのではないでしょうか。
苦難を乗り越え、温かいお家へ
画像提供:@RNKmama1
くっこさんをお迎えした当時について、「2020年5月23日 (土) 、夫、長女の3人で往復2時間かけて、サポート提携病院へ迎えに行きました。避妊手術、血液検査、マイクロチップを装着後に引き取りました。キャリーケースの中で固まっていて、一言も鳴かなかったです」と語る飼い主さん。
お家に到着してからは、「すぐにキャリーケースを開けるや否や、テレビ台の後ろに隠れてしまいました。ケージはあえて用意しませんでした。なぜならくっこさんには、家の中をどこでも自由に歩き回って欲しかったから」なのだそう。
その後、くっこさんは、「水と食事を置くと、翌朝には食べた形跡があり、食事に関しては一安心。術後の抗生物質を飲ませようと、何とか捕まえて抱っこするも、噛まれてしまい断念。翌日、近所の動物病院へ連れて行き、事情を説明、抗生物質の注射をしてもらい、術後着がほつれてきていたので、病院で貸してもらいました」と、新しい環境に戸惑っていたようです。
この時期、大変だったことについて、飼い主さんは、「一番の問題はトイレでした。キッチン収納引き出しと爪研ぎにマーキングが続きました。くっこさん自身がどうしてよいのか、わからなかったのでしょう。毎日、キッチンに段ボールとペットシートを貼り、床にもペットシートを置くと、だんだんマーキングをしなくなり、ペットシートの上でするようになりました。そのシートをトイレへ入れておくと、1ヶ月後、ようやくトイレでできるようになりました」と、明かしています。
「時間がかかりましたが、その時は思わず『おりこうさんだね』と褒めてあげました」と、くっこさんのペースに合わせて見守ることでだんだんと落ち着いてきたのだそう。
また、くっこさんの定位置があったそうで、「くっこさんが、どこで過ごしていたかというとテレビの後ろです。家族の留守を見計らって出てくるの繰り返しでした。しばらくすると、家族がいても出てくるようになりましたが、触れることはできませんでした」と、完全に打ち解けてもらえるまでには、さらに時間を要したといいます。
「目を合わせると威嚇され、それでも私は『世界で一番可愛い子だね』と、毎回、口に出して言い続けました。今でもです」と、飼い主さんの変わらない愛情がくっこさんの心を癒していったようです。
画像提供:@RNKmama1
一定の距離を保っていたくっこさんですが、ある日、変化が訪れたそう。
飼い主さんによると、「2020年9月26日、伸び放題のくっこさんの毛と爪をカットしてもらいに、再度、動物病院へ連れて行きました。実は、この日が転機で、くっこさんに初めて触れることができました」と明かしています。
「ちょっと毛をカットではなく丸刈りになったのですが、寒くて、テレビ後ろから出てきて、用意しておいた猫クッションへ入ってくれました」と、これまでの緊張が一気に解けていくように、くっこさんが安心して過ごすようになったそう。
さらに、「そっと手を伸ばして、優しく首を触ったら、喉をゴロゴロ鳴らしてくれました。家に来て4ヶ月後の出来事です。その時の感動を今でも忘れないです」と教えてくれました。
ちょっぴり怖がりなくっこさん
画像提供:@RNKmama1
くっこさんの性格について、「とても警戒心が強いです。玄関インターホンが鳴ると、一目散に、2階へ駆け上ります。家族以外は、誰もくっこさんに会ったことがありません」と語る飼い主さん。
「あと、夫が苦手で、夫がそばにいるとイカ耳になります(笑)Twitter写真によく載せています」と、パパとの関係はあと一歩といったところのようです。
画像提供:@RNKmama1
慎重派な一面のあるくっこさんですが、一方で、「とても甘えん坊ですね。私のベットに来て、一緒に寝ます。私が名前を呼ぶと、必ず返事をします」と飼い主さんとのコミュニケーションを楽しんでいるといいます。
また、ご家族それぞれに、呼び名が違うそうで、「実は、私、夫、次女は『くっちゃん』と読んでいて、長女だけが『くっこさん』。長女が、Twitterをやることを勧めてくれたので、アカウント名は『くっこさん』になっています」と、教えてくれました。
猫との暮らしについて
画像提供:@RNKmama1
くっこさんについて、「私をペットロスから救ってくれたので恩猫です。とても感謝しています」と語る飼い主さん。
猫との暮らしを通して、「猫は家族の一員であるということ。人間の赤ちゃん同様、言葉を話すことはできないけれど、表情、鳴き声で感情を表してくれます。くっこさんの「おはよう」「一緒に寝よう」「どこ行ってたの?」の鳴き声を聞き分けることができるようになりました」と、たくさんの学びや発見があるそう。
改めて、これまでの軌跡を振り返り、飼い主さんは、「とっても甘えん坊なくっこさん、家族の一員になってくれてありがとう」と愛溢れるメッセージを届けてくれました。
くっこさん、飼い主さん、素敵なエピソードをシェアしてくださり、本当にありがとうございました!
※この記事は、取材協力者さまのご了承をいただいたうえで制作しています
取材・編集/ねこちゃんホンポ編集部
ライター/藤みと
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