【厚生年金】年の差夫婦は「加給年金」で年間39万円アップ?条件とは
特に年が離れた配偶者がいる世帯にとって、定年退職後のお金は不安に思えるかもしれません。公的な年金に加算される「加給年金」について解説します。条件にあてはまれば39万円も年金に加算される可能性があります。
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2022年4月から変更になった特別加算
定年後の生活について、そろそろ考え始めているという方もいるのではないでしょうか。
特に年が離れた配偶者やまだ大学生以下の子どもがいる世帯にとって、定年退職後のお金は不安に思えるかもしれません。
そこで今回は、公的な年金に加算される「加給年金」について解説します。条件にあてはまれば年間39万円も年金に加算される可能性があります。
厚生年金の被保険者が知るべき「加給年金」とは
加給年金とは、厚生年金に加入する方が65歳に達したとき、一定の条件を満たす子どもや配偶者がいる場合、年金に上乗せして支給されるお金のことです。
一定の条件とは次のとおりです。
加給年金の支給要件
厚生年金の被保険者期間が20年以上あること※
65歳到達時点(または老齢厚生年金の支給開始年齢に達した時点)で、生計を維持している65歳未満の配偶者、18歳到達年度の末日までの子(または1級・2級の障害がある20歳未満の子)がいること
※20年に満たなくても、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年あれば対象
加給年金の所得制限
支給要件の2番目に「生計を維持している」という文章があります。日本年金機構によると、生計維持について下記のように定義づけられています。
生計を同じくしていること。(同居していること。別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族である等の事項があれば認められます。)
収入要件を満たしていること。(前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であること。)
つまり、配偶者や子どもの収入が「年収850万円未満または所得が655万5千円未満」を超えてしまうと、年齢の要件は満たせても対象外になってしまうといえます。
加給年金はいくらか
では要件にあてはまった場合、加給年金はいくら受け取れるのでしょうか。
加給年金額一覧表
出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
65歳未満の配偶者がいる場合、22万3800円の加給年金が受け取れるということです。
また子どもは一人につき22万3800円、3人目からは7万4600円の加算になります。ただし1人目の子どもが対象外の場合、2人目を1人目としてカウントします。
配偶者加給年金の特別加算
配偶者加給年金では、2022年4月より特別加算として下記の金額が加算されます。
出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
1943年(昭和18年)4月2日以後に生まれた方は、特別加算額が16万5100円となります。
これにより、加給年金の合計額は38万8900円です。約39万円も年金額が加算されることを思うと、年の差夫婦にとって心強い制度といえますね。
加給年金の注意点
年の差夫婦や晩産夫婦にとって心強い加給年金ですが、注意したいポイントもあります。
要件に外れると自分で手続きしないといけない
対象となっていた配偶者が、自分自身の老齢厚生年金・退職共済年金・障害年金などを受け取るとき、加給年金の対象外となります。
自分で手続きが必要となるケースもあるので、最寄りの年金事務所等に確認するようにしましょう。
2022年4月に改正された
2022年4月の改正により、配偶者が老齢厚生年金や退職共済年金を実際に受け取っていなくても、受け取る権利がある場合は、配偶者加給年金額が支給停止されることになりました。
ただし、現在は経過措置が設けられています。
出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」
在職老齢年金や繰下げ受給に注意
在職老齢年金の支給停止になった場合、加給年金も全額停止となる点に注意しましょう。
また、65歳より後に年金受給開始となる「繰下げ受給」では、受給額を増やせるメリットがある一方、加給年金は増額されず受け取れない点にも気をつける必要があります。
まとめにかえて
同じ定年を迎える家庭でも、その家族事情はさまざまです。必要なお金も異なるため、こうした公的制度をしっかり押さえたうえで、老後の備えを始める必要があります。
加給年金には、さらに配偶者に国民年金の納付義務が発生する可能性があるなど、事前に知っておくと安心できる情報があります。
まずは情報収集から始めてみましょう。
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