丸暗記も典型的なNG例? 子どもの「成績を下げる」家庭に共通する、親たちの“逆効果”な働きかけ

わが子の成績を上げようといろいろ働きかけているのに、なんだか空回りしていると感じていらっしゃる方は要注意! 実は成績を下げる親の働きかけTOP3をお伝えします。

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わが子の成績がもっと伸びたらと思い、いろいろ働きかけているのに子どもはなかなかやる気を出さず、成績は上がるどころか下降気味……。そんな毎日になんだか空回りしていると感じているならば、もしかしたらわが子の成績を上げようとやっていることが、実は成績を下げる働きかけになってしまっているかもしれません。

そこで今回は、わが子の成績を下げる親の働きかけをランキングにしてお伝えします。

第3位:塾の復習を「基本から発展まで」ちゃんとやりきらせようとする

もし毎回の単元、すべてのページの復習をするようにがんばらせているということであれば、それがお子さんの成績が上がらない原因である可能性が高いです。毎回のカリキュラム、テキストのすべてを復習しようとすると、すべてが消化不良になってしまいます。

テキストのページは易しい順に基本問題、練習問題、応用問題、発展問題で構成されていますが、成績が上がらない子ほど、4つのレベルの問題をまんべんなく復習しているものです。

4つのレベルの問題をそれぞれ25%ずつ、同じくらいの時間をかけて復習するんですよね。それが成績が上がらない原因です。このやり方では、基本問題を理解するための時間は足りず、応用・発展問題はかけている時間の割に、理解しきれないままになってしまいます。

成績が低迷していて、お子さんのやる気も上がらないようであれば、筆者だったら思い切って「基本問題90%、練習問題10%、応用問題0%、発展問題0%」というように復習時間を割り振ります。ほぼ基本問題に振り切った時間配分です。

基本さえしっかり理解すれば、今、応用や発展まで手をつけなくても、あとでなんとかなります。それよりも、応用や発展の問題に手を出したばかりに、基本の理解がおろそかになる方が問題です。

進学塾は、成績がいい塾生にもの足りなく思われて、他の塾に転塾されてしまうのをいちばん恐れています。そのため、成績優秀な塾生にも歯ごたえのある問題をテキストに載せることで、「この塾は簡単すぎるから、もっとハイレベルな塾に行こう」と思われないようにしているんですね。

ですから、ほとんどの子にとっては、発展問題まで勉強するのは無理があるのです。

そもそも中学受験の勉強は、学校の教育指導要領を大きく超える特殊な勉強ですから、自信を失いやすいんですよね。中学受験の勉強は、基本事項であっても十分ハイレベルです。

応用・発展問題は割り切ってスルーして、基本問題を中心に取り組むことで、子どもは「できる、これもできる!」と、自信を取り戻し、やる気を出していきます。

第2位:公式を丸暗記させて“短期的に”成績を上げようとする

わが子の成績を上げようと躍起になるほど、成績は上がらなくなっていきます。

短期的に成績を良くするのは、難しいことではありません。次回のテスト範囲の知識事項を丸暗記して、手早く解くための公式を覚えて、その公式を使えるようにトレーニングすれば、次回のテストの点数は上げられます。

でもそんなふうに「なぜその公式が成り立つのか?」という本質を理解しないまま、答えを出すことだけを優先すると、いずれ成績が伸び悩みます。

丸暗記も、成績が伸び悩む原因です。私たち親世代は、子どもの頃、中学・高校の定期テストを乗り切るために、徹夜で教科書を暗記して、テストが終わったらきれいさっぱり覚えた内容を忘れるという経験があるのではないでしょうか。

一年に一回の健康診断が近づいてきたときだけ、飲み食いを節制するみたいなものですね。すぐに結果に表れることは、すぐに元通りになります。半年後、一年後の成績を上げるためには、いったん来週、再来週のテストの成績には目をつぶる必要があります。

「そんな悠長な」と思われるでしょうか。では、思い出していただきたいのですが、なぜわが子を中学受験の道に進ませようと思ったのでしょう。

質の高い教育を受けさせてあげたい。個性を発揮して将来の選択肢が広がるような大学に進学させてあげたい。さまざまな課題にしなやかに向き合って生きていける社会人になってほしい。そう願って中学受験の道に臨ませているのではないでしょうか。

もしそうであれば、そうした力は、私立中学進学のために今を犠牲にしなくても、日々の中学受験勉強を通じて培うことができます。なぜその公式が成り立つのか、なぜそのテクニックを使えば答えを出せるのか、暗記しようと思う対象の共通点や関連性はないか……そんなことを考えることで身についていく思考力は、社会に出てからこそ発揮されます。

それなのにとにかく目の前の問題の答えを出すだけの短絡的な勉強を強いてしまってはもったいないですよね。受験勉強では、目の前の具体的な問題を、いったん「これはどう向き合えばいいのか」と考えて抽象化します。それが本質的な理解につながるのです。

その理解をまた別の具体的な問題に当てはめて解く、これをくり返すことにより長期的に成績が上がっていくようになりますし、たとえ受験結果がどうあろうと、途中で受験勉強をやめたとしても、お子さんの将来に必ずプラスに働きます。

第1位:勉強を強制する! 嫌々取り組んでも成果は期待できない……

どんなことでも強制されると逃げたくなるのは、大人も子どもも一緒です。ただでさえ嫌いになりがちな勉強を強制なんてしたら、子どもは間違いなく勉強嫌いになるでしょう。そして、嫌いなものに嫌々取り組んでも、成果は期待できません。

もし親が「勉強=苦行」と考えているのであれば、まずはその考えを改めましょう。四谷大塚の「中学入試過去問データベース」からほとんどの中学の過去問をダウンロードすることができるため、最新の入試問題を見てみてください。

親世代が受験をした昭和時代のような「知っていれば答えられるけど、知らなければ書けない」という、単純に知識を問う問題は少なくなっています。

例えば、2019年度の慶應中等部では、「日本を訪れる外国人観光客に対して、あなたができる『おもてなし』を、具体的に1つ答えなさい。」という問題が出されています。

また2022年の開成中では、「母親なのに単身赴任? お子さん、かわいそうね」という言葉の背景には母親に対するどのような思い込みがあるか、ということを答えさせる問題が出ています。こうした問題は、暗記で知識を詰め込まなくても答えられますよね。

子どもの成績を上げようと思ったら、まずは親自身が「勉強=苦行」という思い込みから抜け出しましょう。親が「勉強=苦行」だと思って子どもに接しているうちは、子どもが勉強のおもしろさにハマるのに時間がかかります。わが子が「今までこう考えていたのに、違った!」と驚く機会を作れるように、一緒に工夫していきましょう。

いかがでしたでしょうか。筆者は子どもたちに、いかに学ぶおもしろさを味わってもらうかを最優先にして受験指導をしてきました。勉強の楽しさに気付くことは、目の前の受験だけでなく、生涯にわたって自分を助ける力となるはずです。長期的な目線で、わが子に働きかけてあげてくださいね。

西村 創プロフィール

早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wings等で、講師、講師指導、校長などを務め、受験指導の専門家に。歴史・公民・小論文等に関する書籍を11冊出版。メディア出演・YouTube等で、受験や時事問題に関する情報を精力的に発信している。

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