マンションを売却した後の確定申告では減価償却が必要。計算のポイントを解説します

マンションを売却したら、その年度末に確定申告をする人が多いはずです。確定申告をするときには、減価償却費の計算が必要となります。しかし、減価償却って何?という方もいれば、計算が苦手で自分で申告できるか今から不安という方もいるかもしれませんね。そこで今回は、減価償却についての基礎知識をご紹介します。

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減価償却って何のこと?計算の方法は?

まずここでは、減価償却の意味と減価償却費の計算方法についてご紹介します。

【1.減価償却の意味】
建物や備品、車両運搬具などは使っている内に老朽化してしまいます。つまり、その分の価値も減少するということです。また、年月が経つことで流行遅れになったりしても、価値は減少します。この価値の減少額を費用とし、固定資産の取得原価を減らすという会計上の処理を、減価償却と呼んでいます。ちなみに、土地は使用期間や時間の経過による価値の減少はありません。そのため、土地に対しては減価償却は行いません。

【2.減価償却の計算方法】
次に減価償却費の計算方法ですが、以下の式で計算できます。

物件購入費×0.9×償却率×経過年数=減価償却費

償却率が分からないという方も多いでしょう。これは、建物の構造によって変わってきます。マンションは通常、鉄筋コンクリート造(RC造)の場合が一般的です。RC造の建物の耐用年数と償却率は次のようになります。

鉄筋コンクリート造(RC造)の場合:【非事業用の建物】耐用年数70年、償却率0.015 【事業用の建物】耐用年数47年、償却率0.022

このように、減価償却の対象となる固定資産ごとに、耐用年数が法律で定められています。建物の造りに応じて木骨モルタル造、鉄筋コンクリート造など、細かく分けられいます。また、同じ鉄筋コンクリート造の建物でも事業用か非事業用かで耐用年数が異なりますから、その場合減価償却費も変わってきます。ここでは、非事業用の鉄筋コンクリートで計算してみましょう。

【マンションを4,000万円で購入し、10年が経過してから売却した場合の減価償却費】40,000,000円×0.9×0.015×10年=5,400,000円

マンション売却で減価償却が必要な理由

ここでは、マンションを売却する際にはなぜ減価償却が必要なのかについてご説明します。

【1.確定申告で必要になるため】
以下の式では、マンション売却による所得を計算できます。

譲渡価額-取得費-譲渡費用=譲渡所得

※譲渡価額:マンションを売却した金額
※取得費:売却したマンションの購入額(仲介手数料含む)から、減価償却費を控除した金額
※譲渡費用:売却に要した仲介手数料等の費用

こうして計算された「譲渡所得」に対して課税されるため、マンションを売却した人は確定申告が必要になります。基本的にはマンションを買った金額よりも高い金額で売却できた人、つまり譲渡所得がプラスになった人が対象になります。

【2.取得費を求めるため】
確定申告をする際には譲渡所得が必要ですが、上記の式で計算するには所得費を求めなければなりません。ここで必要となるのが減価償却費です。先にご説明した通り、取得費用=マンション購入額とはなりません。減価償却を行った後の金額を当てはめますので、計算方法は以下の通りとなります。

40,000,000円-5,400,000円=34,600,000円

4,000万円で購入して10年が経過したマンションの取得費は、上記となります。もしこのマンションが3,000万円で売却できたとし、譲渡費用が90万円かかったとして譲渡所得を計算してみましょう。

(譲渡価格)30,000,000円-(取得費)34,600,000円-(譲渡費用)900,000円=(譲渡所得)-5,500,000円

結果として550万円の損失が出てしまいました。基本的に確定申告が必要となるのは譲渡所得がプラスとなった人なので、もしマイナスであれば税法上は確定申告をする義務は発生しません。ただし、以下のケースに該当すれば特例の適用対象になる場合があります。

・マンションの買い換えを行った場合:居住用財産の買い換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰り越し控除の特例
・売却した場合:居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰り越し控除の特例

上記の特例対象となった場合は税金の還付が受けられるため、確定申告をすることによりすでに納めた税金の一部を返してもらえるかもしれません。ちなみに取得費には仲介手数料だけでなく、購入時の売買契約書の印紙税、不動産取得税、司法書士への報酬なども含むことができます。取得費が大きくなれば譲渡損失額も大きくなり、その分戻って来る源泉徴収税額が増えることになりますから、覚えておくと良いでしょう。

減価償却を行わない例もある

ここでは、例外的に減価償却を行わない場合についてご紹介します。

【1.最大3,000万円の特別控除を受けられる人】
譲渡所得がプラスになれば本来は課税対象となるのですが、ご自分が居住していたマンションを売却した場合には得た利益に対して最大3,000万円の控除があります。

課税譲渡所得=譲渡所得-(最大3,000万円の)特別控除

上記の式で計算を行って課税譲渡所得がマイナスになれば、非課税となるため所得税は発生しないことになります。

【2.購入した時期が古すぎて、契約書がない人】
マンション購入から年月が経ってしまい、契約書がないという方も少なくないでしょう。そんなときは「概算取得費(売却したマンションの譲渡価格の5%)」という数値を用います。もしマンションが30,000,000円で売却でき、譲渡費用が900,000円の場合の課税譲渡所得は以下となります、

(譲渡価額)3,000万円-(概算取得費3,000万円×5%)150万円-譲渡費用90万円=課税譲渡所得2,760万円

この計算方法で課税譲渡所得を計算する場合には、減価償却は行いません。

まとめ

今回は、マンション売却の際の減価償却について詳しくご紹介しました。実際にマンションの減価償却費を求める計算をするとなると、なかなか複雑なものですね。しかし、自分が売却したマンションの資産価値を知ることは確定申告をする上でも大切なことです。面倒に感じるかもしれませんが源泉徴収税額の還付を受けられるケースもありますから、マンションを売却したら確定申告にかかわるお金の計算についてはきちんと把握しておくようにしましょう。

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