公務員の退職金「2000万円以上」を検証。会社員との違いとは

公務員のみならず、会社員も退職金事情が気になるところですよね。身近で語られる機会も少ないため、馴染みがないかもしれません。その実情を見てみることで、将来を考えるヒントとしてみましょう。

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コロナの新規感染者数が、過去最高を記録する都道府県が続いています。「まん延防止等重点措置」がとられたことにより、売上が不安定となる業種も出ていることでしょう。

公務員は比較的安定しているイメージから、たびたび「退職金は2000万円を超えるのではないか」という声もあがります。実際、公務員のみならず、会社員も退職金事情が気になるところですよね。

遠い将来のことに思える退職金事情。身近で語られる機会も少ないため、馴染みがないかもしれません。その実情を見てみることで、将来を考えるヒントとしてみましょう。

【注目記事】50歳を超えてから「月30万円の不労所得」を作る4つの方法

公務員は大きく2種類

一口に公務員といっても、その種類はさまざまです。ここでは大きく2つにわけて解説します。

国家公務員:国の業務に従事する職員で、省庁職員、自衛官、大使、裁判官、国会議員、検察官など

地方公務員:地方自治体で働く職員で、市区町村の役場職員、教員、警察官、消防官、自治体の議員など

今回は約58.8万人がいる国家公務員のうち、人事院勧告の対象となる給与法適用職員の退職金について見ていきたいと思います。

【図表】国家公務員(常勤職員)の平均退職金

国家公務員の退職金「2000万円以上」は本当か

さっそく、内閣官房が公表する「退職手当の支給状況(令和2年度退職者)」を参考にしながら、国家公務員(常勤職員)の平均退職金を見ていきましょう。

【出典】内閣官房「退職手当の支給状況(令和2年度退職者)」

常勤職員

全体平均:1023万9000円

定年:2142万1000円

応募認定:2551万9000円

自己都合:299万4000円

その他(※):193万5000円

常勤職員のうち「行政職俸給(一)適用者*」 (*一般行政事務を行う職員)

全体平均:1507万4000円

定年:2127万9000円

応募認定:2276万円

自己都合:384万9000円

その他(※):245万4000円

※「その他」には、任期制自衛官等の任期終了(常勤職員)や死亡等による退職が含まれています。

応募認定とは、45歳以上の職員を対象に、定年退職より前に募集された退職制度のことです。いわゆる早期退職制度の位置付けとなるため、定年退職よりも融通された退職金が受け取れます。そのため、平均額では定年退職を上回っていますね。

上記の平均額を参考にする限り、「公務員を定年まで勤め上げれば、2000万円の退職金が受け取れる可能性が高い」と言えそうです。

会社員の退職金はいくら?

ここで気になるのが、会社員の退職金です。公務員は「安定している」のみならず、「高給」というイメージを持たれる方もいるでしょう。ここでは会社員の退職金について見ていきます。

少し古い統計になりますが、厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況(一時金・年金)の支給実態」が参考になります。

大学・大学院卒の平均退職金(管理・事務・技術職)

定年:1983万円

会社都合:2156万円

自己都合:1519万円

早期優遇:2326万円

高校卒の平均退職金(管理・事務・技術職)

定年:1618万円

会社都合:1969万円

自己都合:1079万円

早期優遇:2094万円

「定年退職」では2000万円に届かないのが現状のようです。ただし勤続年数が増えるごとにあがる傾向があり、35年以上勤めた人に限定すれば、平均2173万円となります。公務員でも会社員でも、勤続年数によっては「退職金2000万円」を目指せる可能性があるということです。

あくまでも平均なので、実際の金額は職種や会社の業績で左右されます。また、最近では退職金の制度自体がなくなる(他の制度に移行する)会社も出てきました。これらのことを考慮すると、平均だけではなく自社の制度についても知ることが大切だと言えます。

退職金の考え方

公務員でも会社員でも、一定数の方が「退職金2000万円以上」をもらえることがわかりました。ただし、平均だけを鵜呑みにして老後の備えをしないのは、リスクが高すぎます。

同じく厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」の「表番号 32産業・企業規模、退職給付(一時金・年金)制度の有無、形態別企業割合」によると、退職給付(一時金・年金)制度がない企業は19.5%に上ります。「中小企業退職金共済」や「企業型確定拠出年金(DC)」に移行する企業も出ているので、就業規則等を確認しましょう。

また退職金がもらえる見込みのある方でも、そのお金の置き場所が大事になります。特に、一時金で受け取る方は預け先を慎重に選びましょう。筆者は以前地方自治体で公務員をしていましたが、定年退職の日(3月31日)が近づくと、あらゆる金融機関から「退職金の運用」についての電話が上司あてに来ました。

投資に慣れている方であれば、一括で運用する選択肢もあるかもしれませんが、退職金を初めての運用に選ぶのはおすすめできません。

もし資産運用も視野に入れているのであれば、長期での運用を心がけましょう。そのためには退職前後ではなく、できる限り早めにスタートさせることが効果的です。

老後を考えるなら「早めに」が大事

公務員と会社員の退職金を参考にしながら、老後の備えについて考えてきました。大原則として、退職金だけをあてにした老後計画はリスクがあります。定年退職を一つのゴールとして、それまでにある程度資金を貯める必要があるでしょう。

多く時間をかけられた方ほど、退職後の生活にはゆとりが出ます。「目の前の教育費や住宅ローンで精一杯」という家庭も多いですが、少しずつ考えていくことが大切です。

教育資金や生活費とは別に、老後資金は色分けして貯める計画を立ててみましょう。貯蓄以外にも、保険や運用など方法は多岐に渡ります。情報収集することで、自分に合う方法を見つけてみましょう。

参考資料

内閣官房「退職手当の支給状況(令和2年度退職者)」

厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 結果の概況(一時金・年金)の支給実態」

厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 退職給付(一時金・年金)制度 表番号 32産業・企業規模、退職給付(一時金・年金)制度の有無、形態別企業割合」

人事院「国家公務員給与の実態」

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