リサイクルをするにも、法律を知っておかなければならない!正しい家電の処分の仕方を紹介
家電リサイクルをすることだけでもきちんと決まりを守らないといけないことはご存知でしょうか?法律にも定められているくらい、とても大事なことなんです。処分するときに「知らなかった…!」ということを防ぐために、家電をリサイクルする方法をマスターしましょう。
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春は進学や就職あるいは引っ越しをきっかけに、家電製品を新しく購入した方も多いでしょう。新しく買っただけならいいのですが、意外と悩むのが「買い替えたときの、古い製品の処分方法」。いらなくなった家電を適正に処分するにはどうしたらいいのか。ゴミなのかリサイクルに出すものなのか。不用なものを片付けてさっぱり、なおかつルールに沿ってスッキリ処分する方法をご紹介します。
■目次
1. 新しい製品に買い替えた場合と、もう使わないから処分したい場合
2. 家電リサイクル法と家電の正しい処分の仕方
3. 大型家電を処分するときの注意点
4. 小型家電リサイクル法とその注意点
5. 実際にリサイクルに出してみた
6. リサイクルショップに買い取ってもらう場合の注意点
7. リサイクルもネットの時代!家電を売買・譲渡できるWebサービスの紹介
8. リサイクルショップで家電を買うときの注意点
まとめ
1. 新しい製品に買い替えた場合と、もう使わないから処分したい場合
いらなくなった家電は、不用になった理由によって処分の仕方が異なります。
1つ目は、家電の買い替えで古い方が不要になったパターン。この場合、購入したお店で引き取ってもらうことができます。
2つ目は、新しく買ったわけではないけれど、いらなくなったから処分したいという場合。自分で小売店に持ち込む、あるいは電話して引き取りに来てもらって処分します。ただし引き取りの場合は、処分費用の他に運搬費用を支払う必要があります。
また、自治体の粗大ゴミ回収に出すこともできます。その際、「粗大ゴミ」シールを購入して不要家電に貼り、行政の担当部署に連絡して引き取りを依頼します。しかし回収日時を指定できないことが多いので、急ぐ場合や忙しい方には不向きです。
民間業者に回収を依頼するときは、自治体から「一般廃棄物処理業」の許可を得ている業者(または自治体の委託を受けている業者)に相談しましょう。処分費用の他に運搬費用が必要な場合もあるので、見積もりをとって検討するのが適しています。「産業廃棄物処理業」の許可を受けている業者は法律上、一般家庭ゴミの回収はできません。問い合わせの際は一般廃棄物業と混同しないよう、気を付けましょう。
2. 家電リサイクル法と家電の正しい処分の仕方
「家電リサイクル法」という言葉はご存知の方も多いはず。ただ、どの家電が対象なのかはご存知でしょうか。
「家電リサイクル法」は正式には「特定家庭用機器再商品化法」という法律であり、2001年(平成13年)4月1日より施行されました。この法律は、「冷蔵庫・冷凍庫」、「洗濯機・衣類乾燥機」、「エアコン」、「テレビ」の4品目を「特定家庭用機器」として指定し、小売業者は排出者(家電のユーザー)からの引き取りとメーカーへの引渡しができ、メーカーは引き取りとリサイクルが義務づけられています。また、引き取りを求めた排出者は、リサイクル代金と回収にかかる運搬費用を支払うことになっています。
この家電4品目は「ゴミ」ではなく、家電メーカーがリサイクルする義務がある「資源」として扱われるため、どの自治体でも「粗大ゴミ」としての処分はできません。
家電リサイクル法対象外の家電は、種類によって処分の仕方が違います。大型のもの(例:電子ピアノ、マッサージチェア、電動アシスト付き自転車、IHクッキングヒーターなど)は、民間業者に処分を依頼するか、粗大ゴミとして行政に回収を依頼することになります。廃棄処理施設に自分で持ち込めば、処分費用はかかりますが運搬費用はかかりません。
ゴミ袋に入るような小型の家電は、各自治体で不燃ゴミとして出せるケースもあります。(※不燃ゴミとして指定されている品物は自治体によって異なります。)
ただし、「小型家電リサイクル法(こちらは後ほど詳しく説明します。)」で定められたものは家電リサイクル法の4品目と同様に、資源の扱いになります。ゴミではなく、資源回収に出しましょう。
3. 大型家電を処分するときの注意点
家電リサイクル法に定められている4品目のリサイクル料金は、メーカーが商品ごとに設定しています。ここで必要なのが「家電リサイクル券」。この券は、処分を小売店に依頼する場合と、郵便局で代金を支払って指定引取場所へ持ち込む場合の2種類があります。
家電を購入した小売店にリサイクルを依頼すると、廃家電のリサイクル料金と運搬料金を支払い、家電リサイクル券の排出者控を受け取ります。
購入した小売店が廃業、もらった家電で購入先が不明、などで引き取りを依頼できない場合は、「一般財団法人家電製品協会 家電リサイクル券センター(RKC)」にリサイクル代金を支払い、指定引取場所へ持ち込むことができます。
指定引取場所へ持ち込む際は、郵便局の窓口でリサイクル料金と振込手数料を支払います。振替払込受付証明書を家電リサイクル券に貼り、そのリサイクル券を廃家電に貼って指定引取場所に持参します。持ち込む前に、指定取引場所の休業日と受付時間をご確認ください。土日祝は窓口業務が休みの郵便局が多く、ゆうゆう窓口では取り扱っていません。さらに簡易郵便局ではリサイクル券を扱っていない場合もありますので、ご注意ください。
いずれの家電リサイクル券も、記載されている管理票番号で自分がリサイクルに出した家電の追跡が可能です。
「排出者控」は必ず受け取り、メーカーへの引き渡しが完了するまで大切に保管しましょう。家電リサイクル券に記載の管理票番号は廃家電ごとに存在します。家電をまとめていくつか処理する場合でも、家電ひとつにつき家電リサイクル券が一枚必要です。
では、家電リサイクル法の4品目以外の大型家電はどうしたらいいのでしょうか? まず「無料回収を謳っている業者は違法」ということを覚えておきましょう。不要品の回収・販売を行っている業者は「古物商」の許可はあっても「一般廃棄物処理業」の許可はなく、廃棄処理はできません。
このような業者は換金できる部分だけ取り外して不法投棄、海外に不正に転売(廃棄物の国境を越えた移動について定めた「バーゼル条約」に違反)、いい加減な処理で有害物質が放出されるなど、適正な処理をしていません。無料を謳っていながら車に積み込んだ後で料金を請求するなど金銭トラブルも多く、環境省は無許可の回収業者を利用しないよう注意を促しています。
安全に処分できる方法は、廃棄物処理の許可がある業者または家電小売店に引き取りを依頼するか、行政に依頼して粗大ゴミとして回収してもらう、のいずれかです。粗大ゴミの区分は自治体によって異なりますので、お住まいの自治体にご相談ください。
4. 小型家電リサイクル法とその注意点
2013年(平成25年)4月1日に「使用済み小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」が施行されました。通称「小型家電リサイクル法」です。
日本で不燃ゴミとして廃棄される(あるいは家庭の引き出しに眠っている)小型家電は年間65万トンで、それらに含まれる有用な金属は28万トン。さらに鉄、アルミ、銅、そして「レアメタル」と呼ばれる希少金属などを金額に換算すると844億円になるという報告も。この使われずに眠っている小型家電を、都市にある鉱山という意味で「都市鉱山」と呼ぶようになり、「不燃ゴミ」ではなく「資源」として有効活用するために法整備されました。
日本の不燃ゴミ処分場はすでに満杯でもう受け入れられる余地はなく、埋め立てによる環境汚染も深刻です。小型の家電を資源として回収することで、日本の金属資源として役立てながら環境問題にも貢献できます。
小型家電リサイクル法は、各自治体がリサイクルする品目を決定しています。そのため自治体によって回収している品目は異なりますが、フューチャーフォン(ガラケー)、デジタルカメラ、ゲーム機、時計、ヘアドライヤー、電気シェーバー、炊飯器、電子レンジ、掃除機、電子辞書、音楽プレーヤー、パソコンなど、電気や電池で動く機器のほとんどといってもいいでしょう。
公共施設や小売店に回収ボックスが設置されている他、携帯電話・PHSは各キャリアのショップで、パソコンはメーカーまたは「一般社団法人パソコン3R推進協会」が回収してリサイクルを行っています。パソコンのディスプレイモニターは、テレビチューナーが内蔵されているものでも「家電リサイクル法」の対象ではなく、パソコン機器として扱われますのでお気を付けください。
5. 実際にリサイクルに出してみた
実際に、どのように家電のリサイクルを行えば良いのでしょうか。方法は色々とありますが、今回は一番手軽な「自治体に家電の収集・運搬を行ってもらう」方法を試してみました。
■1. 「家電リサイクル券」を手に入れよう
まず、最寄りの郵便局に行って「家電リサイクル券」を貰ってきましょう。貯金の窓口で受け取ることができます。もちろん、その場で記入してもOKです。
■2. 必要事項を書き込もう
左の説明書きを読みながら、必要事項を記入します。「製造業者等名」「品目・料金区分コード(2桁)」は左欄の当てはまる項目を見ながら、「金額」はリサイクル料金一覧表を見ながら書き込みます。リサイクル料金一覧表は、WEB上でも見ることができます。
■3. 郵便局に提出しよう
全ての項目に書き込みが終了したら、再び郵便局の窓口に行き提出します。今回のリサイクル料金は3672円かかりました。
提出をすると上の写真のように受領書と証明書が切り離されるので、家電の引き取りが行われるまで大切に取っておきましょう。また、各家電に貼り付けるバーコードシールも受け取ります。
■4. 家電リサイクル券とバーコードを、リサイクルしたい家電に貼り付ける
今回は冷蔵庫をリサイクルに出します。冷蔵庫の場合は、正面から見て右則面部に貼るのが正しい貼り付け位置です。家電によって貼り付ける位置が変わってくるので、下記リンク先から確認を行ってください。
■5. 自治体に連絡して家電を収集・運搬してもらおう
お住いの自治体のホームページなどに、指定取引場所へ家電を直接持ち込む方法、収集してもらう方法などが記載されています。それぞれ問い合わせ先や方法が異なりますので、チェックしてから連絡しましょう。
今回は、自治体に自宅まで収集に来てもらいます。リサイクル料金に加え、収集・運搬費用もかかるので、指定された金額を準備しておきましょう。この場合、自治体や業者によって金額が変わってくるので、よくご確認ください。指定取引場所へ直接持ち込む場合は、収集・運搬費用はかかりません。
■6. 収集日までに家電を綺麗にしておこう
当たり前のことですが、収集日までに家電を綺麗に掃除しておきましょう。特に、汚れが溜まりやすい冷蔵庫は手入れをしておくことがマナーです。霜取りも忘れずに! そうすることによって、気持ち良く引き渡すことができますね。
6. リサイクルショップに買い取ってもらう場合の注意点
「自分では使わないけれど、まだ使えるから捨てるのはもったいない。誰か他の人に使ってほしい。」というときは、リサイクルショップを活用しましょう。
ショップに買い取ってもらうには、3つのポイントがあります。
■買い手がつくような品物かどうか
ショップの「買い取り」はその延長上に「中古品として販売する」という目的があるため、壊れているものは論外です。壊れていなくても古いものは買い手が付きにくいため、製造から5~6年のものに限定して買い取っているところがほとんどです。新しいものでも、付属品や取扱説明書がなかったり状態が悪かったりすると、減額、あるいは買取不可になることも。パソコンは次々に新しいモデルが発売されるため値崩れが大きく、買い取り査定という点ではあまり期待しない方がいいでしょう。
自宅に買い取り(査定)に来てもらう際には、「品物〇点以上から」、「当店から××km圏内」など条件があるところや、回収が有料のショップもあります。
■そのショップが「古物商」の許可を得ていること(「古物」=「中古品」です、「古美術」ではありません)
古物営業法によって古物の売買を営業するには法律上の許可が必要です。リサイクルショップは所轄の警察署を通して公安委員会に許可申請・取得することになっています。ここでいう「古物」とは一度誰かの手に渡ったものを指し、未使用でも売買されたことがあるものはすべて古物の扱いとなります。
■買い取りは売り主(排出者)の身分証明書が必要
これも法律で決まっており、査定額に合意できても身分証明書がなければ買い取ってもらえません。買い取りしてもらう際は、運転免許証や健康保険証などをお忘れなく。
7. リサイクルもネットの時代!家電を売買・譲渡できるWebサービスの紹介
リサイクルショップも大手チェーンや個人経営などさまざま。ネット上でも売買や譲渡ができるサービスがあります。
「メルカリ」と「ラクマ」は、個人間の売買を仲介するフリーマーケットのようなサービスです。ネットオークションは買い手に価格の決定権があり競り落とされるまで待たなければなりませんが、メルカリとラクマは売り手が価格を設定できるため、早く処分したい人におすすめです。
出品や購入においても煩わしい操作はなく、クレジットカードのほかキャリア決済やコンビニ決済も利用できる手軽さが人気を集めています。また、通販大手のAmazonは、アカウントがあるユーザーに対し買い取りサービスを提供しており、代金はAmazonのポイントで支払われます。
商品を郵送ではなく直接会って受け渡しをするサービスでは、「ジモティ」と「メルカリ アッテ」が代表格。売り手と買い手のやりとりはWeb上で行いますが品物は手渡しなので、送料が高くつく大型家電やいくつもの商品をまとめて売るときに便利です。
商品の受け渡しを自宅ではなく駅や施設など公共の場所を指定し、友人や家族に同行してもらえば安心でしょう。残念ながら、受け渡し当日のドタキャンなどのトラブルも発生していますので、多少のリスクはあることを踏まえたうえでご利用ください。
8. リサイクルショップで家電を買うときの注意点
リサイクル品はメーカーの保証期間を過ぎている物がほとんどです。購入後すぐに故障して、自己負担で修理することも。見た目はきれいでも前の所有者がどんな使い方をしていたのかは分かりません。新品よりも、早く壊れると思った方がいいでしょう。
また家電は年々進化しており、新しいものと古いものとでは省エネ性能が全然違うことも。特に今の冷蔵庫の電気代は、10年前のものより半分以下になっています。長く使うものなら、リサイクル品より新品を買った方がトータルで安く済むでしょう。
なお、家電リサイクル法は中古品にも適用され、販売したリサイクルショップには廃家電を引き取る義務があります。リサイクル品が不要になったときは、購入したショップにご相談ください。
まとめ
自分はただ捨てたいだけでも、手間と費用が意外とかかるのが家電製品。今は、無料でゴミを捨てられる時代ではありません。リサイクルに出せば資源となって新しいものに生まれ変わりますし、後ろめたいことなしに処理するのは気持ちがいいものです。
家電によって適用される法律は異なりますが、これからの地球のためにもひとつひとつ適切に処理していきましょう。
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