住宅購入後にかかる維持費まとめ!税金、保険、修繕費を意識して正しく計画を。
住宅購入後にかかる費用は、おもに税金、保険、修繕費の3つに分かれます。税金は、固定資産税と都市計画税の納付が毎年1回必要です。保険は火災保険と地震保険について、それぞれ保険料がかかります。補償内容を吟味して保険商品を選びましょう。修繕費は5年~10年に1度、塗装やシロアリ防除などの対策が必要です。すべてを合算すると、30年間で13,000,000円程度維持費がかかる計算になります。積み立てを行うなどして意識的に資金繰りをしましょう。
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住宅にかかる税金
住宅購入後にかかる税金には、固定資産税と都市計画税があります。毎年市町村に納める必要のある税金です。
【固定資産税】
固定資産税は以下の計算式で算出します。
税額=固定資産税評価額をもとにした課税標準×1.4%(標準税率)
なお税率は1.4%を標準としていますが、市町村が独自に定める場合があるため、地域によって異なることに留意しておきましょう。
固定資産税評価額とは、固定資産税の税額を決めるための基準のことです。市町村が3年に1回更新します。
土地の固定資産評価額は一般的に、地価公示価格(国が定める土地の価格)の70%が目安です。
建物の一般的な固定資産評価額は、新築時の価格から経過年数分を引いた額になります。
ただし「住宅用地」、つまり住宅に使われている土地については課税標準が減額されます。住宅用地は家屋の床面積だけでなく、庭などの面積も含まれる点がポイントです。
住宅用地と認められる限度は、家屋における床面積の10倍までの面積であることには注意しましょう。
住宅用地に適用される課税標準は以下の通りです。
■小規模宅地(住宅1戸当たり200平方メートルまで):課税標準の6分の1
■一般住宅用地(住宅1戸当たり200平方メートル超で床面積の10倍まで):課税標準の3分の1
なお3年に一度の評価で固定資産評価額が大きく変わったとしても、「固定資産税が大幅に増えてしまった」ということがないよう、負担調整の措置が取られています。
また負担調整は、地域によって課税標準の差が開くのを防ぐことも目的です。
負担調整は、「(前年度課税標準)÷(新年度評価額に住宅用地における課税標準減額の特例を適用した金額)」の計算式で算出する「負担水準」を基準として行われます。
負担水準が100%以上の場合、つまり新しい評価額によって算出された金額が前年度の課税標準額より低かった場合は、課税標準は新年度固定資産評価額に住宅用地における課税標準減額の特例を適用した額となります。
一方負担水準が100%未満の場合、つまり前年度課税標準額より新しい評価額によって算出された金額のほうが高かった場合は、以下の計算式で課税標準額を定めます。
■小規模宅地の場合:課税標準額=前年度の課税標準額+(新年度固定資産評価額÷6×5%)
■一般住宅用地の場合:課税標準額=前年度の課税標準額+(新年度固定資産評価額÷3×5%)
ただし、上記の計算式によって出された課税標準が、住宅用地特例によって減額される課税標準の100%を超える場合は100%相当額、20%を下回る場合は20%相当額が課税標準額になります。
さらに新築家屋については、固定資産税が3年分(認定長期優良住宅の場合は5年分)減額されます。要件は、床面積が50平方メートル以上、280平方メートル以下であることです。
減額される税額は、120平方メートルまでの居住部分に相当する固定資産税額の2分の1です。
【都市計画税】
都市計画税は以下の計算式で算出されます。
税額=固定資産税評価額をもとにした課税標準×0.3%
なお税率は0.3%を上限に市町村が定めるため、地域によって異なります。
住宅用地の都市計画税にかかる課税標準については、固定資産税の場合と同様に減額されます。
適用される課税標準は以下の通りです。
■小規模宅地(住宅1戸当たり200平方メートルまで):課税標準の3分の1
■一般住宅用地(住宅1戸当たり200平方メートル超で床面積の10倍まで):課税標準の3分の2
また土地の負担調整についても、固定資産税の場合と同様に行われます。計算の際には留意しておくとよいでしょう。
住宅にかかる保険
住宅購入後にかかるおもな保険には、火災保険と地震保険があります。
【火災保険】
ローンを組んだ場合は、多くの金融機関で加入が義務化されている保険です。
火災保険が補償する事故には、火災だけでなく、落雷や風災、水害、水漏れ、盗難などがあります。保険によって補償する事故が異なるため、注意して見てみましょう。
なお地震やそれに伴う津波による損壊などについては、火災保険では補償されません。
火災保険の対象は、家屋などの「建物」と、建物のなかにある家具などの「動産」です。
住宅そのものが損壊した場合だけでなく、家具や家電、什器などが壊れた場合も対象となる点は覚えておきましょう。
保険料は、「建物の評価」「建物の構造区分と所在地」「補償内容」の3つの要素で決まります。
建物の評価は、新築の場合は新築価額で行われます。
また中古の場合は、新築時の新築価額をもとにした評価方法と、基準の1平方メートル単価にのべ床面積をかけて算出する評価方法で評価されます。
建物の構造区分については、おもに鉄筋か木造かで判断されます。
燃えにくい鉄筋のほうが保険料が安く、燃えやすい木造のほうが保険料が高いというのが基本です。
地域については、火災の発生状況や被害状況を鑑み、都道府県によって異なる保険料が設定されています。
たとえば住宅の密集している地域は延焼のリスクが高いとして保険料が上がる傾向にあります。
とはいえ、都市部はすべて保険料が高いかというとそうではありません。都市部は消防署の数が多く、火災への対応力が高い点については評価されるためです。
このように火災保険料の地域差について一概に法則性を示すのは困難ですが、仕組みについては以上のようなものであると理解しておきましょう。
補償内容については上記の通りです。どのような事故まで補償するかによって保険料が変わります。
唯一保険料を調整できる部分といえますので、予算や補償してほしい内容を吟味して選択するようにしましょう。
【地震保険】
地震保険は、「地震保険に関する法律」に基づき、保険金における支払責任の一部を政府が再保険として引き受けている保険です。
地震保険は単独では契約できず、火災保険とセットで契約することになります。火災保険とは違い、ローンを組んだ場合も加入は任意であることが一般的です。
地震保険が補償する事故には、地震や噴火、津波などによって発生した火災、損壊、埋没、流失があります。
この部分は通常の火災保険では補償されないため、補償を希望する場合は地震保険への加入が必要です。
地震保険の対象は、居住用の建物と、その建物に収容されている家財です。火災保険と同様、家具や家電なども補償されることを覚えておくとよいでしょう。
対象となる建物または家財が、全損、大半損、小半損、または一部損となったときに、それぞれの状況に応じた保険金が支払われます。
保険料の額は、所在地と建物の構造によって決まります。建物の構造の区別については、火災保険の場合と同様、おもに木造か鉄筋かによって判断されます。
なお地震保険料は、以下の4つの割引制度が適用されます。お住まいの住宅が適用されるか確認しておきましょう。
■建築年割引
対象の建物が昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合、10%割引されます。
■耐震等級割引
一定の耐震等級を満たしている場合、10~50%割引されます。
■免震建築物割引
対象の建物が「免震建築物」である場合、50%割引されます。
■耐震診断割引
建築基準法における耐震基準を満たす場合、10%割引されます。
住宅にかかる修繕費
住宅の修繕では、おもに以下のものが必要です。
【外壁塗装】
見栄えをよくするためだけでなく、耐久性や防水性を高めるために行う必要があります。塗装をしないと外壁が劣化し、雨漏りなどの原因になります。
また塗料によっては、断熱効果や遮熱効果のあるものもあるため、省エネのためにもよいでしょう。
7~10年に1回が目安で、1回1,000,000円程度かかります。
【屋根塗装】
外見がよくなるだけでなく、防錆性、抗菌性が高まるなどのメリットがあります。外壁の場合と同様、塗装をせずに放っておくと雨漏りなどの原因になるため注意が必要です。
スレート葺の場合、15~20年に1回が目安で、1回500,000円程度かかります。
【軒先、軒裏塗装】
軒天塗装と呼ぶこともあります。外壁塗装のオプションとなっていることが一般的です。風雨にさらされやすく劣化しやすい部分であるため注意しましょう。
15~20年に1回が目安で、1回300,000円程度かかります。
【樋、床下メンテナンス】
カビや害虫、湿気によって劣化している部分を修繕し、家の耐久性を高めます。特にキッチンや風呂場、トイレの下は湿気がこもりやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。
15~20年に1回が目安で、1回300,000円程度かかります。
【シロアリ防除】
シロアリの被害を受けてしまうと、住宅が劣化してしまいます。それを防ぐため、土壌や木部を薬剤処理し、シロアリの除去や予防をすることが必要です。
5年に1回が目安で、1回200,000円程度かかります。
【クロス張替】
煙草のヤニによる汚れやペットのひっかき傷、日焼けによる劣化などを修繕します。壁だけでなく、天井も張り替えることが一般的です。
7~10年に1回が目安で、1回200,000円程度かかります。
【サッシまわりコーキング】
コーキングとは、気密性や防水性のために、壁などの隙間を目地材でふさぐことを指し、「シーリング」と呼ばれることもあります。
サッシまわりのコーキングが劣化すると、雨が降った際に水が入ってくるなどしてしまうため、適度なタイミングでの修繕が不可欠です。
7~10年に1回が目安で、1回300,000円程度かかります。
住宅の維持費はどのくらい?30年間でかかる費用を試算
以下で、住宅を維持するために30年間でかかる費用を試算してみましょう。
【税金】
固定資産税、都市計画税を合わせて、年間100,000円~150,000円が目安です。
30年間で3,000,000円~4,500,000円かかる計算になります。
【保険】
火災保険料、地震保険料あわせて、年間10,000~20,000円程度が目安です。
30年間で300,000円~600,000円程度かかる計算になります。
【修繕費】
■外壁塗装
1回1,000,000円を30年間で3回行うと考えると、3,000,000円かかる計算になります。
■屋根塗装
1回500,000円を30年間で2回行うと考えた場合、1,000,000円の計算です。
■軒先、軒裏塗装
1回300,000円を30年間で2回行うと計算すると600,000円になります。
■樋、床下メンテナンス
1回300,000円を30年間で2回行うと考えると、600,000円の計算です。
■シロアリ防除
1回200,000円を30年間で6回行うと考えた場合、1,200,000円の計算になります。
■クロス張替
1回200,000円を30年間で3回行うと考えると、600,000円の計算です。
■サッシまわりコーキング
1回300,000円を30年間に3回行うと考えると、900,000円の計算になります。
以上を合計すると、修繕費だけで、30年間で7,900,000円程度かかる計算です。
【税金、保険、修繕費の合計と資金繰りのアドバイス】
税金、保険、修繕費を合計すると、30年間で12,000,000円~13,000,000円かかる計算になります。
年額にすると単純計算で370,000円~430,000円程度です。
税金は毎年1回必ず支払うものであることを考え、毎年その分を確保しておくようにしましょう。毎月積み立てておくと安心です。
保険については、月払いや年払い、一括払いなど支払方法を選べることが一般的です。家計状況にあわせて支払方法を工夫するとよいでしょう。
また地震保険は所得控除制度が適用されます。所得税が最高50,000円、住民税が最高25,000円を総所得金額から控除できるため、年末調整や確定申告の際には忘れずに申請しましょう。
修繕費についても急な出費に備えるため、毎月10,000~20,000円程度積み立てておくことをおすすめします。
また緊急性のない修繕の場合は、ボーナスのタイミングを有効に使って行うとよいでしょう。
まとめ
今回は、住宅を購入したあとにかかる維持費について詳しく解説しました。いかがでしたか?税金、保険、修繕費と、マイホームを持つには意外とお金がかかることがわかりますよね。住宅を購入する際には、今回ご紹介した内容を参考に入念に資金計画を立て、しっかりと維持費にも備えましょう。
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