節電にもつながる?意外と知らない電気料金に関する単位を解説します!

電力にはいろいろな単位がありますが、それぞれが電気料金へどのように関わっているのかをご存知でしょうか?こちらの記事では、電力に関する単位について分かりやすく解説しています。それぞれの単位の意味や単位同士の関係性を正しく理解し、節電にもつなげていきましょう。

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Wって?Whとはどう違う?

W(ワット)とは

Wとは電力を表す単位のことです。ある電化製品を動かすためにどれくらいの電力が必要になるかを示しており、600Wと表記されているドライヤーなら、スイッチを入れた瞬間に600Wの電力が消費されます。電力はkW(キロワット)という単位で見かける方も多いでしょうが、1kW=1,000Wとなります。電気料金表などでは、kWの単位で示されることがほとんどです。

Wh(ワットアワー)とは

hはhour(=時間)を意味し、1時間で消費する電力量のことをWhといいます。電力量も、電気料金表などではkWh(キロワットアワー)の単位を用います。WとWhのそれぞれの意味・関係性を理解していると、毎日使っている電化製品がどれくらいの電力を消費しているのか、簡単に計算することができます。たとえば、600Wのドライヤーを5分間使用した場合に消費される電力は、5分を時間の単位に直すと「5分÷60」となるので、

600W×(5÷60)h=50Wh

30Wの蛍光灯を半日灯し続けた場合に消費される電力は、
30W×12h=360Wh

となります。日常の消費電力が実際に数字として可視化されると、節電や省エネの意識も高まるのではないでしょうか。

■VAって?Wとはどう違う?

消費電力には3つの種類がある

先ほど、「Wとは、電化製品を動かすために瞬間的に消費される電力のこと」だと説明しました。しかし、より厳密にいえば、W=消費電力ではありません。消費電力には、有効電力・無効電力・皮相電力の3つの種類があります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

有効電力とは

有効電力とは、電化製品を使用するとき実際に消費されている電力のことで、前述したWは有効電力のことを指しています。電力を供給する際には必ず電力のロスが発生しますが、有効電力には電力のロスが含まれていません。電気料金として請求される金額は有効電力をもとにしており、電力メーターによって計測することが可能です。

無効電力とは

無効電力とは、電力のロスのことで、var(バール)という単位で表されます。配線設備の中には、コイルやコンデンサなどが含まれています。どちらも、電圧を変換させたり、電流を安定させたりするために必要な機器です。しかし、コイルやコンデンサがあることで、ここで消費されるムダな電力が発生してしまうのです。

一般家庭では、それほど大きな無効電力が発生することはありません。しかし、工場や企業の大型施設などになると、安定して電力を供給するためには高い電圧が必要であり、コイルやコンデンサの果たす役割は大きくなります。それにともなって、発生する無効電力も大きくなるのです。無効電力が大きくなれば、それだけ多くの電力を供給しなければならず、電力会社にとっては大きな負担となります。

しかし無効電力は、実は、適切な設備があれば減少させることが可能です。ただし、その設備は性質上、電力の末端、つまり工場や企業の施設に設置する必要があります。そこで電力会社では、工場や会社側が無効電力を低減する設備を設置してくれれば、その負担額として、電気の基本料金を安くする措置を行っています。

これは大規模な施設に限ったことであり、一般家庭で基本料金が安くなることはありません。しかし、消費電力には仕事をしない無効電力があること、電気料金は無効電力を除外したうえで請求されていることは、知っておくと便利です。

皮相電力とは

皮相電力とは、加えられる電圧(単位:V)と流れる電流(単位:A)を単純にかけただけの値のことを指し、VA(ボルトアンペア)という単位で表されます。VAには無効電力が含まれている点が、Wとの大きな違いです。「見かけの電力」と呼ばれることもあり、数値としては3つの中でもっとも大きくなります。

そして、皮相電力に力率をかけた数値が消費電力となります。力率とは、供給電力のうち、家庭などで実際に消費された電力の割合を示す数値です。供給電力には必ずロス(無効電力)が発生するため、皮相電力が消費電力より小さくなることはありません。

ちなみに、無効電力は熱消費をともなわない電力です。そのため、白熱電球や電気ケトルなどの電力を熱として消費する機器では、無効電力はほとんど0になります。つまり、皮相電力と消費電力の値が同じになるのです。一方で、パソコンやスマホなどの電子機器の場合は、消費電力よりも皮相電力のほうが値は大きくなります。

■Vって?100Vと200Vはどう違う?

V(ボルト)とは

Vとは、電圧を表す単位のことで、電気を押し流す力を示しています。電気に関する単位を説明する際にはたとえとしてよく水が用いられますが、蛇口をひねったときの水の勢いが電圧(V)だと考えれば、理解しやすいでしょう。

国内では、一般家庭では100V、工場や企業の大きな施設などでは200Vであることがほとんどです。しかし、近年では200Vに対応したエアコンや床暖房など、一般家庭用の電化製品も増えてきています。100Vに対応しているのと200Vに対応しているのとでは、どのような違いがあるのでしょうか?

100Vと200Vでは何が違うの?

Vは水にたとえれば蛇口をひねったときの水を押し流す力、水の勢いのことですから、勢いが強くなればそれだけ、流れる電気量も多くなります。つまり、簡単にいえば、100Vが200Vになれば、流れる電気量も2倍になるのです。

だとすれば、料金も2倍に高くなってしまうのでは?と考えてしまいがちです。しかし実際は、電圧を100Vから200Vに変更しても、電気料金が高くなることはありません。再び電気を水にたとえて考えてみましょう。

容量がまったく同じバケツを2つ用意し、1つは100の勢いで水が流れる蛇口から、もう1つは200の勢いで水が流れる蛇口から、バケツいっぱいに水を溜めることにします。水道に流れている水の量が同じだとすると、当然、200の勢いで水が流れる蛇口のほうが早く水が溜まります。

つまり、電気量が大きくなっても電気を流す時間が短く済むため、1時間当たりの消費電力(Wh)が変わることはありません。そのため、電気料金が高くなることもないのです。

100Vから200Vに変更すれば、より稼働力の大きいパワフルな電化製品を使うことができるようになります。電気料金は変わらず、エアコンや床暖房ならより早く部屋が温まり、電子レンジなどの調理機器ならより早く加熱・調理が可能になり、効率よく電化製品を利用できることが、大きなメリットです。

一般家庭で200Vは使用できる?

一般家庭における配線方式には、単相3線式と単相2線式の2種類があります。単相3線式は、100Vの電線2本と、200Vの電線1本で構成されています。そのため、稼働力の大きな電化製品では200Vを、小さな電化製品では100Vを、といったように、2つの電圧を使い分けることが可能です。

一方、単相2線式は、100Vの電線2本で構成されています。そのため、単相2線式のままでは200Vの電圧が必要になる電化製品は使用することができません。ご自宅がどちらの配線方式であるかは、コンセントの形状で確認することができます。

最近では、一般家庭でも単相3線式であるところが増えてきています。そのため多くのご家庭で、200Vを使用することができるでしょう。また、ご自宅に200Vに対応できるコンセントが見つからない場合でも、最近では、電柱から分電盤(ブレーカー)まで単相3線式で電気がきていることも多くあります。

ブレーカーを確認し、白・黒・赤の3本の線がつないであれば、電柱からブレーカーまでは単相3線式です。そのため、ブレーカーからコンセントまでを単相3線式に対応させる工事を行えば、200Vの電圧を利用することが可能です。しかし、ブレーカーに白と黒の2本の線しかつながっていない場合は、電柱からも単相2線式で電気を引いているため、別途大がかりな工事が必要になります。

リフォーム会社やご自宅の状況によっても異なりますが、ブレーカーからコンセントまでの屋内配線工事であれば比較的簡単なため、5,000~1万円程度と比較的リーズナブルです。しかし、もともと単相2線式であったものから単相3線式への変更となると、工事も規模が大きなものになり、10万円を超えることが多いようです。

■Aって?契約アンペアの調べ方と変更方法は?

A(アンペア)とは?

Aとは、電流の単位のことで、電線を流れる電流の量を示しています。Vのときと同じく水にたとえると、蛇口をひねったときの水の勢いがV(電圧)、水道を流れる水の量がA(電流)、蛇口をひねったときの瞬間的な水の量がW(電力)、バケツに溜まった水の量がWh(電力量)と表すことができます。

先ほどVの数値の変化によって電気料金が変わることはないとご説明しましたが、AはVとは異なり、数値の大きさによって金額も大きく変わってきます。Aは電力会社との契約によって、20A・30A・40Aといったように電流量の上限が決まっており、それぞれに基本料金が設定されているからです。もちろん、上限が大きくなるにつれて基本料金も高くなっていきます。

アンペア数を見直せば電気料金を安く抑えられる!

電気料金を安くするにはまず、必要以上に大きなアンペア数で契約していないか見直してみる必要があります。契約アンペア以上の電力を使用してしまった場合は、ブレーカーが落ち、それ以上の電力が供給されないようになります。

しかし、1人暮らしの方であれば、大きな電力を一度に消費することはほとんどないでしょう。ご自宅でIHや電気調理器具を導入していなければ、15~20Aでも十分に生活できる場合があるので、契約の見直しを検討してみるのがおすすめです。

2人以上でお住まいの場合でも、大きな電力を使う時間帯を分散させる工夫で、今より小さな契約アンペア数でも無理なく生活できる余地があります。1日の中で大きな電力を同時に使ってしまう時間帯は、朝の外出前や夕食時など、ある程度決まっています。その時間帯だけに注意すれば、それほど難しいことではないのです。

たとえば、朝食がご飯派の人であれば、炊飯器のタイマー機能を使って、炊飯器の稼働時間が、他の家族が電子レンジやドライヤーを使う時間帯と被らないようにするのが有効です。また、毎日の家事は、家族が学校や会社に行った後に始めるか、朝に洗濯機を回し、昼に掃除機をかけ、夕方に調理をする、といったように分散させるのがグッド。ライフスタイルに合わせていろいろと工夫してみましょう。

契約アンペアを調べる方法

ご自宅の契約アンペア数は、ブレーカーの配線全体の電源がある部分(アンペアブレーカー)に表示されている数字で確認することができます。数字による表示がなくても、アンペアブレーカーの色によって、それぞれアンペア数が決まっています。

赤色:10A
桃色:15A
黄色:20A
緑色:30A
灰色:40A
茶色:50A
紫色:60A

また、電力会社から毎月届く検針票にも、現在のアンペア数が記載されています。これらで契約アンペアが確認できない場合は、ご契約の電力会社へ直接電話で問い合わせることも可能です。

契約アンペアを変更する方法

契約している電力会社にもよりますが、10~60Aの範囲内であれば、電力会社がアンペアブレーカーの取り換え工事を行ってくれますし、無料なので費用負担もありません。ただし、契約アンペア数を大きくする場合には、ご自宅の配線の状況によっては、別途大きな容量に対応するための工事費用が必要になることがあります。

契約アンペアを変更する際の注意点

契約アンペア数を小さくすることにより安くできるのは、あくまでも基本料金です。消費電力量に応じた料金の単価が変わるわけではないため、電気を使い過ぎれば当然、電気料金全体は今より高くなってしまうこともあります。

また、電力会社との契約は、基本的に年間契約となります。そのため、「基本料が安くなるなら」と安易に契約アンペア数を下げてしまうと、時期によってはすぐにブレーカーが落ちてしまう恐れも。ほとんど毎日エアコンや床暖房などが稼働している夏場・冬場は消費電力が大きくなりがちなため、1年の中でもっとも電気を使う時期を基準に考えて契約するのがベストです。

■おわりに

ここまで電気料金に関わるさまざまな単位をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?電力にはたくさんの単位があり、中にはWとWh、VとVAとAなど、まぎらわしいものもあります。しかし、ひとつひとつを一度整理し、関係性を理解しておくと、何にどれだけの電気を使っているのかが分かり、節電にもつなげることができますよ。ぜひ参考にしてみてください。

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