その手があった!☆昭和な古民家を和モダンリノベ☆
平成の世ももう30年近くが経とうとしています。ゴリゴリの昭和生まれ筆者にとっては”昭和”というキーワードは昔懐かしい郷愁を誘うものであるのですが・・・・。ちょっと待って、都市部ならまだしも、少し郊外へと目を向ければ昭和の時代に建てられたお家なんていくらでもあるのに気付かされます。日本古来の木造建築真っ盛りの時代に建てられたこれらのお家は、築40年50年でもまだまだ現役。そんなお家を、懐かしさも活かしつつ、現代の住み心地を考慮して「レトロモダン」にフルリノベーションした物件をご紹介しましょう。
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本物の”レトロ”が現代に蘇る
平成になってすでに28年が経ち、結婚して家庭を持つ若い世代にも昭和を知らない世代が増えていますが、そんな若者達を中心に”昭和”ブームが巻き起こって久しいようです。昭和の時代を思い起こさせる駄菓子屋や商店街をコンセプトとしたショッピングモールやファッションなどはもちろん、小物や家具など昭和を想起させるレトロなモノやデザインが人気です。あまりにデジタル、あまりにドライになり過ぎた現代へのアンチテーゼとして、人の温もりや想いが生活の中に息づいていた、昭和という時代への淡い憧れがカタチとなって現れているからなのは間違いありませんね。
そして”住むところ”に関しても、少し前から”昭和レトロ”を取り入れる手法が注目されています。例えば新築でも未だに和室を取り入れる例は少なくありませんし、リノベーションにしても、ちょっとした建具や造作でレトロ感を演出する手法は、昭和レトロ=お洒落、という語法が成り立つようになった昨今では珍しいことでは無くなってきました。とはいえそれは、年老いた家族の為、もしくはレトロがお洒落だから、といった端的な理由で取り入れられている例が少なくありません。
しかし、ここでご紹介するお家は更にそこから一歩先へと進んだ、正真正銘”温故知新”を目指したフルリノベーションなのです。そもそもベースとなったお家がなんと築47年! 昭和44年に建てられたというバリバリ昭和な木造家屋。これを可能な限り当時の風合いを残して現代でも住み易いように、というコンセプトでリノベ。立地も吹き抜ける風が気持ちイイ郊外の高台。小振りなお庭を眺めながらゆったりできる縁側。それは、そこはかとなく田舎の祖父の家を想起させてくれる、人や自然の暖かみが感じられるお家だったのです。
家族が増えたのを機に築47年の一軒家をフルリノベーション
Fさん夫妻は数ヶ月前にお子様が生まれたばかりの20代のご夫婦。もちろん昭和の時代は微かな記憶でしかない年齢なのですが、両人ともに地方の出身で元々自然溢れる環境に慣れ親しんだ方々。昨今のブームとはあまり関係なく自然と昭和的な環境に慣れ親しんでいたそうです。そういった経緯もあり、子供が生まれたのを機に一軒家に住む決断をした際も都市部からは少し離れた郊外の旧い家、というのが条件だったそうです。そしてリノベーションをハウズライフに依頼。杓子定規ではない、”住む人”の想いや人となりを汲み取って一軒一軒丁寧に仕事をしてくれるハウズライフのスタイルに惹かれたからだそうですが、とはいえ家一軒、しかも築47年という家屋を全面改修するのはオオゴトです。まず、ベースとなったこの家屋が持っていた、少し特殊な環境を踏まえてリノベを進める必要があったのです。
その少し特殊な環境とは”間取り”でした。
部屋数の多い下宿宿の間取りを開放感のあるスッキリ間取りに
実はこの家屋、間取りを見るに昔良く目にした下宿宿だったようなのです。上のBeforeの図面をよく見ると分かるのですが、建物面積約110㎡の二階建てにお部屋が6部屋とそしてキッチンという間取り。加えて階段とトイレが2カ所あるというとっても特殊な間取りでした。建物の規模からすると通常よりも部屋数と設備が多く設定されていた家屋だったのです。
つまりその分、壁や柱も多く、間取りを変更するにしろその壁や柱が構造的に必要かどうかは実際に手を入れて強度調査をしてみないと分かりません。特に一階部分はご夫婦の希望でキッチン+隣接する2部屋と階段をまとめてリビングダイニング1部屋にしたいという要望があり、どれだけ柱や壁が抜けるのか、が重要なポイントだったそうです。結果、柱何本かは残したものの、階段周りにあった柱は抜くことができ、非常に開放的なLDK空間を実現できたのです。
そんなLDKはレトロな佇まいを残しながらも、キッチンカウンターにはモルタル、そしてパントリーを設置するなど、現代的な使い勝手も絶妙にハイブリッドさせた素敵空間。木の柱や建具、床と珪藻土の壁で囲まれた、レトロ感のあるちょっとしたカフェにでも来訪したような暖かみのある、いつまでもまったりしていたくなるような居心地の良い空間なのです。
郷愁を誘う”縁側”や”建具”そして外観…昭和の温もりを残す
一方で、テーマの一つである”可能な限り既存を残す”試みも巧みに実現しています。例えばLDKの窓側にある”縁側”。これは元々の間取りにあったもので、家屋の外側に動線を置く日本の木造建築ならではの特徴だからこそ「これは絶対に残したい」とご夫婦の強い希望で実現したそうです。特にLDKから臨む、縁側からの庭の眺めは最高! 古き良き時代のニッポンを今に伝えてくれる秀逸な造りとなっています。
また、各部の建具や造作も可能な限り既存のものを再利用しているのも特徴。例えばキッチン上部にある戸袋や各トビラは既存のものをそのまま移設したり、加工したりして活用。特に昭和的といえる扉や窓に使われていた”柄入りの磨りガラス”は奥様のお気に入りで、そのまま残していたり、扉そのもののみ同時代のものを探してきて加工取り付けしたりと、細かくこだわって取り入れた自信作。古いモノを活かす”リユース”は総じて手間が掛かってしまうのでやりたくても中々実現できない事例もありますが、奥様のこだわりや想いを汲み取って実現させたハウズライフの頑張りにも頭が下がります。
ちなみに家屋外観もご夫婦の希望でまったく手をつけていないそうです。これぞまさに本物の”昭和”。「三丁目の夕日』ではないですが、実際に時を刻んできた風格がありますね
温故知新をシンプルに。レトロモダンの一つの完成形
こうして本物の昭和な古民家を材料に現代の技術とセンスでアレンジされたFさん宅は他にも見所がたくさん。既存の素材を積極的に活用してデザインされた、リビング横にレイアウトされた書斎や、モルタル使いで現代風にアレンジされた洗面所。安全性も考慮してしっかり作り直された階段や二階エリア…。白壁とエイジング処理された木材のみで構成された飽きのこないシンプルかつモダンなスタイルは、これまで長い年月を経てきて、そしてここからまた年月を刻んでいくこの古民家にピッタリ。10年経っても20年経ってもきっと変わらない魅力を放っているのでしょうね。
時は刻まれ重ねてゆくもの。ニッポンの原風景を次世代に残す
ほぼ半世紀が経った古民家が持つ歴史を大切に残しながらも大胆にリノベーションしたこちらの物件を見ていると、私たち日本人が長年培ってきた、風土に根差した環境がいかに心に訴えかけてくるかが分かるような気がしました。特に昨今、住居建築も含めた日本の伝統的な様式は海外からも注目されています。このFさん宅のように、その時々で少しづつカタチを変化させつつも日本の原風景を残していかなければならないものなのでは、と改めて感じました。
Fさん夫妻もきっとそう感じているからこそこの古民家リノベーションにこだわったのでしょう。そしてhowzlifeはそんな方々こそ応援したいのだといいます。リノベーションの可能性を追求したいhowzlifeと、伝統を大切にしたいFさん夫妻だからこそ実現できた古民家再生プロジェクトだったのではないでしょうか。
こちらのリノベ物件を動画でチェック
↓↓↓↓↓
建物面積 :110.77㎡
土地面積 :147.37㎡
築年月:1968年12月(築47年4か月)
形態:フルリノベーション
間取り:4LDK
リノベ価格:1480万円(税別)
リノベ工期:2か月
リノベ内容:戸建て物件全面改修 *外壁・耐震工事も含む
施工:howzlife
Text:藤川経雄
Photo:塩谷佳史
Movie:小久保直宣
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