無事故で保険料が返ってくる?自動車保険の無事故返戻金について解説

自動車保険は満期前に解約しても、生命保険の解約返戻金のように保険料が戻ってきません。生命保険には、満期まで死亡しなかった場合に満期金が受け取れる養老保険があります。これに似た商品が自動車保険にもあり、満期までを無事故で過ごすと無事故返戻金を受け取れる自動車保険があるのです。支払った保険料が返ってくるというのは魅力的で、興味のある人もいるでしょう。そこで今回は、自動車保険の無事故返戻金がどういうものか、支払い方法やその他の特典について詳しく解説します。

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自動車保険の無事故返戻金とは

無事故返戻金とは、契約者に一定期間、事故がなかった場合に支払われる給付金です。最近では、医療保険で無事故返戻金という言葉を聞くようになりましたが、実は自動車保険にも無事故返戻金のあるタイプがあります。一般的な自動車保険は1年契約ですが、無事故返戻金のある自動車保険は3年などの長期契約です。

以下では、一般の自動車保険と比較しながら、無事故返戻金のある自動車保険について説明していきます。

保険料計算の仕組みや等級について

一般的な自動車保険と同じように、無事故返戻金のある自動車保険でも、契約者の年齢や等級などの条件から保険料は計算されます。ただし、等級の扱いについては違いがあります。

以下では、一般的な自動車保険を1年契約タイプ、無事故返戻金の自動車保険を3年契約タイプとして比較しています。

①1年契約タイプ

1年ごとに契約して、3年間継続して契約したとします。事故がなければ等級は1年1等級ずつ上がり、その等級に基づいて保険料を計算します。例えば、1年目が13等級なら、2年目は14等級、3年目は15等級となります。

②3年契約タイプ

契約したときの等級に基づいて、すべての契約期間を通じた保険料を計算します。例えば、契約したときが13等級なら、3年間にわたって13等級の割引率で保険料は計算されるのです。

自動車保険の契約内容や条件が同じ場合、②は3年間等級が上がらないため、①よりも保険料が高くなります。しかし、②では3年間無事故の場合に無事故返戻金が支払われるので、トータルの保険料は②の方がお得になるという仕組みになっているのです。

契約期間中に事故が起きた場合にメリットがある

無事故返戻金は契約期間中に事故を起こさなかった場合に受け取れますが、このタイプの自動車保険は契約期間中に事故が起きた場合でもメリットがあります。

一般的な自動車保険は事故を起こして保険を使うと、翌年は3等級のダウンする場合がほとんどです。等級が下がると事故の翌年の保険料は高くなります。一方、無事故返戻金のあるタイプは事故を起こしても契約期間中は等級がダウンしないため、満期まで支払う保険料は変わりません。そのため一般的な自動車保険に比べると、事故を起こした場合に支払う保険料には大きな差が出ます。ただし、保険会社によっては、無事故返戻金のあるタイプでも事故を起こせば等級がダウンするケースがあるので、必ず契約時に確認するようにしてください。

また、満期返戻金のある自動車保険は、等級別割引・割増制度により優遇されています。
具体的なケースとしては、継続契約において等級・事故有係数適用期間で、1年契約の自動車保険と3年契約の自動保険では異なります。事故有係数適用期間とは、事故有の割増引率が適用される残りの期間のことです。等級は事故有係数適用期間により「無事故」「事故有」に分類され、それぞれの割増引率が適用されます。

①1年契約の自動車保険のケース

契約期間の1年目に3等級ダウン事故を1件起こした場合、事故有係数適用期間は3年となり、2年目から4年目まで適用されます。2年目や3年目の契約期間に事故を起こさなければ等級は上がっていきますが、事故有の割引率が適用されます。

契約期間の1年目に1等級ダウン事故を1件起こした場合、事故有係数適用期間は1年となり、翌年1年間に適用されて事故有の割引率が適用されます。ただし、3年目以降に適用されるのは、事故無の割引率です。

②3年契約の自動保険のケース

契約期間中に3等級ダウン事故を1件起こした場合、事故有係数適用期間は2年となりますが、3年の契約期間中において等級はダウンしません。ただし、4年目に1年間の継続契約をしてから2年間は事故有係数適用期間が適用され、事故有の割引率が適用されます。

契約期間中に1等級ダウン事故を1件起こした場合、事故有係数適用期間は0年で、3年の契約期間中には等級はダウンしません。4年目に1年間の継続契約をして以降も、事故有係数適用期間が適用されることはありません。

自動車保険の無事故払戻金の支払いについて

自動車保険の無事故返戻金に興味がある方は、どういう条件で支払われるのか、どの時期にいくら支払われるのか気になるかと思います。以下では、自動車保険の無事故返戻金の支払い条件や支払われる時期、支払い金額について説明していきます。

無事故払戻金の支払い条件

無事故払戻金は、契約期間中に事故がなかった場合に支払われます。契約期間が3年であれば、契約したときから満期までの3年間にわたって無事故であることが条件です。なお、満期の時刻は満期当日の午後4時となっているため、午後4時を過ぎると満期を経過したことになります。

無事故払戻金の支払われる時期

保険会社へ保険金を請求する場合は請求したらすぐに指定口座に振り込まれますが、満期返戻金は保険金ではなく満期金なので請求してすぐに支払われることはありません。振り込みのある期日の2カ月くらい前に書類が送付されてくるので、1カ月くらい前に返送することになります。

満期返戻金は満期保険金と同じような満期金なので、保険会社が指定する満期日以降の支払期日に支払われるのが一般的です。支払期日は保険会社ごとに異なるので、保険証券や契約約款などで確認しましょう。

無事故払戻金の支払い金額

無事故返戻金の金額は、保険会社によって変わってきます。支払い金額が1年間の保険料の10%という保険会社もあれば、2年目と3年目の保険料を2%割引する保険会社もあるので、契約前に支払い金額について確認が必要です。

無事故払戻金以外の無事故による特典

3年契約の自動車保険には、無事故返戻金以外の無事故による特典として、無事故割引があります。

無事故割引は車を運転中に事故を起こしたことのない人が受けられる割引です。無事故返戻金は契約期間の3年間に事故を起こさなかった場合に支払われますが、同時に無事故割引の特典も受けることができます。

では一度でも事故を起こした人は、事故割引を受けられないかというと、そんなことはありません。たとえ過去に事故を起こしたとして、前の事故から3年間事故を起こさなければ、4年目に更新する際には無事故割引を受けられます。

長期の契約なら、無事故返戻金がある自動車保険がお得!

無事故返戻金のある自動車保険は、無事故の場合に払戻金が支払われるだけでなく、割引も受けられます。また、事故を起こしても等級がダウンしないことも大きなメリットです。ただし、契約は3年など複数年になるので、途中で乗り換える場合は新規契約の手続きの手間がかかります。そのあたりのことも考慮して、契約する前にしっかりと検討してみてください。

プロフィール

宮迫修三
FP3級。独立系FPとして資産運用を中心にコンサルティング活動。ウェブメディアで保険関係の記事を多数執筆。

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