火災保険の活用でリフォームが出来る?【専門家監修】
自宅を新築した時、また東日本大震災のようなことがあった時に地震保険とセットで火災保険に加入したという人も多いと思います。加入したことさえ忘れているかもしれませんが、この火災保険に意外な活用法があることをご存知ですか?それは火災保険で「自宅のリフォーム」をすること。火災保険とリフォーム、一見繋がりのなさそうなテーマですが、自宅で壊れて困っている部分、実は天災が原因のことも多いのです。この記事では、火災保険とリフォームの関係性や対象となるリフォーム案件、火災保険の申請方法などを解説していきます。
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この記事の監修者
氏名:杉浦 直樹
資格:AFP FP2級
詳細:
元歌舞伎役者のファイナンシャルプランナー。
ソニー生命に勤めていた経歴があり、保険に関する知識が豊富。
JSA認定ソムリエの資格も持つ。
火災保険をリフォームに活用することは可能?
火災保険は火事のときだけではない
火災保険というと、火事で家が燃えてしまった時に補償される保険といったイメージですが、実はそれだけではありません。火災・落雷・破裂・爆発・風災・雪災・雹災・水災といった自然災害一般に対応し、補償してくれる保険なのです。
そのため最近では家全体の損害を補償する保険として、住まいの保険、ホームアシストといった名前で販売されていたりもします。
そんな火災保険ですが、なぜリフォームと共に語られるのでしょうか。
リフォームには修理も含まれている
リフォームと一口にいいますが、その中には一般的に用いられるリフォームと、修理といった意味合いも含まれています。
リフォームとは
リフォームとは建材や設備を新品に交換したり、追加したりして、建物の持っている価値を新たに高める工事のことを言います。
例えば、
●間取りの変更
●壁紙を貼り直したりする模様替え
●壁や床、天井の断熱性を高めたり、床暖房を設置設置する
●防音性・遮音性を高める
●キッチンや浴室の設備を替える
このようなケースが一般的なリフォームのイメージです。
修理とは
修理とは、壊れたり傷んだりした部分に手を加えて、原状復帰させることを指します。例えば割れてしまった瓦を交換し屋根を直したり、雪の重みで外れてしまった雨樋を直したりするのが修理です。
リフォームの内、修理は火災保険の対象になる
火災保険は火災・落雷・破裂・爆発・風災・雪災・雹災・水災・水漏れ・盗難・物体の落下・飛来など幅広い災害に対応します。
この内風災、雪災による屋根の損害、水災、水漏れなどで雨樋などの損害は火災保険で修理できる可能性があります。
つまりリフォームの内、見栄えを良くする改装・回収ではなく、修理・修繕は火災保険が利用できる可能性があるのです。
●数年前の損害が補償されることもある
●リフォームで治そうと思っていた雨樋に保険が適用された
●保険が適用されて屋根修理が安くなった!(瓦の割れ)
火災保険でリフォーム(修理)するメリット
自動車保険と違い、申請しても保険料は上がらない
自動車保険の場合、事故をおこして保険を利用すると保険の等級が下がり、次の年から割引が減って保険料が高くなってしまいます。ところが火災保険の場合は被害を申請して保険金を受け取り、修理に使っても次年度の保険料は上がりません。
また申請をしてそれが保険会社に認められなかった場合でも特にペナルティはありません。そのため安心して申請することができます。
保険金の使いみちは制限されていない=別の箇所の修理に使っても良い
火災保険で下りた保険金の使途が限定されていない場合が増えています。つまり他の部分の修理に流用することができるのです。例えば保険が下りたのは屋根の修理についてだが、実際困っているのは雨樋なので雨樋の修理をすることも可能です。
ただこの場合修理しなかった屋根が更にひどい状態になっても、再び保険は下りません。そのためお金を他の修理に流用する場合は、慎重に検討することが必要です。
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火災保険を使ったリフォームの条件
まず保険の契約者側が申請しなければ、保険金は一切支払われないので天災等により被害があったことを保険会社に申請します。そして当然ですが、経年劣化には適用されません。また修理したことのある部分の雨漏り、太陽光パネル設置後の雨漏り、増築などの工事後の屋根瓦の割れは保険適用外となります。
さらに上記した通り、保険が下りたのに修理をせず放置していた場合、雨漏りや耐久性の低下といった二次被害が起こっても補償はされないので注意が必要です。
火災保険の対象となる案件①:落雷
雷が落ちて家事になった場合はもちろん、衝撃で家が壊れた場合も補償されます。また落雷が原因で電化製品などが壊れた時も補償対象となります。
火災保険の対象となる案件②:破裂、爆発
ガス爆発などで家屋が損傷した場合も火災保険の対象となります。
火災保険の対象となる案件③:風災、雪災
台風などの強風や大雪による屋根や雨樋などの被害が補償されます。
火災保険の対象となる案件④:水漏れ
給排水設備の故障で水漏れをした、その水漏れが原因で家屋が傷んでしまった場合なども補償されます。
火災保険の申請方法
火災保険を利用してリフォーム(修理・修繕)をする場合、保険会社に申請する必要があります。申請の流れは以下の通りです。
申請の流れ
①保険会社に連絡する
②保険会社から送られてきた書類に記入
③他の必要書類を用意する
④書類一式を保険会社に送付
⑤保険会社が調査、審査をし、保険金額を決定する
⑥保険金が支払われる
必要書類
●保険金請求書
●印鑑証明書
●事故内容報告書
●建物登記簿謄本
●修理見積書
●損害明細書
●該当箇所の写真
火災保険で補償を申請する際の注意点
請求には3年の時効がある
火災保険には、災害で損害が生じた時から3年以内に請求しないと請求権が消滅するという時効の制度があります。
これは災害からあまりに年月が経ってしまうと、保険会社の調査や審査が難しくなり、保険金を支払うかどうか、保険金をいくら支払うかといった判断ができなくなってしまうという理由から設けられているものです。
悪質な申請代行業者に注意
最近は「火災保険の申請を代行します」という代行業者が増えています。これは申請の代行と共にリフォームも行い、ワンストップで手続きから施工まで終わることを売りにしているものです。
ところが、この代行業者には以下のような苦情が出ています。
●自己負担ゼロとのことで契約したが実際は保険対象外の部分が多く、結局自己負担分を多く払わなければいけなくなった
●補償対象外の「老朽化」「経年劣化」を対象内の災害のせいにして虚偽申請をする
●強引に契約を結ばされ、解約しようとしたところ法外な申請代行料や解約料を取られた
特に「災害のせいにすれば保険金が下りますから、そのお金でリフォームをしましょう」という虚偽の申告に乗ってしまうと、保険金詐欺の片棒を担がされることになってしまいます。
申請自体は特に難しいものではありません。基本的には自分で行うか、信頼のできる工務店などに頼むようにしましょう。
適切な火災保険の利用は当然の権利
虚偽申請をして火災保険でリフォームをするのはもっての外です。しかし、台風や、大雨、暴風などで壊れた箇所を修繕するのは火災保険の本来の利用法であり、契約者の当然の権利です。
気づかない、知らないために壊れた家で我慢したり、高額なリフォーム代を全額自己負担することはありません。自宅の修繕で困っているのであれば、ぜひ一度契約している保険会社に問い合わせてみてください。
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