医療保険で帝王切開は対象になる?出産前に知っておきたい医療保険の知識
出産の方法には、大きく分けて自然分娩と帝王切開があります。自然分娩を予定していても、急きょ医師の判断により、帝王切開による出産となることもあります。帝王切開にはどれくらいのお金がかかるものなのか、そしてその備えをどのように考えておけばよいものなのか、医療保険からお金はもらえるのか、医療保険の加入のタイミングについて考えておきたいと思います。
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この記事を監修する専門家
キムラミキ
株式会社ラフデッサン代表取締役。外資系生名保険会社での営業経験を経て、FPとして独立。保険代理店のスタッフ指導を行うなど企業アドバイザリー業務に携わる他、保険や住宅ローンなど身近なお金についての執筆、講演も多数行っている。
帝王切開ってどれくらいお金がかかるの?
帝王切開とは、妊婦さんのおなかを切開して胎児を出す手術のことをいいます。帝王切開は、以下のようなときに、選択されます。
- 逆子のとき
- 子宮筋腫が産道をふさぐ可能性があるとき
- 高齢出産であるとき
- 多胎妊娠であるとき(双子など)
- 帝王切開による出産経験があるとき
- その他、自然分娩に不都合が生じる可能性があるときなど
帝王切開には40万円(※2)から100万円(※3)かかる
自然分娩に比べると帝王切開は、分娩費に加えて手術費用がかかったり、入院日数も長くなったりすることから、費用が高くなります。
病院により異なりますが、40万円(※2)から100万円(※3)程度の費用がかかります。なお帝王切開の手術およびそれに伴う入院の費用は健康保険の適用をうけることができますので、高額療養費制度の対象になります。
一般的には、自然分娩により出産される方が多いでしょう。とはいえ厚生労働省の医療施設調査によると、平成26年において24.8%の方が帝王切開による出産(※1)となっていますので、4人に1人は帝王切開での出産の可能性があるということになります。
出産時に適切に申請をすれば補助金をもらうことができる
その他にも出産時には申請により、以下のようなお金を受け取ることができます。詳細については、加入している健康保険の窓口に確認されるとよいでしょう。
出産育児一時金
健康保険に加入している場合、こども1人について42万円が支給されます
出産手当金
健康保険に加入している場合、出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかったときには、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。
なお、分娩料(15万円程度が相場)は自然分娩と同様、全額自己負担となります。その他にも、全額自己負担となる費用には、食事代や新生児保育料などがあります。出産の際にお世話になる病院をどこにするのか、そして健康保険から受け取ることができるお金がどれくらいになりそうなのかによっても異なりますが、帝王切開による出産となったときの自己負担費用に対する備えはあることに越したことはありません。
帝王切開で保険金をもらうには、生命保険と医療保険どちらに入るべき?
帝王切開による出産で保険からお金を受け取るためには、どんな保険に入っておけばよいのでしょうか。
帝王切開での出産は医療保険なら支払われる
生命保険は、死亡・高度障害となった場合に保険金を受け取ることができるものです。一方、医療保険は、医療を受けるために入院したり、手術を受けたりした場合に給付金を受け取ることができるものです。
つまり、帝王切開での出産において保険から支払いを受けることができるようにするためには、医療保険に加入しておく必要があります。
生命保険に特約として医療保険を付帯することもできますし、医療保険単体で加入することもできます。独身の時は、あまり保険について、しっかりと考える機会も少なかったという方もあるのではないでしょうか。結婚や出産の予定を機に、保険について考える機会をもってみてはいかがでしょう。
医療保険加入のタイミングは妊娠前に
医療保険加入のタイミングですが、できれば妊娠が分かってからではなく、妊娠がわかるよりも前に加入しておいたほうが望ましいといえます。保険会社にもよりますが、概ね妊娠27週目以降は加入を断られる可能性があるからです。
また、加入できた場合でも、部位不担保特約(※特定の部位に関して一定期間、給付金を支払わないとする特約)が付帯される可能性もあります。時期は未定でも、出産の予定があるときは早めに医療保険に加入しておいた方がよいでしょう。
なお、医療保険に加入していても、原則として自然分娩については病気による入院ではないため入院給付金を受け取ることができません。ただし自然分娩を予定していて、急きょ帝王切開となった場合は手術給付金、入院給付金を受け取ることができます。
2回目以降の帝王切開での出産でも医療保険の保険金は出るの?
1回目の出産が帝王切開であった場合、医療保険に加入することができるのでしょうか。また、医療保険から帝王切開での出産時に給付金を受けたことがある場合、2回目以降の帝王切開については給付をうけられるのでしょうか。
1回目の帝王切開による出産後の医療保険への加入
第1子が帝王切開による出産となり、出費が多かったため、第2子の出産前に医療保険に加入することを検討する方もいるでしょう。一度、帝王切開による出産をすると、その後の出産も帝王切開による出産となる可能性が高いので、医療保険に加入しておいたほうがよいでしょう。
ただし、帝王切開による出産から5年を経過しないと、医療保険に加入できたとしても、子宮に関する部位不担保特約が付帯される可能性が高いといえます。つまり、帝王切開に対応できないということです。
既加入医療保険から2回目以降の帝王切開に対する給付金支払い
帝王切開による出産時に、医療保険から給付金の支払いを受けたことがある場合でも、2回目以降の帝王切開に対する給付金をうけとることができます。
ただし原則として、初めての帝王切開から5年を経過したときであることを条件にしているケースが多いと思います。つまり、最初の帝王切開による出産から5年以内に、2回目の帝王切開をした場合、給付金の支払いを受けることができない可能性が高いということです。
一度、帝王切開による出産を経験した後は、その後の出産も帝王切開によるケースが多くなります。そのようなケースに備えておくためにも、そして有利な条件で医療保険に加入するためにも、出産が判明するよりも前に医療保険の検討をしておきましょう。
出産時だけでなく、出産後もお子さんに手がかかる時期に、病気などで入院する可能性もあります。その際の託児費用や家事代行費用等の出費に対する備えを準備しておくことも、母としては考えておきたいところです。将来のライフプランを見通して、早め早めの準備を心がけておきたいですね。
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