火災保険で賢く節税するために知っておくべきポイント!火災保険と控除の関係
火災保険と言えば、火災や台風、水漏れ、雷など様々な被害に遭った時に補償される安心できる保険です。現代では多くの方が火災保険に加入していますが、この火災保険に年末調整の控除は適用されるのでしょうか? 火災保険に加入している方、これから加入する予定のある方は、家計にも関わってくるのでぜひ知っておきたいポイントです。そこで今回は、火災保険と控除の関係についてご紹介していきます。
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火災保険は保険料控除の対象になる?
中には、「そもそも保険料控除が何なのか分からない…」と疑問に感じている方もいることでしょう。
生命保険や損害保険に加入しており、保険料に関する一定の条件を満たした場合に税金の一部が控除される制度のことです。
この保険料控除が適用されると、所得税と住民税の一部が軽減されます。
2006年の12月31日までは、火災保険料も「損害保険料控除」の適用範囲内とされていました。
しかし、この損害保険料控除は2007年1月1日の税制改正により、年末調整の控除の対象外となっています。つまり、2017年現在では火災保険料は控除の対象ではありません。
火災保険と似た商品に「火災共済」と呼ばれるものがありますが、こちらも控除の対象外となっているので注意しておきましょう。
地震保険料は控除の対象
建物や家財を守る保険は火災保険だけではありません。
代表的な保険としては地震保険が挙げられますが、こちらの地震保険は2017年3月現在でも控除の対象に含まれています。
では、地震保険料の控除について以下でもう少し詳しく見ていきましょう。
【地震保険料の控除はどんな制度?】
地震保険料の控除は、各家庭で地震災害に備えてもらうことを目的として2007年1月1日に新設されました。
こちらの制度では地震保険料を支払っている場合に、その保険料の一定額が所得から差し引かれます。
つまり、この制度により地震保険加入者の所得額が減るので、その分税金が安くなるのです。
この控除制度は1年間に支払った地震保険料が対象となり、具体的には1月1日~12月31日に支払った保険料に応じて、所得から差し引かれる金額が変わってきます。
2011年に東日本大震災、2016年に熊本地震が発生したことで今後ますます地震保険加入者が増加すると予測されていますが、この地震保険料の控除を利用する場合には注意するべきポイントがいくつかあります。
以下では、地震保険に加入している場合に押さえておきたい控除のポイントをご紹介していきましょう。
【ポイント1】最大控除額をチェック
地震保険料の控除が適用されると所得税と住民税が安くなりますが、所得税と住民税で最大控除額は以下のように変わってきます。
■所得税…支払った保険料の全額控除が可能であり、最大控除額は50,000円
■住民税…支払った保険料の2分の1が控除され、最大控除額は25,000円
※いずれも2017年3月現在
控除額の計算に関しては、後述でさらに詳しくご紹介しましょう。
【ポイント2】申請に必要なものをチェック
地震保険料の控除を受けるには「控除証明書」が必要です。
この書類は保険会社から郵送されるものであり、毎年9月~11月頃になるとハガキで送られてくるので、内容を確認してきちんと保管しておきましょう。
なお、地震保険の契約が1年未満の場合は、保険証券と一緒に郵送されるケースが一般的です。
年末調整時に控除を申請する場合は、この控除証明書の原本を提出します。年末調整時に証明書が見つからない場合は、すぐに保険会社に問い合わせましょう。
再発行は基本的に無料ですが、郵送までに時間を要する可能性もあるので早めに問い合わせることが大切です。保険会社によっては、ホームページ上で再発行を受けることも可能です。
【ポイント3】地震保険は単独では加入できない
2011年に東日本大震災、2016年に熊本地震が発生したことで、これから地震保険への加入を検討する方もいることでしょう。
ただし、一般的な地震保険は火災保険とセットで契約する必要があるので、地震保険は単独で加入することはできません。
ここで注意しておきたいのが、控除の対象になる保険料です。
2017年現在では火災保険料の控除を受けられないため、「地震保険も控除を受けられないのでは?」と勘違いしてしまう方も中には見られます。
前述の通り地震保険料は控除の対象に含まれるので、加入している方はきちんと控除を申請するようにしましょう。
なお火災保険は住居単位で加入するため、地震保険料の控除では契約者本人だけではなく、「配偶者や生計を共にする親族」も申請できます。
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火災保険料や長期損害保険料でも控除を受けられる? 長期保険契約の経過措置とは?
前述では税制の改正以降、火災保険料は控除の適用範囲外になったとご紹介しました。
しかし、実は火災保険や長期損害保険料でも控除が適用される例外が存在します。
火災保険の損害保険料控除は2007年から適用されなくなりましたが、2016年12月31日までに加入した保険については、条件を満たすことで控除を受けられる可能性があります。
このように、法律の改正により生じる損害を極力減らす対応のことを「経過措置」と言います。
では、具体的にどのような条件を満たしていれば、火災保険料や長期損害保険料における控除を受けられるのでしょうか?
以下で詳しく見ていきましょう。
【条件その1】長期保険契約に該当する契約
長期保険特約とは保険期間が10年以上のものを指します。
つまり、2006年12月31日以前に契約した保険のうち、2017年1月1日以降も継続して加入している保険については控除が適用される可能性があります。
ただし、契約を2006年12月31日までに行っていても、保険期間の始まりが2007年1月1日以降のものは控除の対象外となるので注意しましょう。
【条件その2】満期返戻金が発生する契約
満期返戻金が支払われる契約であることも、控除を受ける条件のひとつです。
満期返戻金とは、保険料の全額を支払って満期を迎えた際に、契約者が保険会社から受け取れるお金のことを指します。
【条件その3】保険料変更に関する内容変更をしていないこと
火災保険や長期損害保険の中には加入後であっても、支払う保険料などを変更できる商品が存在しています。
これは加入者にとってメリットと言えますが、2007年1月1日以降に内容変更で保険料を変更していると、控除の対象に含まれないので注意が必要です。
上記3つの条件に該当するのは、「満期返戻金のある積立タイプ」の損害保険です。
満期返戻金のある積み立てタイプとは、設定した時期(満期)までに毎月保険料を支払い、途中で解約した時や満期の時にお金が戻ってくる保険のことを指します。
一方、満期返戻金がない代わりに月々の保険料が安く抑えられている「掛け捨てタイプ」の保険は、2006年以前に加入していても控除の対象には含まれません。
また、上記でご紹介した経過措置の対象となる保険は、「火災保険」と「長期損害保険」です。たとえ移行期間であっても、自動車保険や財形貯蓄の損害保険などは経過措置の対象外です。
ちなみに事業用資産の火災保険に関しては、損害保険料の控除がなくても「事業所得」、もしくは「不動産所得の経費」として計上できます。
地震保険料控除における控除額
それでは、地震保険料の控除が適用されると、実際に税金はどれぐらい安くなるのでしょうか?
所得税と住民税に分けて、所得税が10%の方の具体的な控除額を以下で見ていきましょう。
【所得税】地震保険料控除の適用限度額(年間)
■50,000円までは保険料の全額
■50,000円超は一律50,000円
【住民税】地震保険料控除の適用限度額(年間)
■50,000円までは保険料の2分の1
■50,000円超は一律25,000円
【ケースその1】最大控除額
所得税率が10%の方は、最大で以下の金額が控除されます。
所得税…50,000円×10%=5,000円
住民税…25,000円×10%=2,500円
合計額…5,000円+2,500円=最大で7,500円
【ケースその2】地震保険料を年間20,000円支払った方
所得税では保険料の全額にあたる20,000円、住民税では保険料の2分の1にあたる10,000円が控除の対象となります。
したがって、このケースでは以下の金額が控除されます。
所得税…20,000円×10%=2,000円
住民税…10,000円×10%=1,000円
合計額…2,000円+1,000円=3,000円
【ケースその3】12月頃に地震保険に加入した方
地震保険料の控除では、1月1日から12月31日までに支払った保険料がその年の対象となります。
そのため、地震保険に加入した時期が年末に近い場合は、保険料控除が翌年以降になる可能性があります。
11月まで別の地震保険に加入しており、12月から新しい保険に変更した方も翌年以降に控除される可能性があるので、12月頃に地震保険に加入した方は保険料の支払い時期を調べるなどして、年末調整ができるのかについて事前に確認しておきましょう。
長期損害保険料における控除額
次に、長期損害保険料の控除額について見ていきましょう。
同じく所得税が10%のケースを例に挙げますが、地震保険料控除よりも少し計算が細かくなります。
【所得税】長期損害保険料控除の適用限度額(年間)
■10,000円までは保険料の全額
■10,000円超~20,000円までは保険料の2分の1+5,000円
■20,000円超は一律15,000円
【住民税】長期損害保険料控除の適用限度額(年間)
■5,000円までは保険料の全額控除
■5,000円超~15,000円までは保険料の2分の1+2,500円
■15,000円超は一律10,000円
【ケースその1】最大控除額
長期損害保険料控除では、所得税は最大15,000円、住民税は最大10,000円が控除されます。
したがって、長期損害保険料の最大控除額は以下となります。
所得税…15,000円×10%=1,500円
住民税…10,000円×10%=1,000円
合計額…1,500円+1,000円=2,500円
【ケースその2】長期損害保険料を年間10,000円支払った方
所得税では「保険料の2分の1+5,000円」にあたる10,000円、住民税では「保険料の2分の1+2,500円」にあたる7,500円が控除の対象となります。
したがって、このケースでは以下の金額が控除されます。
所得税…10,000円×10%=1,000円
住民税…7,500円×10%=750円
合計額…1,000円+750円=1,750円
なお、地震保険料と長期損害保険料の両方を支払っている場合は、上記の方法で計算した各金額の合計が控除額となります。
ただし、その場合でも所得税では50,000円、住民税では25,000円が適用限度額となるので注意が必要です。
例えば、以下のようなケースに該当する場合であっても、適用限度額を超えることはありません。
地震保険料における適用限度額…所得税が50,000円、住民税が25,000円
長期損害保険料における適用限度額…所得税が15,000円、住民税が10,000円
実際の適用限度額…所得税が50,000円、住民税が25,000円
また、保険料を月払いではなく一括払いにした場合は、支払った金額のうち「1年間分に該当する保険料」がその年の控除対象になります。
例えば3年分の保険料をまとめて支払うケースでは、支払った保険料を3で割った金額がその年の控除対象になるので覚えておきましょう。
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