
欠陥マンションの4つの事例とすぐにできる6つのチェックポイント
・欠陥マンションとはどんなマンションなの?
・欠陥マンションを選ばないためにはどうしたらいい?
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せっかく購入したマンションが欠陥マンションである場合、快適な暮らしができなくなるだけでなく賠償責任を求めて売主や事業主と話し合いを重ねることになります。
大きな問題となった欠陥マンションとしては
・滋賀県大津市「大津京ステーションプレイス」:800箇所以上に及ぶ瑕疵が発覚
・福岡県福岡市「ベルヴィ香椎六番館」:杭の長さ不足などでマンションが傾く
・神奈川県横浜市「パークシティLaLa横浜」:データ改ざんや杭の長さ不足が発覚
・東京都港区「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」販売前に施工ミスが発覚し、販売契約解除
の4つの事例がありますが、解決までに時間がかかり不便な暮らしと心身ともに大きな負担を強いられることになりました。
欠陥マンションに住まないためには、欠陥マンションの特徴を把握して当てはまるような建物や業者を避けることが大切です。
そこでこの記事では
・欠陥マンションとはどのようなマンション?
・欠陥マンションの4つの事例
・欠陥マンションが増えている3つの背景
・欠陥マンションを見抜く6つのポイント
・欠陥マンションだった場合の対処法
をまとめてご紹介します。
最後まで読めば欠陥マンションの恐ろしさや欠陥マンションを見抜くポイントが把握でき、マンション選びに役立てられるはずです。
大きな買い物となるマンション選びで失敗しないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
1. 欠陥マンションとは
欠陥マンションとは、本来あるべき安全性や住宅機能に欠陥があるマンションのことを指します。
欠陥が起きる部分は多岐にわたるので一概には言えませんが
・基礎工事の欠陥やかたむきなど耐久性、耐震性に問題がある
・雨漏りや壁の亀裂、はがれなど耐火性や断熱性、遮音性に問題がある
・契約書や設計図に違反がある
・シロアリ被害にあっている
・契約書にある設備が搭載されていない
といったケースが見受けられます。
万が一欠陥が見つかった場合は、契約内容から乖離していることに対する責任として、事業主や売主は契約不適合責任を負うことになります。
契約不適合責任については民法や宅地建物取引業法、住宅の品質確保の促進等に関する法律などで定められており、買主の権利を守るのと同時に欠陥部分の補償について請求できるようになっています。
万が一購入したマンションで欠陥が見つかった場合は、法律に従って売主や事業主に責任追求ができるようになっているのです。
2. 欠陥マンションの4つの事例
欠陥マンションに住んでしまうと、どのようなことが起こるのでしょうか?
・滋賀県大津市:大津京ステーションプレイス
・福岡県福岡市:ベルヴィ香椎六番館
・神奈川県横浜市:パークシティLaLa横浜
・東京都港区:ザ・パークハウス グラン南青山高樹町
という4つの事例を具体的にご紹介します。
2-1.800箇所以上に及ぶ瑕疵が発覚「大津京ステーションプレイス」
2009年に完成した大規模マンション「大津京ステーションプレイス(14階建て・全108戸)」。株式会社大覚が販売を手掛け、大手ゼネコンである南海辰村建設が施工をするという形で建設が進みました。
滋賀県大津市の琵琶湖や商業施設に近い利便性のいい場所に建設され、当初は注目度も高く、ファミリー層から支持される人気マンションとなるはずでした。
しかし、入居して間もなく最上階で雨漏れが発生し、火災報知器の誤作動やエレベーターが停止してしまうなどの問題が発生。
施主検査を実施すると850箇所もの不備が発覚したのにも関わらず、対応をしてもらえませんでした。その後も
・地下の立体駐車場に水が貯まり使用できない
・最上階が全戸漏水する
・台風で共用部分の防風スクリーンガラスが落下
などの被害が続きましたが、決定打となったのは耐震構造上に重大な欠陥があると判明したことでした。万が一のときに人命に関わる欠陥にも関わらず、南海辰村建設は誠意のある対応をしなかったため、反訴することに。
裁判が続く中、マンションに残った住民は不安な時間を過ごしたそうです。マンションの資産価値は3,000万円から50万円に暴落したものの、裁判が続いている以上売るにも売れずに怒りを抑えきれない声もありました。
10年もの時を経て、2020年3月に南海辰村建設への賠償を求める判決が下りました。
南海辰村建設が発表している「裁判の結果に対する当社見解について」についてでは「建替えは必要ないという考えは揺るがないが、司法の最終判断として真摯に受け止め、判決で命じられた金額を大覚に支払う」と記載されており、詳しい対応についてはまだまだ時間がかかりそうです。
大津京ステーションプレイスの時系列データ
2009年 2回に分けて施主検査を実施し、バルコニーや廊下など合計850箇所もの不備が発覚。南海辰村建設に手直し工事を依頼。
再三依頼をするが対応してもらえず、年末を迎える。
2010年 建物が完成していない、不備の対応をしてほしいと求めてきたものの対応してもらえず、南海辰村建設は大覚に対して請負代金請求の訴訟を行う。
2010年 第三者の専門家に調査依頼をしたところ、耐震構造上に重大な欠陥が見つかる。
すぐに大覚は住民への説明会を実施したが、南海辰村建設は出席をしないままだった。話し合いを重ねた結果、大覚は希望者に対して売買契約の解除と売買代金の返還を行った。
2011年 重大な過失が発覚したため、大覚は南海辰村建設に対し反訴する。
2013年 第一審判決では一部の欠陥を認めたものの建て替えにいたらず、控訴審におよぶ。
2019年 控訴審判決第一審では大覚の主張を取り入れ、南海辰村建設に総額1,875百万円支払いなどを命じた。
しかし、この内容を不服として南海辰村建設は上告受理の申立を行う。
2020年 最高裁判所は、南海辰村建設に上告審を受理しない旨の決定を通知。これを受けて「建替えは必要ないという考えは揺るがないが、司法の最終判断として真摯に受け止め、判決で命じられた金額を大覚に支払う」と述べている。
2-2.杭の長さ不足でマンションが傾く「ベルヴィ香椎六番館」
1995年に引き渡しをした福岡県福岡市のマンション「ベルヴィ香椎六番館(7階建て・全330戸)」。JR九州に若築建設、福岡商事といった名だたる3社で販売をした分譲マンションでした。
ベルヴィ香椎は計8棟あり駅から徒歩1分といいう好立地が売りの人気マンションだったのですが、新築入居からわずか2年で壁のひび割れが相次ぎました。
施工会社はその部分のみ修理をする方法で対応を続けてきましたが、そのうちに玄関ドアが閉まらない、壁と天井の間に隙間ができるというトラブルも発生。
1997年にマンション管理組合で話し合いをして販売業者に問題提起をしたものの、施工会社と販売会社ともに欠陥ではないと否定しました。
その後も年々増加していく歪みを指摘しながら、20年以上に渡って訴え続けてきたそうです。
転機となったのは2019年にテレビの特集で取り上げられたこと。これを機に再調査をすると…
・マンションの傾きが建設時から既に始まっていた
・図面に記載されていた構造スリットが施工されていなかった
・調査した杭が支持層に到達していなかった
ということが明るみになりました。
ここへ来てやっとJR九州と若築建設、福岡商事は欠陥を認め謝罪をしました。3社は今後の対策として
・改修(杭の補修)
・解体・建替え
・住戸の購入価格での買い取り
を提示しており、こちらもまだ具体的な解決までは至っていません。
ベルヴィ香椎六番館の時系列データ
1995年 新築引き渡しから2ヵ月足らずで、壁のひび割れが発生。次第に玄関ドアが閉まらない、天井と壁に隙間ができるなど被害が広がる。
1997年 マンション管理組合で話し合いをして販売業者に問題提起をしたものの、施工会社と販売会社ともに欠陥ではないと否定
1998~2019年 マンションの傾きは悪化し、外壁タイルの落下やマンション各部で漏水が溢れるなど被害が深刻化していく。
その都度修理を求めながら、欠陥マンションであることを訴え続けた。
2019年12月 テレビ番組の特集で取り上げられる。
2020年4月 再調査の結果
マンションの傾きが建設時から既に始まっていた
図面には記載されていた必要な構造スリットが施工されていなかった
調査した杭が支持層に到達していなかった
ことが明らかになった
2020年7月 販売業者3社が欠陥マンションであることを認めて謝罪
2020年8月 販売業者3社より今後の対策を提示されるも、解決に至っていない。
2-3.施工データ改ざんが露わに「パークシティLaLa横浜」
2007年11月に完成した大規模マンション「パークシティLaLa横浜(12階建て・全705戸)」。全4棟からなる分譲マンションで「ららぽーと横浜」と共に開発をされて注目を集めました。
最初に異変が見つかったのは2014年のこと。西棟と中央棟を繋ぐ手すりの位置が微妙に下がっていることに気付きすぐに売主であった三井不動産レジデンシャルに連絡をすると、東日本大震災の影響だと回答されたそうです。
素っ気ない回答では納得できないとし管理組合は専門家に調査を依頼し「地震の影響である証拠を提出してもらう」というアドバイスをもらったものの、三井不動産レジデンシャルの回答はやはり地震によるものの一点張りでした。
月日が経つに連れて
・窓枠がゆがんだ
・玄関ドアが開けにくい
・天井にヒビが入った
など、多くの住民が不安になる現象が次々と起こり始めます。
そこで管理組合は売主の三井不動産レジデンシャルと元請けの三井住友建設に対し施工記録の提出と求めましたが、見せてもらえませんでした。
そうしている間も三井不動産レジデンシャルと三井住友建設は壁の傾斜を調査したり建振協と会合を重ねたりと独自の動きを取りますが、回答はありません。
そこで管理組合が横浜市に助けを求めたところ、やっと施工データを見えてもらえることに。しかし、それはとても不自然なものだったそうで、翌月には三井不動産レジデンスより
・西棟にある杭の6本が地盤の強固な支持層に届いていない
・杭の2本は食い込みが不十分である
と報告を受けました。さらに翌月には唐突に杭の施工データが改ざんされたことも報告されました。
住民の怒りはピークに達している最中、とうとう各メディアがパークシティLaLa横浜を取り上げるようになりました。
これを機に売主の三井不動産レジデンシャルの態度は一転し、住民に謝罪し4棟すべての建て替えを表明しました。
約300億円の建て替え費用とは別に仮住まい費用に引っ越し費、慰謝料の支払いなどに100億円を用意し、時間はかかったものの住民からの不満は少ない幕引きとなりました。
パークシティLaLa横浜の時系列データ
2014年9月 大規模修繕に向けた確認のため設備チェックをしているときに、西棟と中央棟を繋ぐ手すりの位置が微妙に下がっていることに気付く。
すぐに売主である三井不動産レジデンシャルに相談するも、東日本大震災の影響だと言われる。
2014年11月 管理組合は、三井不動産レジデンシャルに西棟と中央棟を繋ぐ手すりの段差について調査依頼をする。
2014年12月 三井不動産レジデンシャルは、東日本大震災のときに中央棟と西棟の揺れ方が異なりひずみが生じたと説明。
しかし、この頃になると天井のひびや窓枠のゆがみなどさまざまな不調が起こり、住民は到底納得できなかった。
2015年2月 管理組合は三井不動産レジデンシャルと三井住友建設に施工記録の提出と閲覧を求める。
2015年8月 なかなか施工記録を提示してもらえず、横浜市に助けを求める。やっとの思いで提示された記録は不自然なもので、明確な説明もなかった。
2015年9月 三井不動産レジデンスより、西棟の杭の6本が地盤の強固な支持層に届いておらず、2本は食い込みが不十分であることを報告。
2015年10月 杭の施工データが改ざんされたことも報告。
2015年10月 すぐに各メディアがこの状況を報じたことで、状況が一転。
三井不動産レジデンシャルは住民に謝罪し、4棟すべての建て替えを表明。
2-4.施工不良で販売中止に「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」
2014年3月が引き渡しとなっていた東京都港区一等地にそびえ立つ「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」。南青山の億ションとして建設が進み、最高価格は3億超えというマンションでした。
全86戸のうち83戸が契約済みで入居を楽しみにしていた矢先、入居者がインターネットの書き込みを目にして不信に思い問い合わせをしたところ欠陥が発覚しました。
欠陥となったのは重要な設備配管用の穴「スリーブ」で、
・全スリーブの約1割にあたる600個がない
・約700箇所でスリーブ位置の間違いがあった
・何とか配管を通そうと後から開けた穴が鉄筋を切断
といったミスが浮き彫りに。このようなミスが発生した背景として、設計図にあったスリーブを施工図に落とし込むところでなくなったと話しています。
入居前に欠陥が発覚したことで説明会を開催し、急遽入居前に「合意解約」を実施することになりました。
3. 欠陥マンションが問題となる3つの背景
大きな問題となり取り上げられている欠陥マンション以外にも、日本全国には数多くの欠陥マンションがあると言われています。
なぜ欠陥マンションが増えてしまうのか、問題となっている3つの背景をご紹介します。
3-1.複雑な下請け多重構造となっている
マンションの建設は一つの会社が全行程の施工を行うのではなく、下記の流れのように多くの会社が携わる複雑な構造となっています。
とくに施工の段階に入るとゼネコンは管理をしているだけのことがほとんどで、実際の施工は下請け会社が行います。
マンションの施工の流れ(一例)
1. 事業主(デベロッパー)がマンションを建設する土地を手立てする
2. 設計事務所がマンションの設計をする
3. ゼネコン(元請け)が施工の管理を行い、下請けとして電気設備工事会社や鉄筋工事会社、杭工事会社などが入る。
4. さらに下請け会社より業務を任される二次下請け会社、三次下請け会社がいる。
5. マンションの売買は不動産会社が行うことが多い。
大規模マンションになると下請け会社として30社以上が絡んでいることもあり、「パークシティLaLa横浜」の杭工事では元請けが三井住友建設、一次下請けが日立ハイテクノロジーズ、二次下請けが旭化成建材、そして実際に施工をしたのは三次下請け業者だったそうです。
これだけ複雑な構造となると報告や相談が行き届いておらず、現場で問題があったとしても把握しきれません。現場で作業をするのは状況を把握しきれていない下請け会社なので他の業者との繋がりも少なく、問題があってもなかなか気付けないのが現状でしょう。
また、二次下請けや三次下請けまである多重構造となれば、一つの会社がもらえる賃金はどんどん少なくなっていきます。期日が迫っている工期の中低賃金で作業をすると、クオリティが下がり手を抜く部分が増えるということも指摘されています。
マンションを建設する現場の状況自体が、欠陥マンションを生み出しやすい仕組みとなっていることが大きな要因です。
3-2.建築現場での管理が適切に実施されていない
複数の下請け会社が出入りしていたとしても、マンションの施工中に元請けであるゼネコンがしっかりと定期点検や管理をしていれば早い段階で欠陥を発見し適切な処置ができます。
管理の内容は、主に下記の4つに分類できます。
(1)施工管理
設計図をもとに施工図を作成し、ミスや問題がないか確認する。この段階で施工図への転記ミスや耐震不足などを見逃すと、欠陥マンションとなる。施工図に問題がなかったら、各施工業者へ依頼をする。
(2)工程管理
スケジュール通りに施工を進めているか管理をする。無理のあるスケジュールを立ててしまうと下請け会社の負担が大きく、手抜き工事に繋がる場合がある。
(3)安全管理
建築現場での安全を確保するための管理。
(4)品質管理
マンションの建築現場に出向いて、正しく施工されているか確認する。設備や防水性能、断熱性能などを細かくチェックし、ミスがある場合には修正依頼を出す。
元請け会社が確認をした最後には、建築基準法で建築現場の最高責任者と規定されている工事監理者による「監理者検査」を実施しなければならない。
とくに、(1)の施工管理と(4)の品質管理がしっかりとできていれば、設計図に記載されているスリーブが施工されていないというザ・パークハウス グラン南青山高樹町のようなミスは発生しません。
マンション完成までのずさんな管理体制も、欠陥マンションを増やしている背景だと言えます。
3-3.「青田売り」が一般的なので購入前に実物を見られない
大規模マンションの場合、モデルルームやパンフレットなど実物を見られない「青田売り」で購入することがほとんどです。
実際に室内を見られるのは入居前の内覧会なので、室内の状況を隅々まで見てから購入というわけにはいきません。
内覧会には購入者による建物検査という意味合いもありますが、営業担当などがついて回る短時間の中でなかなか細かくチェックすることは難しいです。
そのうえ内覧会で物件確認をした同意を求められることがほとんどで、仕上がりに納得した証拠となってしまいます。
このように、購入者が希望するマンションに欠陥がないか細かくチェックせずに購入するスタイルとなっているため、入居後に欠陥が見つかっても
・内覧会で物件の仕上がりを承認している
・建築後に誰が責任を負うべきか明らかになっていない
などを言い訳として、なかなか補修してもらえなかったり法的な処置に時間を要したりするようです。
購入者による購入前にチェックがしにくいという点も、マンション入居後に欠陥マンションが発覚することを後押ししています。
4. 欠陥マンションかどうかを見抜く6つのチェックポイント
欠陥マンションかどうかを見極めるために、マンション購入時やマンションに入居後はどのようなところをチェックしたらいいのでしょうか?
ここでは、誰でも簡単に確認できる
・ジョイント部分にずれはないか
・階段や外壁のコンクリートにひび割れはないか
・雨漏れや湿気はないか
・建具が変形していないか
・マンションの売買契約書に契約不適合責任が明記されているか
・適切な管理や情報開示ができないのも欠陥マンションの可能性がある
という6つのポイントについてご紹介します。
4-1.ジョイント部分にずれがないか
廊下の手すりのずれや棟と棟が接続している部分にずれが発生している場合、マンションが傾いている可能性があります。
「パークシティLaLa横浜」の場合も最初に欠陥に気付いたのは、西棟と中央棟を繋ぐ手すりの位置の僅かなずれでした。
杭の本数不足や基礎部分の施工不良があってもマンションが急に傾くことは考えにくく、時間をかけて少しずつ傾いていきます。
初期の傾きはなかなか発見しにくいため、平行であるはずの設備をチェックと発見しやすくなります。
・廊下の手すりや窓枠に歪みがないか水平器を使い測定してみる
・棟と棟の接続部分でビー玉を転がしてみる(片方の棟が傾いている場合転がっていく)
といった方法でマンションに傾きや歪みがないかチェックしてみましょう。
4-2.外壁や階段などのコンクリートにひび割れ、亀裂がないか
欠陥マンションでは外壁や階段、廊下と住居の間のコンクリートにひび割れや亀裂が発生することがあります。主な理由として
・設計ミスで必要以上の負荷がかかり過歳荷重によるひび割れ
・充分な強度のないコンクリートが使用されている
・地盤沈下によるマンションの歪み
・水漏れ等で鉄筋が腐食し膨張することでコンクリートが割れる
ということが考えられます。
実際にマンションの傾きが起こった「ベルヴィ香椎六番館」では、入居してわずか2年で廊下や壁、外壁にひび割れが発生しました。
コンクリートは永久に使用できる部材ではなく乾燥や温度変化でひび割れを起こすこともあり、すべてのひび割れが欠陥マンションに繋がっているとは言えません。しかし、
・築浅マンションにも関わらず多数のひび割れが見受けられる
・短期間でジョイント部分や外壁のひび割れ箇所が増えた
・コンクリートのひび割れた部分から漏水している
・ひび割れ部分が深く、中の鉄筋が見える
といった場合は欠陥マンションの疑いがあるので、放置しないようにしましょう。
4-3.雨漏りや室内の湿気はないか
マンションの室内や廊下で雨漏りや水漏れがある場合は
・屋根やバルコニー部分の施工不良(防水シートの施工不良等)
・配管の施工不良(配管のひび割れや外れなどが起こっている等)
・外壁の施工不良(外壁やコンクリートのひび割れ等)
・ジョイント部分の施工不良(シーリングの施工不良等)
などといった施工不良が考えられます。
「大津京ステーションプレイス」は屋根部分の施工不良で、最上階が全戸漏水するという被害が起こりました。
外壁や配管の施工不良の場合は雨漏りや水漏れを起こしていなくても、壁の中で水漏れが発生してしまい部屋の中に湿気が溜まるというケースもあるようです。
・室内や廊下で雨漏りや水漏れがある
・天候にかかわらず、室内の湿気が改善しない
というケースは欠陥マンションの可能性があるため、すぐに相談するようにしましょう。
4-4.建具が変形していないか
マンションに必要な耐震強度が保てていない場合や基礎工事不良がある場合は、年月の経過とともにマンションが傾いたり歪んだりします。
マンション自体の形状変化により建具の形も変形し
・窓枠が歪む
・玄関ドアが閉めにくくなる
・引き戸が閉まらなくなる
ということが起こります。
実際にマンションの傾きが発生した「ベルヴィ香椎六番館」と「パークシティLaLa横浜」の両方で、建具の歪みが確認されています。
築浅マンションで「玄関ドアが閉めにくい」「窓枠の形が変わった」という変化が見られる場合は、欠陥マンションを疑っていいでしょう。
4-5.マンションの売買契約書に契約不適合責任が明記されている
分譲マンションを購入する場合は売買契約書を交わすことになりますが、契約の中に契約不適合責任が明記されているかどうかは確認しておきたいポイントです。
以前は瑕疵担保責任と呼んでいましたが、2020年4月の民法改正に伴い契約不適合責任へと変更になりました。
契約不適合責任とはマンションが契約内容からかけ離れていることに対し、事業主が債務不履行として責任を負うことです。主な補償内容としては
・欠陥を補修し完全な状態にする(建て替えなど)
・金銭による賠償により補う(一戸ずつ慰謝料を配る、売買代金の減額など)
・契約不適合責任の追及(債務不履行の責任追及)
・契約解除(売買契約自体をなかったことにする)
があります。
契約不適合責任が明確に記載されていない場合は、欠陥があった場合に誠意のある対応をしてくれない可能性があります。欠陥が見つかったときにどのような補償が受けられるのか、契約時に確認するようにしましょう。
4-6.適切な管理や情報開示ができないのも欠陥マンションの可能性がある
マンションの契約時には契約不適合責任とともに、「品質管理体制」と「情報開示」についても確認しておきましょう。
品質管理体制とは、第3章で紹介したような施工中の品質管理を適切に行っているのか書面に記載したものです。
品質管理体制について触れなかったりどの程度検査や管理をしているのか把握できなかったりすると、ずさんな施工管理になっていた可能性があります。
また、品質管理や施工図などの情報開示ができない場合も、売主や事業主が提示できない問題を抱えているかもしれません。
「パークシティLaLa横浜」では管理組合が資料や監理報告の情報開示をお願いしても、なかなか承諾してもらえず、最終的に欠陥があったという発表となりました。
・品質管理体制について明確な回答がない
・情報開示に対応してもらえない、もらえそうにない
という場合は、マンション購入を検討し直したほうがいいかもしれません
5. 万が一マンション内で欠陥を見つけてしまったら
「欠陥マンションかもしれない」という部分を発見したら個人では動かず、マンション管理組合に相談をしましょう。
個人で売主や事業主に問い合わせをしても、十分な対応をしてもらえないことがほとんどです。管理組合で問題として取り上げてもらいマンション全体の状況を把握してから、事業主や売主に適切な対処を求めるよう動くほうがいいでしょう。
マンション管理組合の人員だけでは専門的な知識が足りないので、第三者の専門家や弁護士に相談をするケースも多いです。
欠陥マンションの事例からも分かるように、解決までには時間とお金、労力がかかります。計画を立てて最後まで戦うという覚悟を持ち挑むことになります。
6. まとめ
いかがでしたか?
欠陥マンションとはどのようなものか把握でき、欠陥マンションのチェック方法や欠陥マンションだった場合の相談方法も確認できたかと思います。
最後にこの記事の内容をまとめると
◎欠陥マンションとは、本来あるべき安全性や住宅機能に欠陥があるマンションのこと
◎万が一欠陥が見つかった場合は、契約内容から乖離しているとして事業主や売主は契約不適合責任を負うことになる。
◎欠陥マンションの事例は次の4つ
・滋賀県大津市「大津京ステーションプレイス」:800箇所以上に及ぶ瑕疵が発覚
・福岡県福岡市「ベルヴィ香椎六番館」:杭の長さ不足などでマンションが傾く
・神奈川県横浜市「パークシティLaLa横浜」:データ改ざんや杭の長さ不足が発覚
・東京都港区「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」販売前に施工ミスが発覚し、販売契約解除
◎欠陥マンションが増える背景は次の3つ
・何十社もの下請け業者が絡む下請け多重構造となっている
・建築現場での管理が適切に実施されていないケースがある
・新築マンションは現物確認後に購入できない「青田売り」が主流となっている
◎欠陥マンションを見抜くポイントは次の6つ
・ジョイント部分にずれはないか
・階段や外壁のコンクリートにひび割れはないか
・雨漏れや湿気はないか
・窓枠やドアなどの建具が変形していないか
・マンションの売買契約書に契約不適合責任が明記されているか
・適切な管理や情報開示ができないのも欠陥マンションの可能性がある
◎万が一欠陥マンションの疑いが出てきたら個人で行動しないで、まずはマンション管理組合に相談する。
この記事をもとに欠陥マンションを避けて、快適に暮らせるマンションを選択できることを願っています。
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