【専門家監修】家のフルリフォームと建て替えどっちがお得?費用相場など徹底比較

古くなった持ち家や中古の家を購入した場合に、フルリフォームと建て替えをするならどちらのほうがいいのでしょうか? 費用相場やそれぞれのメリットを徹底比較しながら解説します! さらに、フルリフォームに向いている戸建て、建て替えに向いている戸建てについても説明しますよ。

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このアイデアの監修者

森住宅コンサルタント株式会社 代表取締役 森雅樹

名古屋生まれ。法政大学卒業後、大手ハウスメーカーに就職し戸建て住宅営業を経験。
退職後は都内の零細工務店において戸建て営業とリフォーム営業に従事。その後、森住
宅コンサルタント㈱を興して独立。現在は住宅会社と消費者向けの講演、執筆、コンサ
ルティング活動を行う。買う側、売る側双方の立場を熟知したうえでのアドバイスを行
っている。住宅購入者向け、住宅販売者向けの単行本20冊以上。

森住宅コンサルタント(株)
http://mori-consultant.com/

フルリフォームの定義

フルリフォームとは枠組みだけを残してすべてを一新するリフォーム工事のことです。簡単にまとめますと、古い住宅をリフォームし、外観からも内観からもその古さが残っている部分をまったく感じさせない工事と考えていただければ大丈夫です。

フルリフォームの費用相場は? 建て替えと比較

大まかにお話しすると、建て替え工事をするのと比較して30%程度安くなるという目安になります。

例えば建て替えをすると3000万円かかるとすれば、おおよそ2000万円程度を見ればフルリフォームができるという計算になります。

ただ難しいのは、フルリフォームの中身です。築50年の家と築30年の家ではその費用にはばらつきが出て当然だからです。

例えば断熱材。築30年程度ですとロックウールと呼ばれる断熱素材が一般的で、この断熱材であれば総交換までは必要がないかもしれません。ところが、築50年となるとグラスウールが主体と考えられるので、建物によってはグラスウールが壁体内で下にズリ落ちて断熱効果が大きく失われているかもしれません。この状態が確認されれば、断熱材そのものをアクアフォームなど最新のものに変える必要も出てくるでしょう。

また屋根のケースだと、重厚な瓦が乗った築50年の家とカラーベストの乗った築30年の家では事情が逆転するケースもあります。

築50年であっても立派な瓦で重厚感があり、メンテナンスもされてきたとすれば変える必要性がないかもしれません。ところが、築30年であっても、その当時のカラーベストは色落ちが激しいという問題が一部にありました。一見して劣化がわかるような屋根材ならば、屋根そのもののリフォームが必要です。

屋根を触るとなると大工事。その分どうしても費用がかさむのは致し方ありません。

建て替えの費用は解体工事がプラスになる!

まず考えなくてはいけないのが解体です。建て替え工事をするということは、その建物を解体しないと始まりません。フルリフォームと比較して価格が高くなる要素の一つなのです。

解体相場ですが念のために坪あたり3万円は見たいところ。40坪の住宅解体であれば、120万円は必要となります。

一番重要な建て替えそのものの費用ですが、これは千差万別としかいいようがありません。超高級住宅にすれば坪100万を超えるでしょうし、ローコストメーカーに頼めば坪当たり40万円台で可能になります。

費用面で判断すると……建て替えとフルリフォームどっちがおすすめ?

お金があるのならば建て替えでいいと思います。そのほかの何らかの理由がなければ私もそうするでしょうが、やはりその費用を考えると、フルリフォームを選択するでしょう。

最終的にはあなたの判断になりますが、フルリフォームをするのが賢い選択だと私は思います。

フルリフォームと建て替えでできること

フルリフォームだからできること

フルリフォームでも新築同様の気分一新感があります。それに加え費用が大幅に安くなるとなれば、こちらを選択する理由ははっきりします。

ただ、実際の現場に接している人間から言わせてもらうと、それ以外にもさまざまな理由が存在します。

「父が思いを込めて建てた家を壊すのは忍びない」

意外に多いケースがこれ。本心としては建替えたいものの、親の想いに影響されてしまうケースです。ただ、フルリフォームであれば、目に見える部分は新築同様でも、隠れている大黒柱などは親の思い出としてしっかり残るので、おすすめです。

また、こんなケースもあります。

主には古民家リフォームなのですが、重厚に黒光りした梁や柱は、お金を積んでも手に入らないことが多いもの。この貴重な木材を活かしながら、機能性は最先端のものにしたいと思うと、古民家のフルリフォームという選択が浮上します。

建て替えだからできること

その逆に建て替えでできることとはなんでしょうか。

建て替えのメリットとして案外見逃されがちなことがあるのですが、それはなんだかおわかりでしょうか?

それは配置の変更です。配置の変更とは建物の場所を移動すること。現状で全く問題がなければよいのですが、建築当初はお隣は空き地だったのに家が建って日当たりが少し悪くなったらどうしますか?

敷地に余裕があることが前提ですが、フルリフォームでは配置はそのままであるのに比べて、建て替えならば基礎を別の場所に打ち直せば移動ができるのです。

これは建て替えの大きなメリットと言えるでしょう。もちろんすべてを新しくするので、既存の建物を調査して構造壁などを確認する必要もありません。

できることで比較! 建て替えとフルリフォームはどちらがおすすめ?

フルリフォームでも建て替えでも住み心地に大きな差が出るとは考えにくいでしょう。ただ明らかなのはその費用。どうしても譲れない事情があるならば仕方がありませんが、私としてはフルリフォームとの選択が賢いと感じます。

フルリフォームに向いている戸建

総2階住宅という言葉がありますね。1階と2階の面積が同じでシンプルな構造の住宅のことです。フルリフォームを選択する場合は、躯体を残してすべてを入れ替えるので、既存の構造はなるべく単純な総2階住宅が工事をしやすく向いています。

また、見逃してはならないのが建築基準法との絡みでしょう。家を新築したり建替えたりするには、建築基準法によって基準が定められています。

代表的な事例は接道条件。家を建てる敷地は公道に2m以上接していなければいけない、との法律があります。つまり、中古物件を建て替えようと思っても、この条件を満たさなければ建て替えそのものが不可能なのです。

それに対してフルリフォームはこの規制がかかりませんので、心配は無用。お好み通りのリフォームが可能となるのです。

建て替えに向いている戸建て

建物配置を変えられることが大きなメリットと書きましたが、そのほかにも建て替えに向いている戸建ての条件があります。

フルリフォームは現状の躯体を活かしながら再生する工事ですので、その躯体の強度などが一定の条件をクリアーしていることが必須条件となります。ところが、古い住宅が基本となりますので、調査してみて強度の不安がある箇所が見受けられれば、希望通りのプランができないかもしれません。

また、現状の建物の形状が極めて複雑な形をしている場合も、フルリフォームが困難になるケースが増えてきます。

つまり、当時の設計図がないような住宅、かつ建物構造が複雑なものであると、フルリフォーム自体が厳しい場合や制約で出てきてしまうため全面解体をした方が有利といえるでしょう。

建て替えよりもおすすめはフルリフォーム!

人それぞれに考え方はあると思います。建て替えかフルリフォームの選択は非常に難しいものがあるのですが、まずは費用を重視すべきでしょう。

通常の建て替えより30%近くコストを低減できるのならば、フルリフォームを選択し、その浮いたお金を他のことに使うべきだと思います。部屋の一部を防音仕様にして趣味の音楽を楽しんでもいいですし、お子さんの教育資金として積み立ててもよいでしょう。

その一方でフルリフォームにありがちな細々とした調査や打ち合わせを回避したいのならば、気持ちよくすべてを解体して0から作り直すのも良しです。

※賃貸物件の場合、退去の際に原状回復を行う義務があり、修繕費用が必要となる場合があります。必ず賃貸借契約書を確認の上で、家主や管理会社の許可を取ってから作業を行いましょう。

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