これぞ理想の間取り!?リノベで叶えた「回遊空間」とは?プロの収納術も必見です!

せっかくリノベして理想のおうちにしたいなら「間取り」こそ重要! おうちを回遊できる廊下に「収納機能」を盛り込むことで住み心地と使い勝手を両立させたリノベーション事例をご紹介。加えて収納上手になるための“整理整頓術”もレクチャーします!

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『間取り』というパズルから“最適解”を導き出すには

リノベーションに求めたい要素って、たくさんあるもの。お部屋全体の雰囲気だったり、デザインや素材へのこだわりだったり、使い勝手の良さであったり……。その中でも一番重要で避けて通れない基本要素といえば「間取り」ですよね。

特にスケルトンリノベーションが発展している昨今では、自由度が高い反面、難しくもあります。悩んだ末に、結局どうしたらいいかわからなくなってしまうことも。

そんな“間取りジゴク”に陥らないために、今回はとっても賢い「間取りプラン」を導き出すことに成功したフルリノベーションのお宅をご紹介しましょう。

家族構成やライフスタイルに合わせ、自分達なりの「答え」を間取りに反映

保育園に通う2人のお子さんがいる4人家族のKさんファミリーは、もともとは新築、もしくは比較的新しいマンションの購入を考えていたそうです。

しかし、家族構成やライフスタイルを考えるとなかなか理想の間取りには出会えず、理想の間取りを実現するため、都心部のビンテージマンションを購入からフルリノベーションまでワンストップで〔howzlife〕に依頼したのだそうです。

そして見つかったお部屋は、築48年、80㎡程の広さを持つ物件でした。この物件に反映された、家族4人が快適に暮らすための「理想の間取り」とは、

「回遊空間」でした。

子ども達が走り回れる「回遊空間」と開放感あふれる居住スペースを両立

リノベーション後の間取り図

まずは間取り図を見ていただきましょう。南側のバルコニーにLDKを配し、ベッドルームを中心に回遊できる動線として廊下を配置。その動線からアクセスする形でバスルームや洗面、子ども部屋が配置されています。

リノベーション前の間取り図

ちなみに以前の間取りはこのような形となっていました。リビングが中央にあるために採光がイマイチに感じられますね。

全体のイメージは、ロンハーマンのような素材感を持たせつつ、オーソドックスなものを目指しました。ホワイトオークのフロア、白い壁、そしてスチールの素材感で包まれた全体の雰囲気は、リラックスできてしかも飽きのこない印象。

そんな中でも差し色としてとっても効果的に機能しているのがLDK空間に配された「黒壁」です。

キッチン側の白いサブウェイタイルとのコントラストを強調するように配された黒壁&カウンターの下部分は、黒板機能も持たせることでお子さんが遊べ、家族の連絡用にも使えるという、昨今のトレンドも盛り込んでいます。

ご家族の寝室。リビングの隣にありつつも、回遊廊下の中央に位置しています。落ち着いた空間にするため、濃紺の壁を採用しているのも素敵ですね。

さらに見ドコロなのは動線をたっぷり取った回遊空間。メインのベッドルームを中心に、子ども部屋も2部屋取りつつ、動線上に洗面スペースを配し、その周りにトイレとバスルームを配置するという間取りはなかなかにぜいたく。

ベッドルームにはリビング側と反対側にも室内窓を設置。これにより回廊の中央に位置していても開放感が感じられるようになっています。
お子さんが二人いるため、同じ間取りの子ども部屋がシンメトリーになるように配置されています。小さな机があるのがカワイイですね。
バスルームとトイレ動線の途中のL型スペースを洗面スペースとして活用。ひろびろとした洗面台と大きな鏡が海外のバスルームみたいでカッコいいですね。

しかもクローゼットにも直接アクセスできる、2つの動線を確保した大きめのエントランスも昨今のトレンドをしっかり反映させていて、使い勝手の良さはもちろん、お子さんにとってもとっても楽しい空間なのは間違いないですよね。

エントランス部分にもモノを置くことが多いので、距離をたっぷり取っています。奥は靴を始め、遊具やアウトドア用の道具の収納スペースとして活用しています。

昨今では、リビング自体に動線の機能を持たせることでスペース効率を上げる設計が増えていますが、こちらのお宅はむしろ逆で、廊下動線をたっぷり取って回遊空間を作り上げています。それでもこれだけひろびろとした印象のおうちに仕上がっているのはなぜでしょう。

その秘密こそ「収納」だったのです。

動線と収納を一体化!? さらに上手な収納テクも伝授!

これまでお部屋を見ていて気付かれた方もいらっしゃると思いますが、このおうち、各お部屋ではなく、廊下動線の至るところに「収納スペース」が設置されているのです。例えばエントランスからLDKへ続く長い廊下を活用した本棚、子ども部屋の目の前にはお子さんの服やオモチャの収納……。

バスルームからリビングに繋がる動線。左手に子ども部屋があるので、その正面となる右手側にお子さんの服や遊具などがしまえる収納スペースを確保しています。

そしてメインベッドルームからエントランスに抜ける動線には容量たっぷりのウォークインならぬ、「ウォークスルークローゼット」があり、ご夫婦の衣類はもちろん、寝具や普段使わない家財道具がしっかり収納できるスペースがあるのです。

バスルームに繋がる動線は、ベッドルームからエントランス収納エリアに繋がる動線になっています。このスペースはご夫婦の服はもちろん、寝具や家財道具まで収納できるいわば「ウォークスルークローゼット」となっています。

これだけたっぷりの収納ですが、それでもKさんにはお悩みが。家族4人で、しかもお子さんが成長するにつれ、さらにモノは増え続ける、共働き夫婦で忙しい毎日……ということを考えた場合、家が徐々に片付かなくなってきた……という悩み!

というわけで今回は、巧みに収納スペースを確保したKさんのお悩みを解決すべく、〔howzlife〕と親交のあるプロの収納インテリアアドバイザー・大橋わかさんによるKさん宅「収納整理」を実行しました!

それでは、大橋さんにポイントを解説していただきつつ、実際に行った収納整理術について、ビフォーアフターを絡めながらKさん宅の収納スペースを見ていきましょう。

大橋わか
快適な住空間を実現する整理収納術を提案する〔(株)おうちデトックス〕代表の大橋さん。整理収納アドバイザー1級のほか、インテリアコーディネーターなどの資格を持つ住宅収納のスペシャリスト。整理収納2級資格講座の講師も務める。
http://ouchi-detox.com/

“整理収納”は普段の考え方から! 収納術を極める3つのポイントとは?

「整理収納って例えば年末や引っ越しの時など、なにかの節目の時に一気にやるイメージがありますが、当たり前ですが普段から意識することがとっても大切なんです。とはいえ『何』を『どう』意識すればいいのか、何から手をつけていいのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。ということで整理収納を行う際にまず意識して欲しいのがこの3つのポイントです」と、大橋さんは言います。

その3つのポイントはこちら。

①モノの種類はしっかり分ける

②よく使うモノは手近に配置し、入りきらない使わないものは違う場所へ

③収納場所にあった収納グッズを選ぶ

まずその同じ収納エリアに置きたいモノをこのように広げて、全体の種類と量を見極めるの大事なのだそうです。

「まずそのスペースに置きたいモノで、どんなモノがどれだけあるか、をしっかり把握することが大切です。例えば調理器具を始めとしたキッチンに置くモノであれば、このようにまず何がどれだけあるか、が分かるように種類別に一回広げて確認してみましょう。

次に使用頻度の高い→低いを判断しましょう。この段階で使用頻度の高い物を使いやすい場所に入れて行きます。全て使う場所に置くのが理想ですが、入りきらない場合は無理して詰め込まないことで、毎日の使い勝手が格段によくなります。使用する機会の多いものはもちろん手近に置くわけですが、ここでもコツがあります。

例えばリビングのシェルフに置くモノの場合、書類や文房具、本などさまざまな種類のモノがありますが、これも使用頻度の高さや用途に合わせて取りやすい位置に配置していくのがコツです。例えば使用頻度の高い、ハサミや爪切り、文房具などは手を伸ばせば取れるシェルフの3段目、お子さんのオモチャなどはお子さんでも手が届く低い位置にある1段目、というように頻度や用途に合わせて配置していくといいですね」

使う頻度別に選別したら、頻度の高いもの、そして用途に合わせて取りやすいスペースから収納していくのがコツ。

「実際に配置する際には、みなさん最近は収納BOXを使うのが普通だと思います。特にこのおうちは“見せる収納”になっている分、実際にこれまでも使用されてきてらっしゃったと思います。ですが、この収納ボックスも選び方にポイントがあります。見せる収納の場合は、棚から少しでもでっぱると見た目が悪くなるので、収める場所のサイズをしっかり計測し、なおかつ分類が曖昧にならないようしっかり仕分けし、ルールを決めることが大切です」

棚などのスペース部分は、必ず採寸してそれに合わせて使用するBOXのサイズをチョイスしましょう。こういったひと手間がデッドスペースを無くし、効率的な収納が行えるコツなのです。

「その収納スペースのサイズを熟知し、収納するモノの形やサイズまで考慮する。これで無駄なデッドスペースが出てしまうのを防げます。横幅がこれだから、このBOXなら縦にすれば2つ置ける、それなら縦のサイズは長めの方がいいな、といったような考え方が出来るようになるのが理想ですね」

ではこの3つのポイントをフルに活用して整理整頓を実施したKさん宅の各収納スペースを見ていきましょう!

使いやすさを重視して設計された収納だからこそ上手に整理収納すべし!

■リビングシェルフ/整理前

きれいに収納したい! という意気込みは感じられるけれど、おもちゃがはみ出したり、実用的なものがメインに置かれていたりと雑然とした感があります。

■リビングシェルフ/整理後

リビングで使うものだけを選び、収納 BOX やかごに余裕を持たせ、空いたスペースにはグリーンや家族写真を飾って。それだけでとてもスッキリしましたね。

■リビングシェルフ/整理後

引出しの中にも余裕があるのがポイント。キツキツにしないで新しいアイテムも追加できるように。

■リビングシェルフ/整理後

おもちゃたちもリビングでよく使うものだけを選んだので、しまっても余裕があります。

整理収納前もある程度整っていたのですが、どうしても徐々にモノが増えてしまって秩序が乱れ始めていた感じのリビングシェルフ。ここはさらに収納BOXを活用して小分け収納を徹底。おさがりのものなど使わなくなったものは、こまめに見直して違う場所に移動しましょう。置く場所も使う頻度と用途に合わせていますね。さらにまたモノが増えることを想定して少し余裕を持たせておくのも一つのコツなのです。

■キッチン/整理前

一見すると整理されているように見えますが、ゴミ箱や黒い壁の下に置かれたカゴなど動線の邪魔になるものが多いですね。そしてオープンキッチンの場合はリビングからの見映えももう少し気にしたいところ。

■キッチン/整理後

壁際のカゴに入っていた小物やお菓子はワゴンに収納。そして見えにくいですがゴミ箱にも車輪をつけて動かしやすくしました。リビングから見えるラックもスッキリ。

■キッチン引き出しA/整理前

上から取っていかないと取り出せない状態。

■キッチン引き出しA/整理後

箱やファイルボックスを使って、縦にしまう収納に。何があるか一目瞭然かつ取り出しやすい!

■キッチン引き出しB/整理前

ホットプレートや電気式お鍋などキッチンでは使わないものたちが収納されています。

■キッチン引き出しB/整理後

洗剤やスポンジ、ミキサーなどキッチンで使う小物を収納。その場で使うものをその場にしまうというのが基本です。

キッチンエリアは、用途別収納を徹底し、さらに使う頻度の高いものから取りやすい場所に収納しています。また、ダイニングでも使用する調味料などは可動式ラックに収納。車輪を付けた台座を用意してその上にゴミ箱を設置。ゴミ箱も可動式にしてみました。

■ランドリーエリア/整理前

オープンシェルフを使いこなせず、タオルや下着をどんな風にしまえばよいか迷っていました。

■ランドリーエリア/整理後

無印良品の BOX や引き出しを設置してタオルや下着を小分けして収納できるようになりました。

■ランドリーエリア/整理後

ラックがあるのにイマイチ使いこなせてなかった整理前。下着やタオルなど細かいものが多いので、棚にそのまま置かず、BOXやユニットシェルフを追加で使用して小分け収納することで、こんなに使いやすそうなランドリー収納になりました。こちらも使用頻度の高いタオルなどは取りやすいところに収納しているのがポイントですね。

■洗面台/整理前

いろいろなアイテムが外に出ていたり、台下の収納ボックスの大きさがまちまちなので、せっかくの造作洗面台がスッキリしない感じです。

■洗面台/整理後

外に置かれていた洗顔や歯磨きのアイテムを文具用のラックで整理。そして台の下の収納ボックスも大きさをそろえるだけでキレイ。お花を飾る余裕も生まれますね。

■洗面台/整理後

収納ボックスの中も入っているものがすぐにわかるようにタテ置きにしています。

洗面台下部分の収納には、これまでもBOXを使用していたのですが、イマイチサイズが合っておらず、奥にデッドスペースが生まれてしまっていました。これを解消するためにピッタリサイズのBOXを新調。もちろん、用途別の分類をしっかりすることで、細かいものも在庫量が把握できるようになりました。

■エントランス/整理前

エントランス収納スペース。上部の棚、トランクを取り出したら横のおもちゃが雪崩れてきそう。

■エントランス/整理後

上部の活用しきれてない空間には、棚を作成。スペースに合わて切り出した板を 3枚使ってコの字に置いただけ。これだけで収納が倍になるし、雪崩もおきません!
エントランスからリビングに真っ直ぐ伸びる廊下の壁には家族の写真や子どもの作品を飾り、Kさん宅のフォトギャラリーに。こんな壁面の使い方も楽しいですね。
もとからモノが少なかった廊下の本棚は、あまり使う事がない高い部分のデッドスペースに、先ほどの選別で使用頻度が低いと判断されたモノをBOX収納。

”住み心地”と”使い勝手”を完ぺきに両立させた「回遊型」間取りは、ファミリーにぴったりのリノベなのでした

さて、「動線収納」を徹底して盛り込むことで住み心地と生活しやすさを両立させた「回遊型」リノベーションプランと、それを踏まえたうえでの巧みな整理収納術、いかがでした? 廊下動線は無駄なスペースになるから……と敬遠していた方も多いと思いますが、実はそこに収納という発想を盛り込むだけで、動線も「使える活用スペース」に変貌してくれるのです。

それは、回遊型というアイデアを出したKさんご夫婦と、そのコンセプトをどう盛り込んで住み心地と使い勝手に活かすか、を考え抜いて最適解を導き出した〔howzlife〕デザイナーの共同作業から生まれたもの。Kさんご家族が望む「家族みんなが豊かになるライフスタイル」。それを実現できたのは常にユーザーに寄り添ってそれぞれの希望や事情に合わせたリノベーションを信条とする〔howzlife〕だからこそ。

そんなおうちだからプロが提案する整理整頓術も光るというもの。これからリノベーションをお考えの方も、整理術って難しい、と悩んでるお方にとっても、とっても参考になった事例だったのではないでしょうか。

この5月に3周年を迎える〔howzlife〕では、大橋さんとのコラボセミナーを開催! 収納や整理術、そして間取りで悩んでいる方はぜひ足を運んでみては?

【物件情報】
●築年数:48年
●リノベーション形態:フルリノベーション
●リノベーション面積:83.4㎡
●間取り:3LDK→3LDK
●リノベーション価格:約1,200万円(税別・物件価格除く)
●設計・施工:howzlife

●書き手 藤川経雄
●写真 塩谷佳史

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