ヒートショックにご用心!冬の浴室に潜む罠

最近よく耳にするようになった「ヒートショック」という言葉。今家づくりをしている人、これから家づくりをする人には絶対に覚えておいて欲しい言葉です。浴室でなくなる高齢者の方が増えていますが、そうならない為の正しい知識と対処の方法をお伝えします。

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ヒートショックってなに?

ヒートショックを一言でいうと、家の中の温度差によって身体に起こる悪い影響のことです。暖かいリビングから寒いお風呂場に行くととても寒く感じますよね。この時、実は身体にはとても大きな負担がかかっています。あまり大したこと無いんじゃないの?と思うかもしれませんが、その負担が原因で死に至る事もたくさんあります。今、家づくりをされている方も、これから家づくりをされる方も、ヒートショックについて正しく理解して家族を守る家づくりに役立ててください。

ヒートショックが一番多いのは、入浴時。

暖かい所と寒い所を行き来すると、身体の中では急激に血圧を上げたり下げたりして体温調節をしています。家の中で特に血圧の上下が激しくなるのが入浴時です。お風呂に入るときは、暖かいリビングから寒い廊下に出て、寒さを我慢しながら洋服を脱いで、熱いお風呂に浸かって(シャワーを浴びて)、、、ほとんどの方はこうですよね。暖かい→寒い→暖かいの繰り返しが身体に悪影響を与えるのです。

入浴する時の血圧の変化を簡単にご説明します。
①暖かいリビングから寒い脱衣所に行くと、寒さに熱を奪われないように血圧が上がる▲
②寒い脱衣所で洋服を脱ぐと、体から熱が奪われないように血圧が上がる▲
③熱い湯に入ると交感神経が緊張するため、血圧が急激に上がる▲▲
④肩まで浸かると、水圧によって心臓に負担がかかりのでさらに血圧が上がる▲▲
⑤浴槽内で体が温まると血管が拡張し、血圧は急激に下がる▼▼
⑥浴槽から上がると水圧がかからなくなるため、血圧は下がる▼▼
⑦入浴後、脱衣所が寒いと温まった体が急激に冷えるため、熱が奪われないように再び血管が収縮し血圧が急激に上がる▲▲
こうやって考えると、見るからに身体に悪そうだなぁということがわかりますよね。

ヒートショックが原因で死亡する人は、年間1.4万人

ヒートショックがどのくらいの人に影響を与えているのか調べてみました。ヒートショックが原因で死亡してしまう数はなんと交通事故の3倍以上もいるのです。下のグラフは2012年統計ですが、14500人です。一年間にヒートショックが原因で、14500人もの方が命を落とされています。ぞっとする数字です。

圧倒的に冬に起こりやすい

下のグラフは入浴中に心肺機能が停止した人の数を1月~12月別にしたグラフです。冬になると圧倒的に数が増える事がわかりますよね。寒さが身体に与える影響は絶大です。

ヒートショックを受けやすい人の特徴

それでは、どんな人がヒートショックを受けやすいでしょうか。下記に当てはまるかどうかチェックしましょう。二世帯住宅をご検討中の方は、ご家族にも聞いてみて下さい。

□65歳以上である
□肥満気味である
□高血圧・糖尿病・動脈硬化の病気をもっている
□睡眠時無呼吸症候群など呼吸器官に問題がある
□不整脈がある
□自宅の脱衣所や浴室に暖房器具がない
□「いちばんぶろ」が好き
□熱いふろが好き
□お酒を飲んでから入浴することがある

3つ以上当てはまる方は要注意です。

ヒートショックを防ぐには?

原因は身体の周りの急激な温度差による血圧の上昇、ということはよくわかりましたね。それでは、そうならないための対処法についてご説明します。もちろん、お酒を飲まずにお風呂に入る、日頃から運動をして健康を心掛ける、などもありますが、ここでは住宅で考えられることについてお話します。まずは、次のイラストを見て下さい。

全部で3つの家のイラストが書かれています。それぞれ家の断熱性能が違っているので、部屋の温度も変わっています。一番左は20年前程に建てられた家です。断熱材もちょこっとだけ入っています。真ん中は最近の建物で、断熱材がそこそこ入っている家です。一番左は断熱材をしっかり入れた家です。右に行けば行くほど暖かい家になるので、ヒートショックの危険性をやわらげることになります。

断熱性能を見分けるにはQ値!

断熱がどのくらい入っているか=断熱性能を見分けるための手段として、Q値という値があります。「きゅーち」と読みます。このままだとなんだか堅苦しいので、キューちゃんと呼んでいただいてもかまいません。上のイラストだと左から4.2、2.7、1.9とだんだんと減っています。Q値は小さくなればなるほど断熱性能が良くなります。一番右のQ値1.9の家はそれぞれの部屋で温度差がなくなっているのが部屋の色分けでわかります。昔の家は暖房室の横が5℃くらいなのに対して、一番右は15℃~20℃になっています。断熱性能をしっかりする=部屋間の温度差を無くす、ということに繋がります。

断熱性能を高めることは身体の健康を高めること。

ヒートショック以外にも、断熱性能が変わったことで健康になった、というデータも最近ではたくさん出てきています。断熱性能を高めた家に住むことで、喉の痛み、せき、アトピー性皮膚炎などの症状も改善された、というデータです。

イギリスでは室温が低すぎると罰金!?

ここでちょっと余談ですが、イギリスでは室温が低いと罰金になるケースもあるようです。下の絵はイギリスの保健省から抜粋してきたデータですが、室温が下がれば下がるほど、ヒートショックにかぎらず身体への負担も大きくなる事がわかっているため、室温が低くなってしまうような住まいを造るということは犯罪と同じ、として罰金を科せられる事のようです。消費者にとっては頼もしい法律ですね。

いかがでしたでしょうか。少し難しい話になりましたが、とにかく断熱性能をしっかり考えて家を造るということはとても重要なことなのです。長く住む家ですし、過ごす時間も長いのですから、きちんとした知識を持っている人にご相談することをオススメします。弊社でも、ご自宅のQ値がどのくらいか算出するサービスを行っていますので、ご興味のある方はどうぞご連絡ください。ご相談は無料です。

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