「厚生年金と国民年金」12月から金額が変わった人もいる?年途中で変更になるワケ
2ヵ月に1度振り込まれるという公的年金。高齢者にとっては生活の柱となるものですが、実は1度決まった受給額が変更になることもあります。厚生年金と国民年金の額面や振込額が変わる理由をみていきましょう
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「年金決定通知書・支給額変更通知書」の見方とは
12月15日は年金の支給日でした。
2ヵ月に1度、前月までの2ヵ月分が振り込まれるという公的年金。高齢者にとっては生活の柱となるものですが、実は1度決まった受給額が変更になることもあります。
厚生年金と国民年金の額面や振込額(手取り額)が変わる理由についてみていきましょう。
1. 厚生年金と国民年金の受給額が変わる理由
年金の額は受給開始のタイミングで決定されますが、その後もずっと一定というわけではなく、変更されることがあります。
日本年金機構が公表する主な理由は次のとおりです。
新たに厚生年金保険・共済組合等に加入されたこと、または70歳以上の方で厚生年金保険の適用事業所に勤務されたことの届出があったため、年金の一部の額、または全額の支払いを停止
複数ある年金を受け取る権利のうち、他の年金の受け取りを選択されたため、この年金の一部の額または全額の支払いを停止
勤務先からの届出により、標準報酬月額(標準的な給与の額)が変更されたため、年金の支給停止額を変更
障害の状態(障害等級)が変わったため、年金額を変更
配偶者がいることにより一定の額(加給年金額)が加算されていたが、配偶者が一定の加入期間を有する老齢(退職)年金または障害年金を受けることができるようになったため、加算分の支払いを停止
配偶者が一定の加入期間を有する老齢(退職)年金または障害年金を受けることができるようになったため、老齢基礎年金に一定の額(振替加算額)を加算
一定年齢(40歳~65歳)であったことにより、遺族厚生年金に一定の額(中高齢加算額)が加算されていたが、65歳に到達したため、中高齢加算額分を減額
厚生年金保険の加入者でなくなったため、これまでの加入期間を追加して年金額の再計算を行い、年金額を変更
65歳に到達したため、今までの特別支給の老齢厚生年金を受け取る権利が終了
過去にさかのぼって年金額の決定をしたところ、年金を受け取る権利が発生した以後に法律改正があったため、年金額を変更
雇用保険の基本手当または船員保険の失業保険金の申込みが行われたか、もしくは受け取られているため、年金の支払いを停止
雇用保険または船員保険の高年齢雇用継続給付などの支払いを受けることができるため、年金の一部の額または全額の支払いを停止
勤務先から賞与(ボーナスなど)が支払われたことにより、最近一年間に受け取られた賞与の平均額が変わったため、支給停止額を変更
65歳に到達される前から老齢基礎年金の額の一部を繰り上げて受け取っていたが、65歳に到達したため、老齢基礎年金の年金額を変更
これまで厚生年金基金から支払われていた年金額を国から支払うことになったため(基金の代行返上)、国から支払う年金額を増額
老齢厚生年金(退職共済年金)との調整を行ったため、遺族厚生年金の一部または全額の支払いを停止
離婚時の厚生年金の標準報酬分割請求に基づき、標準報酬の改定が行われたため、年金額を変更
離婚等により、特定被保険者として特定期間における被保険者期間の標準報酬の改定が行われたため、年金額を変更
基準日(9月1日)において厚生年金保険の被保険者であること等により、基準日の前月までの被保険者期間を追加して年金額の再計算を行い、年金額を変更(在職定時改定)
法律改正により、65歳前に支払う老齢厚生年金について、在職による支給停止額の計算方法が変更となったため、支給停止額を変更
少々複雑なケースもありますが、このように自身の年金加入状況の変化や、配偶者の年金受給状況等により変更が生じることがあります。
比較的多いのは、65歳になったため老齢基礎年金に振替加算が加算されるケースや、退職により厚生年金保険の加入者でなくなったため、これまでの加入期間を追加して年金額の再計算が行われるケース、また複数の年金を受けられるようになったため、一方の年金の一部または全部が停止されるケースなどがあります。
2. 年金額が変更になるときは「年金決定通知書・支給額変更通知書」を確認
年金額が変更になる場合、日本年金機構より「年金決定通知書・支給額変更通知書」が送付されます。
出所:日本年金機構「年金決定通知書・支給額変更通知書」
記載内容は次のとおりです。
2.1 (1)年金額
決定された年金額、または変更された後の年金額が記載されます。
2.2 (2)年金の計算の基礎となった加入期間の内訳(厚生年金)
厚生年金の年金額の計算の基礎となった、厚生年金保険の加入月数が記載されます。
2.3 (3)年金の計算の基礎となった平均標準報酬額等の内訳(厚生年金)
厚生年金の年金額の計算の基礎となった、平均標準報酬額または平均標準報酬月額が記載されます。
平均標準報酬額か平均標準報酬月額かは、加入期間によって変わります。
平成15年4月以後の期間
平均標準報酬額:「平成15年4月以後の各月の標準報酬月額と標準賞与額の合計」を「平成15年4月以後の被保険者期間の月数」で割った額のこと
平成15年3月以前の期間
平均標準報酬月額:「平成15年3月以前の各月の標準報酬月額の合計」を「平成15年3月以前の被保険者期間の月数」で割った額のこと
2.4 (4)年金の計算の基礎となった納付済期間等の内訳(国民年金)
国民年金(基礎年金)の年金額の計算の基礎となった、保険料納付済期間等の月数が、被保険者の種類ごとに記載されます。
2.5 (5)基本となる年金額等
決定された年金額、または変更された後の年金額が、改定のあった年月ごとに記載されます。
「基礎となる年金額(年額)(円)」欄等が2段以上にわたって記載されている場合は、一番下段に記載されている金額が最新の年金額になります。
2.6 (6)決定・変更理由
年金額が決定または変更された理由が記載されます。
※あくまでも通知書の見本であるため、受給されている年金の種類等によって、通知書の記載事項に相違点があるのでご留意ください。
3. 年金の振込額が変わることも
年金の額面は変わらなくても、振込額(手取り額)が変わることがあります。これは、年金から天引きされるお金に変更があったためです。
年金から引かれるお金とは、介護保険料、住民税、所得税、健康保険料です。前年中の所得で決まるお金もあるため、税額や保険料の決定により年の途中に天引き額が変わるケースもあるのです。
出所:日本年金機構「年金振込通知書(2:年金振込額に変更があった場合)」
振込額の変更が合った場合は、送付される「年金振込通知書」にて内容を確認することができます。
4. まとめ
masamasa3/shutterstock.com
年金生活になれば安定した生活が送れると思うかもしれませんが、実は金額が変動するケースもあるので注意が必要です。
そもそも、年金だけで生活できる高齢者は年々減少傾向にあります。年金だけに頼らず、十分な老後資金を備えておけば、年金額の変動にも慌てず対処できるでしょう。
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