居住用のマンションを売却するとかかる税金や控除について解説します
マンションを購入したときは、さまざまな手続きの手数料や税金などがかかったはずです。それと同様に、マンションの売却を行うときにも税金や諸費用がかかります。そのときかかる諸費用については不動産会社の人が詳しく教えてくれますが、後でかかる税金のことまで教えてくれるケースは多くないかもしれません。そこで今回は、マンションを売却した後に必要となる確定申告のため、税金や控除についてご説明します。
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マンションの売却に伴って、必ずかかる税金がある
ここでは、マンションを売却すると必ずかかる税金についてご紹介します。
【1.登記費用】
マンション購入時に住宅ローンを利用していればマンションはローンの抵当に入っていたことになりますから、マンション売却に伴って抵当権を外さなければなりません。
この場合、住宅ローンの抵当権を抹消するための手続きを行うことになりますが、不動産の抵当権抹消登記にかかる登録免許税は原則として1物件につきそれぞれ1,000円です。
マンションの登記簿は専有部分と敷地権の持ち分からできていますが、今ではほとんどのマンションが敷地利用権と専有部分が一体化されていると考えられます。もしマンションの登記簿に「部屋部分」と「土地の持ち分」が記載されていれば、敷地利用権と専有部分が一体化されているとみなすことができます。この場合の登録免許税の計算方法は以下の通りです。
・部屋部分(建物)と土地部分の合計×1,000円
この場合、専有部分が1つで土地持ち分が2筆だと合計3,000円です。 部屋部分は1つなのに土地部分は2筆以上ということもよくあるので、その分だけ登録免許税がかかることになります。 もし古いマンションで、敷地利用権と専有部分が一体化していない場合は、土地の持ち分の登記簿(自分の持ち分に係る一部事項証明書)を別途取得し、抵当に取られている不動産を確認しましょう。この場合の登録免許税の計算方法は敷地利用権と専有部分が一体化されている場合と同じです。
また、居住していたマンションを売却すれば当然住所も変わるので、登記簿上も新住所への変更手続きをします。このとき住所変更登記の登録免許税として1,000円がかかります。
【2.印紙税】
不動産を売買する際は、売買契約書に印紙を貼ることによって、税を納めます。税額は売却価格によって決まっています。
平成26年4月1日~平成30年3月31日の間は、軽減税率が適用されます。契約金額によって印紙税額は変動しますが、詳しくは以下の通りとなります。
・契約金額10~50万円の場合:本則税率で400円、軽減税率で200円
・契約金額50~100万円の場合:本則税率で1,000円、軽減税率で500円
・契約金額100~500万円の場合:本則税率で2,000円、軽減税率で1,000円
・契約金額500~1,000万円の場合:本則税率で1万円、軽減税率で5,000円
・契約金額1,000~5,000万円の場合:本則税率で2万円、軽減税率で1万円
・契約金額5,000万円~1億円の場合:本則税率で6万円、軽減税率で3万円
・契約金額1億円~5億円の場合:本則税率で10万円、軽減税率で6万円
・契約金額5億円~10億円の場合:本則税率で20万円、軽減税率で16万円
・契約金額10億円~50億円の場合:本則税率で40万円、軽減税率で32万円
・契約金額50億円~の場合:本則税率で60万円、軽減税率で48万円
利益が出たときにかかる税金もある
ここでは、マンション売却によって所得が発生した場合にかかる税金についてご紹介します。
【1.譲渡所得税】
マンションを売却して発生した所得を「譲渡所得」といいます。譲渡所得がマイナスとなった場合は、課税の対象とはなりません。譲渡所得の求め方は、以下の計算方法となります。
譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用
他の所得とは別で考えられており、この所得には所得税と住民税が課税されます。税率はマンションを譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年に満たない場合と、5年を超えている場合では大きく異なります。
・所有期間が5年を超える土地・建物等(長期譲渡所得)…20.315%(うち所得税が15.315%、住民税が5%)
・所有期間が5年以下の土地・建物等(短期譲渡所得)…39.63%(うち所得税が30.63%、 住民税が9%)
これに加え、平成49年12月31日までは復興特別所得税2.1%が上乗せされています。
マンションの売却で、税金が控除できます
居住用マンションの譲渡所得にかかる税金には、3種類の控除があります。
【1.最大3,000万円の特別控除】
マンション売却の場合、譲渡所得は3,000万円まで特別控除によって非課税とされます。譲渡所得が3,000万円を超える場合には課税対象となりますが、あてはまるケースは稀でしょう。ほとんどの場合は控除の対象になると考えられます。なお、おおまかな適用要件については以下の通りです。
・自分が居住している家屋やその敷地、借地権を売却すること。
・売却した年の前年、前々年に同じ特例の適用を受けていないこと。
・居住している住宅の買い換えや交換の特例もしくは、その住宅の譲渡損失についての損益通算及び繰り越し控除の特例について、その適用を受けていないこと。
・売った建物や土地について、他の特例の適用を受けていないこと。
・災害で住むことができなくなった家屋の場合は、その敷地に居住しなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却を行うこと。
・親子や夫婦などが売り手・買い手でないこと。
この特例の適用を受けるための詳しい要件は、国税庁のホームページに記載されていますのでご確認ください。
【2.軽減税率の特例】
売却したマンションを10年以上にわたって所有していた場合には、軽減税率の特例を受けることができます。こちらの適用要件は以下となり、詳しくは国税庁のホームページに記載されています。
・日本国内にある自分が住んでいる家屋、その敷地を売ること。
・売却した年の前年、前々年に同じ特例を受けていないこと。
・ほかの特例を受けていないこと。
・親子や夫婦などの関係がある相手に売却したものでないこと。
【3.買い換え特例】
マンションを売却して代わりの住まいに買い換えたときは、譲渡所得にかかる課税を将来に延長することができます。これにも適用要件があり、おおまかには以下となります。
・自分が住んでいる家屋、その敷地、借地権を売ること。
・売却した建物や土地の所有期間がともに10年を超えていること。
・新しく購入した敷地の面積が500㎡以下であること
・新しく購入した住宅の床面積が50㎡であること
・親子や夫婦など特別の関係がある人が、買い手でないこと。
ただし、この特例は譲渡所得の金額が3,000万円を超えた場合にのみ検討されるので、ケースとしては稀かもしれません。
また、3,000万円の特別控除と買い換え特例は併用することができません。ともに適用対象となる方は2つの要件を比較して、お得になる方を選択しましょう。
まとめ
今回は、マンション売却に伴ってかかる税金や控除について詳しくご紹介しました。いざマンションを売却しようとなれば、多くの手続きが発生するものです。専門家にお任せすることも多くなるかと思いますが、少しでも税金の知識があれば手続きをスムーズに行うことができるでしょう。もし控除が受けられれば納める税金を減らせますから、ご自分のケースが控除対象かどうかも確認しておきましょう。
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