THE中流、年収600万円世帯のほんとうの貯蓄額【2021年上半期セレクション】

「年収」は生活の豊かさをはかる一つの尺度であるといえるでしょう。今回は、世間一般でいう「中流」のイメージを持つ方も多い「年収600万円世帯」のお金事情についてながめていきます。

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2021年上半期にLIMOで配信した人気記事から、もう一度読み直したい!「編集部セレクション」をお届けします。
(初公開日:2021年1月21日)

「年収」は生活の豊かさをはかる一つの尺度であるといえるでしょう。今回は、世間一般でいう「中流」のイメージを持つ方も多い「年収600万円世帯」のお金事情についてながめていきます。

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1. THE中流「年収600万円」のゆとり感

国税庁の「令和元年(2019年)分 民間給与実態統計調査」によると、日本人の平均給与は436万円。

居住地や家族構成などにもよるかと思いますが、「世帯年収600万円」と聞くと、ある程度のゆとりがあるご家庭、というイメージを持たれるかもしれませんね。

さて、この調査では、業界ごとの平均給与のデータをみることができます。それによると、「年収600万円台」の業界として「金融業・保険業」(平均給与627万円)が挙げられています。これは、「電気・ガス・熱供給・水道業」(平均年収824万円)に次ぐ、全業界のなかで2番目の高さ。やはり「年収600万円」は、ゆとりある年収ゾーンであると考えてよさそうです。

2. 年収600万円世帯のフトコロ事情

では、ここからは、年収600万円世帯のお金事情についてながめていきましょう。

さいしょに、総務省発表の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果(二人以上の世帯)」から、年収600万円台の世帯の平均貯蓄額とその内訳をみていきます。

 

2.1 「年収600万円~650万円」世帯の貯蓄額

平均貯蓄額:1072万円

通貨性預貯金:324万円

定期性預貯金:403万円

生命保険:238万円

有価証券:80万円

金融機関外:27万円

2.2 「年収650万円~700万円」世帯の貯蓄額

平均貯蓄額:1246万円

通貨性預貯金:411万円

定期性預貯金:384万円

生命保険:315万円

有価証券:136万円

金融機関外:32万円

年収600万円世帯は、預貯金を中心に平均1000万円ほどの貯蓄をしているようです。また、この調査では「世帯主の配偶者のうち女性の有業率が5割程度」という数字も出ています。共働きで「年収600万円世帯」を目指すのも1つの方法でしょう。

3. 年収600万円世帯の「負債」はどのくらい?

貯蓄とセットにして考えるべき「借り入れ=負債」について、次で触れていきます。

貯蓄額とともに把握しておく必要があるのが「負債額」です。同調査から、年収600万円世帯の負債額についてみていきます。貯蓄額と同様に、年収650万円~700万円の層についても併記していきますね。

 

3.1 年収600万~650万円世帯の負債

平均負債額・・・1039万円

うち「住宅・土地のための負債」・・・976万円

3.2 年収650万~700万円世帯の負債

平均負債額・・・827万円

うち「住宅・土地のための負債」・・・764万円

いずれも、負債のほとんどが「住宅・土地のための負債」、つまり住宅ローンというわけです。

4. 年収600万円世帯の「ほんとうの貯蓄額」は?

さて、先述の「平均貯蓄額」から「負債額」を差し引いて、「純貯蓄額」、つまり、実質的な貯蓄額を計算してみましょう。

4.1 年収600万~650万円世帯の純貯蓄額

1072万円-1039万円=33万円

 

4.2 年収650万~700万円世帯の純貯蓄額

1246万円-827万円=419万円

となることが分かります。

4.3 「年収600万円世帯」の裏事情

「年収600万円」と聞くと、順調に貯蓄も進み、ゆとりある生活が可能というイメージもあります。しかし直前で触れたように、「平均貯蓄額」から「負債額」を差し引いた「純貯蓄額」をみると、「本当の貯蓄額」は決して多くはないことがおわかりいただけたかと思います。

さて、先ほどの総務省の家計調査報告では、年収600万円の世帯の世帯主の平均年齢は、年収600万円~650万円の世帯で平均47.5歳、650万円~700万円の世帯で平均48.4歳。かつ、18歳未満の人が1名ほどいるというというデータが出ています。

つまり、これから大学進学予定の子どもがいる家庭が多い、ということ。自宅外通学や私学、医歯薬学系などの専攻などを選んだ場合は、子ども1人につき1000万円以上の出費となることも考えられるでしょう。

5. その貯蓄額で老後は安心できるのか

さらに子どもが独立したあとは、自分自身のリタイヤ後の生活資金について考えていく必要があります。2019年に金融庁のレポートが示した「老後資金2000万円問題」を意識した場合はどうでしょう。

たとえば「40代後半に貯蓄1000万円を持っていた」としても、安心した老後の生活が送れるかどうかはかなり怪しいところです。

おつとめの方の場合は「定年退職金」というまとまった収入を見越して、貯蓄計画を立てていらっしゃるかもしれませんね。しかし、昨今の退職事情は厳しいものとなっています。同レポートでは、1997年には3203万円だった平均退職給付額(全規模)が、2017年には1,997万円まで下がっていることが報告されているのです。

20年間で約1200万円も減少していることを考えると、アフターコロナの世代の退職金事情は、よりいっそう厳しいものになっていく可能性は否めません。

6. さいごに

いまだ終息の見えないコロナ禍。私たちの「仕事」や「生活」を取り巻く環境は、極めて先行き不透明です。今現在の「年収」に一喜一憂することなく、想定外のアクシデント備えたしなやかなマネープランを練っていきたいものです。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

参考資料

国税庁「

令和元年(2019年)分民間給与実態統計調査―調査結果報告―

」国税庁

総務省「

家計調査(貯蓄・負債)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)

金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「

高齢社会における資産形成・管理

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