『トップガン マーヴェリック』ファンが求める続編ができた理由とは? ─ 伝説のプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマー…

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トップガン マーヴェリック』を、世界は待ちわびた。コロナ禍直撃を受け、パンデミック前の予定から2年も延期しての、ようやくの公開である。トム・クルーズ主演の伝説的な名作『トップガン』から実に36年。あの無鉄砲な海軍訓練兵だったマーヴェリックが、新作では歳を重ね、教官として帰ってくる。

帰ってきたのは、マーヴェリックだけではない。本作を皮切りに、大作ハリウッド映画の大々的な来日プロモーションが再開されたのだ。2022年5月23日には、コロナ禍後はじめてとなる来日記者会見が実施され、24日には観覧客を招いてのレッドカーペットイベントも開催。このため、本作のプロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーが、トム・クルーズと共に来日した。

ジェリーは、前作『トップガン』をはじめ、数えきれぬほどの大ヒット映画を手掛けた伝説的プロデューサー。トムが彼に全幅の信頼を寄せている様子は、来日記者会見での姿を見ても十分に窺い知ることができた。

THE RIVERは、そのジェリー本人に会った。パンデミックの最中、海外タレントへのあらゆる取材は、全てバーチャルとなった。来日タレントの取材といえば、都内の最高級ホテルで行われるのが恒例だ。筆者は数年ぶりに、ホテルの一室に招かれた(実はジェリーには2019年の『ジェミニマン』で来日した際にもお会いしていたが、超多忙なご本人が覚えているはずもない)。

到着するや、まずは別室で新型コロナウイルスの抗体検査である。陰性を確認してから、待機室でジェリーとの対面を待つ。映画宣伝のスタッフとは、「コロナ後初めてですね」と話す。やがて部屋に通されると、マスク姿のジェリーがソファに腰掛けている。78歳。トム・クルーズにして「伝説」と崇拝される、ハリウッド最高のプロデューサーが、目の前にいる。コロナ禍を経て、こうした来日取材がいかに貴重であったかを思い知る。数々の伝説を作った超重鎮に、『トップガン マーヴェリック』の秘密を対面で聞いた。

©︎ THE RIVER

『トップガン マーヴェリック』ジェリー・ブラッカイマー 来日単独インタビュー

──来日ありがとうございます。僕にとっても、対面でインタビューをするのはコロナ禍後はじめてですので、とても興奮しています。この機会を作ってくださった全ての方に、感謝の思いです。実は、ジェリーさんが前回日本にいらした『ジェミニマン』の時にもインタビューをさせていただいていました。昨日の記者会見も取材させていただきましたが、こうしてハリウッド映画や映画スターが日本に戻ってきたことを、とても嬉しく、光栄に思っています。

素晴らしい。ありがとう。

──『トップガン マーヴェリック』、本当に素晴らしい作品でした。僕は、1作目のリアルタイム世代ではないのですが、本作を観たことで、1作目がより格別な作品になりましたよ。

嬉しいです。よかったです。

──本作はコロナ禍もあって、公開までに2年も延期されてしまいましたね。トム・クルーズがツアーをやるために公開を延期させたという話も一部であったのですが。

劇場で映画が見られる状態になるまで、時期を伺っていたのです。それが狙いでした。実際にその場に訪れて、直接人々と会って、ビッグスクリーンで映画を観られるようにしたかったんです。

──観客と映画を観ることは、やはり特別ですか?

はい、素晴らしいですよ。大勢と一緒に試写で鑑賞しましたが、彼らはまだお金を払っていませんからね。お金が払えるようになってからが本番です。どうなるかな。楽しみでなりません。

──劇中で、トムは1作目と同じ、日本の国旗も付いたお馴染みのジャケットを着ていましたね。

そうです。劇中で着られていたジャケットは、1作目と同じものですよ。

──そうだったのですね。さて、本作でヴァル・キルマーのアイスマンが再び登場したのは、彼自身の境遇もあり、非常に感動的でした。トムは、「彼抜きでは絶対にこの続編を作らない」と話していたと聞きます。それでは、オファーを受けたときのヴァルはどのような様子でしたか?

感激した様子でした。彼には、シーン作りやキャラクター作りを手伝ってもらいました。私個人としても、36年ぶりにまた彼らが一緒に演技をしている姿を見て、とても感動しましたね。あの2人の素晴らしい役者たちは、1作目の『トップガン』でキャリアに弾みがつきました。だからこそ、2人の再会は感動的でした。撮影では、トムもヴァルも、そして私も感動していました。

──本作の素晴らしいと思うところは、ファンが求める要素を惜しみなく与えていることです。続編モノにおいては、ファンが見たい物をあえて出さないこともあると思います。例えば、『スター・ウォーズ』続編のルーク・スカイウォーカーも、映画の最後まで登場せず、しかもセリフもなかった。でも『トップガン マーヴェリック』で、マーヴェリックはマーヴェリックのままでした。記者会見でも、トムが「ファンのために作った」と話していました。ファンが求める期待に応えることが重要なのですね。

その通りで、我々は常にファンを喜ばせることを考えています。それが我々の役目です。私は、自分は「交通ビジネス」をやっていると考えています。人々を、違う場所、違う時代に運ぶわけですからね。

私もトムも、ふさわしい映画を作りたいと考えています。娯楽的で、数時間の間(作品の中に)消えゆくような映画、悩み事を全て忘れさせてくれるような映画です。映画館を後にするときに、気分が良くなっているような映画ですね。

©︎ THE RIVER

──前作から、マーヴェリックが良い意味で変わっていないことが嬉しかったです。あなたが仰いましたように、トムは30年前と同じジャケットを着て、サングラス姿も同じです。現実では、もしも30年以上同じ服装をしている人がいたら、それはクレイジーかもしれないですよね。でも、トムがやるとカッコいい。マーヴェリックの性格や見た目は変わっていませんでした。

マーヴェリックはマーヴェリックです。前作と同じ、ワンパクなキャラクターで、少し歳をとっただけです。今も、自分が正しいと思うことのためには権威にも逆らうような男です。

──本作は、ただの懐古主義映画ではなかったですし、同窓会映画でもない点が素晴らしかったです。オリジナルと同じ空気感を持ちつつ、新たな要素を語る上で、重要だったことはなんですか?

常に最良の物語を考えることです。ジョー・コシンスキー監督がこのストーリーを発案して、我々はパリで集まりました。その当時、トムが『ミッション:インポッシブル』の撮影をしていた場所ですね。ジョーはルックブックを持っていて、トムにストーリーをプレゼンしました。『ミッション:インポッシブル』のショット撮影の間の時間でしたね。ジョーは、もし本作を一緒にやるなら、全てをリアルにやりたいんだと語っていました。実際に役者たちをF-18に乗せるんだと。それを聞いて興奮したトムは、その場で携帯電話を取ってパラマウントの幹部にかけて、「続編を作る」と。そうして本作の旅が始まって、今、こうしてあなたとここにいるのです。

──その空撮のシーンは本当にリアルで、まるで本当に彼らが操縦しているんじゃないかと思うほどでしたが……。

トムはいくつかのショットで実際に飛行機を操縦していますよ。

──えぇっ、トムが本当に操縦を?

そうです。
(編注:トムが実際に操縦したのは、自身が所有するP-51と思われる)

──すごいですね……。トムはクレイジーなスタントを自分でこなしてきていますが、「さすがのトム・クルーズでも、こんなことができるだろうか」と思うような瞬間はありましたか?

いいえ。彼は、やると決めたことは何でもできる。彼はそういう人です。劇中でも、彼は危険なことをやっています。F-18に乗って逆さま飛行をしています。私も信じられませんよ。でも、全てリハーサルを行い、しっかり計画を練って、熟練のプロたちを周りにつけています。恐怖があっても、彼は大きなリスクを取るのです。たくさん練習をして、たくさん訓練をしてね。

飛行機の訓練は3ヶ月やっています。だからG耐性もついている。昨日の会見でも言いましたが、1Gが自分の体重分。撮影では7Gが発生していましたから、つまり彼らは自分の体重の7倍の重力に押しつぶされていたんです。飛行機が上昇すれば、トムも実際に上昇している。下降する時も、旋回する時も同じです。あれは演技ではない。リアルに感じていたんです。

(C) 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

──そして、キャストのための訓練プログラムまで、トムは自分で設計した。

そうです。実際のトップガン・パイロットやジョーと共にね。

──信じられないです。彼はもう役者と言うよりも、プロデューサーの域ですね。

そう。ソーティ(部隊)が飛び立つ前に、彼がブリーフィングを開く。地上に戻ってきたら、またトムがブリーフィングをやるんです。まさにプロデューサーです。彼は前作から36年の間に、最高の監督たちから学んできました。スピルバーグにスタンリー・キューブリック、シドニー・ポラック……素晴らしい監督ばかりです。彼はまるでスポンジのように知識を吸収し、それを活かす。だから『マーヴェリック』は素晴らしい出来なのです。

──どうして、トムはあんなにも映画作りに情熱的なのでしょうか。

映画作りを愛しているからです。観客のために映画を作ることが大好きだし、人々を楽しませることを考えているからです。彼は素晴らしいエンターテインナーであり、すごい俳優であり、プロデューサーです。望むことは何でもやる人です。気が利くし、スマートだし、献身的です。私が知る中で、一番のハードワーカーです。

──そして、トレーニングもアスリート並にやる。

はい。プロのアスリート並です。いつもトレーニングしています。

──普段これだけトレーニングしていますということを、彼はあまり見せないところも凄いですね。

プライベートを大切にする人ですからね。しかし、自分の全てを仕事に捧げています。

©︎ THE RIVER

──グースの息子ルースターが、まるで生写しのようにそっくりで驚きましたよ。

でしょう(笑)。

──演じたマイルズ・テラーは、コシンスキー監督と『オンリー・ザ・ブレイブ』(2017)で一度タッグを組んでいますね。マイルズ・テラー起用はどのような流れだったのでしょうか?

その通りで、彼はジョーの前の映画で一度仕事をしていました。パリでトムと会ったときに、マイルズの写真を第1作でアンソニー・エドワーズが演じた当時のグースの写真と並べたんです。そして、これは似ているぞと。トムがこれを気に入って、起用されたんです。

(C) 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.

──現在までに100%を本作に注がれたことは理解しております。それでは、今後さらなる続編や、スピンオフが制作される可能性はありますでしょうか?

本作次第です。そのことは後日話し合います。

──最後に、ようやく本作の公開を迎えられることに、どのようなお気持ちですか?

すごく興奮しています。とても時間がかかりましたから。(既に鑑賞した人からの)反応も素晴らしいです。アメリカでのプレミアでもすごく気に入ってもらえましたし、イギリスでもそうだし、カンヌでは6分のスタンディングオベーションが起きました。そして今夜は、日本でプレミアがあります。

あなたもそうですが、プレスの方と話すと、本当に皆さんに気に入っていただけたと実感しています。そのことに、とても満足しています。

──お時間になりました。本当にありがとうございました。

ありがとう。また会えて嬉しいですよ。

©︎ THE RIVER

映画『トップガン マーヴェリック』は2022年5月27日、日本公開。

『トップガン マーヴェリック』公式サイト

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