運動音痴でよく転ぶ小2の息子。運動能力を上げるにはどうすればいいの?
Q.小2の男の子です。以前から不器用・運動音痴でスキップや片足立ちが苦手で、よく転びます。今は運動会の練習でダンスを一生懸命、踊っていますが、ひとり居残り練習をしているくらい覚えが悪いようです。自転車はすぐ乗れるようになりました。縄跳びも練習したら何とか前跳び100回くらいはできます。運動能力アップのアドバイスをお願いします
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運動音痴な小2男子。運動能力アップのアドバイスをお願いします
Q.小2の男の子です。以前から不器用・運動音痴でスキップや片足立ちが苦手で、よく転びます。今は運動会の練習でダンスを一生懸命、踊っていますが、ひとり居残り練習をしているくらい覚えが悪いようです。自転車はすぐ乗れるようになりました。縄跳びも練習したら何とか前跳び100回くらいはできます。運動能力アップのアドバイスをお願いします(りんこ)
生まれついての運動音痴は、基本的にいないと思っています!
みなさんは、よく「運動神経が悪い」と言いますよね。でも、よく考えてください。人間の神経の図などを見ても「運動神経」というのはどこにも見当たらないのです。
子どもの発達を考える時に参考になるのは、上にある「スキャモンの発達・発育曲線」※です。
人間の成長においては、器官や機能は個別の発達をしていきます。このグラフは成長発育を20歳のレベルを100%と考えて作成されたものです。
「スキャモンの発達・発育曲線」によると、神経系統は生まれてから5歳頃までに80%の成長を遂げ、12歳頃にほぼ100%になります。相談者の息子さんは8歳ですよね。そう考えると、まだまだ神経系統が発達する時期といえそうです。
つまり運動が上手かどうかは、運動経験の積み重ねで決まるということなのです。特に幼児期において「運動するのは楽しい」「運動していろいろなことができるようになった」という経験が運動への積極性を育てていくのです。
では、運動の成功体験はどのように積み重ねていったらいいのでしょうか。それはスモールステップを踏んでいくことです。
運動の成功体験を積み重ねるスモールステップ!
「縄跳び」の場合
運動の成功体験のスモールステップについて、例をあげて紹介しましょう。
例えば、縄跳びは一番達成感を得やすい運動です。次のようなスモールステップを踏ませていきましょう。
1. 縄をうしろから前に持っていって、地面に開いた形で置きます。そのときに縄跳びは手から離さないようにします
2. 置いた縄を跳びます
3. 1.~2.を繰り返します
4. 縄を置く位置を徐々に足のそばに持っていきます
5. 連続で跳べるようになったら、2ステップでの跳び方を練習します
※2ステップとは、1回に対して足をトントンと2回跳ぶことです
6. 2ステップ跳びをリズムよく跳べるように練習を繰り返します
7. 次は1回旋1ステップ(1回の縄まわしに1回のステップ)をします
8. 身体の横で縄跳びの両方の持ち手を片手で持ち、クルクルまわします
9. 7でまわすのに合わせてジャンプします
10. 今度は、本格的な縄跳びです。1回まわすのに合わせて1回ジャンプをします
11. 連続でできるように練習します
上記のように、ていねいにステップを踏ませることで、どの子もができるようになります。
「跳び箱」の場合
跳び箱では、よく「助走を勢いよく」などと言って、跳び箱に向かって勢いよく走らせますが、これは大きな間違いです。たいてい勢いよく走ってきて、跳んだとたんに、手をブレーキにして跳び箱の上に乗ってしまうのがオチです。
跳び箱が跳べないのは、体重移動がうまくいかないからです。ですから跳び箱の上に乗った状態で、跳び箱の前をつかませ、腰を浮かせるようにして前に跳ぶようにするといいのです。そのとき、腰に手を当て少し押してあげるとうまくいきます。跳び箱の上での体重移動が、一番のポイントになるのです。
このように運動にはそれぞれ特性がありますので、その特性に合わせたスモールステップを用意してあげるといいのです。
【引用文献】
※「スキャモンの発達・発育曲線」
松尾保:新版小児保健医学、松尾保編、日本小児医事、出版社、東京、第5版、p10、1996より
【新刊】
新刊「子どものココロが見えるユーモア詩の世界-親・保育者・教師のための子ども理解ガイド-」(ぎょうせい、1980円)発売中。
増田修治先生
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。
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