
アパートの価値は主に2つの「ものさし」で決められる【連載:初めての不動産投資物語】
不動産には二つと同じものがないので、適正な価格がいくらなのか、判断することは簡単ではありません。アパートをはじめとする投資用不動産の価値は、主に「積算法」と「収益還元法」という二つの「ものさし」で計られます。
主に金融機関が担保価値を計る際に用いる「積算法」と物件の購入価格を決めるのに用いられる「収益還元法」とはどのようなものなのか。これを理解することで、「融資はいくらくらい受けられそうか」「いくらくらいで購入するのが適正か」を判断できるようになります。
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◆登場人物
・タテ吉さん
年齢:43歳
職業:アパートオーナー
年収:2500万円
プロフィール:大手食品メーカーに勤務するサラリーマンだったが、アパート投資に成功して脱サラ。現在はアパート10棟を保有し、悠々自適の毎日を送っている。</font>
・マガ男君
年齢:32歳
職業:大手食品メーカー勤務
年収:450万円
プロフィール:タテ吉さんの元後輩。会社の先行きにやや不安を感じており、不動産投資に関心を持っている。
いくらで買う? わかりにくいアパートの価格
マガ男:インターネットなどを利用して、いろいろな物件の情報を集めているんですけど、適正な価格を判断するのって難しいですね。
タテ吉:家電製品や自動車は同じものがいくつもあるが、不動産はどんなものも二つと同じものがない。個別に価格を判断しなくてはいけないから、いくらで買えば妥当なのかを決めるのが、非常に難しいんだ。
マガ男:でも、適正な価格で買えなければ、投資で成果を上げられないですよね。
タテ吉:その通り。価格設定が低すぎると買えないし、高値で買いすぎると、毎月のローン返済額がふくらんでしまい、家賃で返済するのが厳しくなってしまう。
マガ男:ヒントになるような考え方はないんですか?
タテ吉:実はアパートのような投資用不動産の価値を計る「ものさし」は2つある。1つは土地と建物の価値を足して算出する「積算法」と呼ばれるもの。もう1つはその物件から得られる家賃収入をもとに算出する「収益還元法」と呼ばれる計算方法だ。
金融機関が使う「積算法」とは?
マガ男:どうして計算方法が2つもあるんですか?
タテ吉:それぞれ使い方が違うからだよ。たとえば「積算法」は、主に金融機関が担保としての価値を計る際に使用する。
マガ男:具体的にはどのように計算するんでしょう?
タテ吉:積算法では土地の価格と建物の価格を別々に計算し、それぞれを合計して物件の価値を割り出す。たとえば土地の価格は以下のような計算式で算出できる。
「土地の価格=基準地価(公示価格や路線価)×土地の広さ」
マガ男:建物の価格はどうやって計算するんですか?
タテ吉:建物については、以下のような計算式が使われている。
「建物の価格=再調達価格×延床面積×残存耐用年数/法定耐用年数」
マガ男:うーん、なんだか難しそうですね……。「再調達価格」というのはなんですか?
タテ吉:「同じものをもう一度建てるとしたらいくらかかるか」というのが再調達価格だ。構造によって違い、たとえば木造なら延床面積の平米あたり12~15万円とされている。
マガ男:残存耐用年数というのは?
タテ吉:建物にはもともと法定耐用年数といって「何年くらい使用に耐えるのか」という基準が構造ごとに定められているんだ。あくまで法的な基準であって、実際にはもっと長持ちするのが普通だけど、たとえば木造なら22年、鉄骨なら34年、鉄筋コンクリート造なら47年となっている。残存耐用年数は法定耐用年数から築年数を差し引いた年数で、「あと何年使用に耐えるか」という法的な基準の年数のことだ。
購入価格を決めるときに利用する「収益還元法」とは?
マガ男:「収益還元法」というのはどのようなものですか?
タテ吉:家賃収入と利益率をもとに、物件の価格を計算する方法だよ。
マガ男:家賃収入はわかりますが、利益率というのはなんですか?
タテ吉:「投資した金額に対して、どれだけのリターンがあるのか」というのが利益率だ。アパート投資の場合には、年間の家賃収入を物件価格で割ることにより計算できる。
マガ男:たとえば2,000万円で購入したアパートで、年間200万円の家賃収入が得られたら、200万円/2,000万円=10%ということですね。
タテ吉:その通り。収益還元法ではそれとは逆に、利益率を想定して、「いくらで買えばその利益率になるのか」を計算する。計算式は以下の通りだ。
「物件価格=家賃収入(年間)/利益率」
マガ男:年間家賃収入200万円の物件で利回り12%を確保したい場合の計算は
「200万円/12%=1,667万円」 ということですね。
タテ吉:正解。つまり1,667万円で購入すれば、12%の利回りが確保できることになる。「どのくらいの利回りが欲しいのか」は人によって考え方が違うので、収益還元法を使えば、自分が望む利回りに合う価格を割り出すことができるんだ。
空室が多い物件は家賃を補正して計算してみる
マガ男:収益還元法で物件価格を計算する場合、月々の家賃収入が20万円あれば、年間では240万円として計算することになりますよね。でも空室が多いと、実際には年間の家賃収入がもっと下がってしまうと思うんですけど。
タテ吉:いいところに気がついたね。その場合には家賃を補正して計算してみると、実情に即した価格を算出することができるよ。空室が多いのであれば、設定している家賃が相場に比べて高すぎると考えるべきだ。現在の家賃が6万円だが、近隣の相場は5万円なら、家賃を同じ水準まで引き下げて計算すると、実情に合う価格を出すことができるよ。
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