
その街に合った"物語"を届ける。-WELCOMEグループ横川正紀
〜 WELCOMEグループ代表 横川正紀氏インタビュー連載② 〜
インテリア&ライフスタイルショップ「GEORGE’S(ジョージズ)」からスタートし、ライフエディトリアルストア「CIBONE(シボネ)」や食のセレクトショップ「DEAN&DELCA(ディーンアンドデルーカ)」、食とくらしのDIYを提案する「TODAY’S SPECIAL(トゥディズスペシャル)」などを経営し、様々な角度から多種多様なライフスタイルを提案するウエルカムグループ代表の横川氏に「暮らし」をテーマにインタビュー。短期集中連載として横川氏のライフスタイル論を掲載していきます。
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震災をきっかけに立ち上げたTODAY’S SPECIAL
一番最初は「ちょっとおしゃれなサザエさん」みたいなテーマでGEORGE’Sをスタートさせて、その後もう少し使い手をリードしていくようなお店をやりたいなと思ってCIBONEを立ち上げたんです。いろいろな実験的なものもやるし、青山という土地柄も考えて東京を代表するようなお店をという思いでした。
そこからカフェなどのコンテンツが広がる中で、より生活に近いところでもっと感度のあるもの食のお店をやりたいと考えてDEAN&DELCAを始めることになったんです。なんとなく自分の中で自分が住んでいる街の商店街というか一本の道に、こんなDEAN&DELCAみたいなグロッサリーがあって、こんなカフェがあって、こんなお花屋があって、こんな雑貨屋があって、こんな本屋があったら、その街に住むのがきっと楽しくなるだろうなっていう“店作りをしながら街づくりをしている”という感覚でそれぞれのブランドやお店を展開しています。
僕らはあまり何でもたくさんやりたいわけじゃなく、チェーン店のような同じものを何軒も作っていくっていう時代でもないし、自分らしさとか人との違いだったりが喜びに変わっていく時代だと思うんですよね。お店も多種多様であっていいし、その街に似合うお店とか、それぞれのコミュニティに似合うお店を作っていこうと思いブランドを育ててきています。
しかし2011年に震災があった時に、僕らがやっている付加価値とかある種の贅沢品みたいなものは本当に必要なんだろうかと一瞬自分でも疑ってしまったんです。その時、いろいろあたり前になっていたことを見直し、「自分たちにできることから」というメッセージを掲げて、全てあたえられるモノに頼るのではなくて、そこに自分自身も関わっていくコトとか人と人とのつながりをより意識するようになったんです。
普段からものを作ってる作り手と使い手の架け橋になろうということをずっとやってきた我々として、そんな新しい関わり方の提案をしたいなと。そんな中から「食と暮らしのDIY」というコンセプトをもとにTODAY’S SPECIALは生まれました。
もっと生活の中で皆さんが人やモノに関わること、例えば自家菜園までいかなくても小さなハーブを育てることで自分の料理を楽しくしてみたりだとか、たまにはルーじゃなくてスパイスからカレーを作ってみたりだとか。昔のおじいちゃんおばあちゃんは季節の野菜を保存食にしてみたり梅酒作ってみたりだとか、なんかそういうことってあったじゃないですか。そういうの無くなってきてますよね?
DIYっていうとなんとなく日曜大工みたいなイメージですけど、料理は立派なDIYだし、その料理をインスタントなもので作るんじゃなくて、手間をかけるというか、売っているものよりもしかしたら美味しく作れないこともあるかもしれないけど、「美味しい」ってそういうことだけじゃないよねっていうことだったり。たとえば何か贈り物をするときに、きれいなラッピングをしてくれるお店も素晴らしいのですけど、自分で包材を選んで、リボンで包んで、近くの公園の枝葉でも添えて手書きでメッセージカードを書いて贈ったりすると、中身がそんなに豪華なものじゃなくても、多分送られた側の人に気持ちが伝わりますよね。
僕ら家具屋が言うのも何なんですけど、使っていた椅子やテーブルを自分で好きな色に塗ってみるだとか、なんか本当に些細な事で生活は楽しくできますよね。日本の家はDIYしにくいところはたくさんあるんですけど、ガーデニングとか自分のやれる範囲で、生活を自分の手でっていうことは大切なことだと思います。
個性で編集する雰囲気作り
CIBONEもDEAN&DELCAもそうなんですけど、ブランドごとに人格を設定して、その人格に合わせて一つ一つ組み上げていったものが、僕らがやっているお店なんです。TODAY’S SPECIALが好きな方もいれば、GEORGE’Sみたいなファミリー感が好きな方もいて、CIBONEみたいな世界のものがギャラリーのように集まっていて凛としたものを見るのが好きな方もいて、色々だとは思うんですよ。
なので、きっかけでいいと思うんです。例えば、こんな洋服が好きだったとかこんなポストカードが好きだったとか、なんでもいいんですよ。お店だったら雰囲気。なんとなくこの雰囲気が好きだなっていう感覚で入ってみたら、そこには器があったり、そこに流れている音楽があったり、そこの店員さんが着てる洋服だったり、つけているエプロンだったり、そういうものの一つ一つを僕らはちゃんと血の通ったものでまとめているというか、個性で編集をしているんです。そういう雰囲気が好きな人にとっては、その器も好きだろうし、その音楽もきっと気にいるだろうし、自由が丘のTODAY’S SPECIALには3階にカフェレストランがあるんですけど、そこで食べるものや過ごす時間も気に入ってもらえるんじゃないかなっていう。
社内のキーワードとしては「感性の共鳴」という言葉を使っていますが、いいね!」ってお互いに思うことですね。僕らが提案したものに対してお客様がいいねって返してくれている。インスタグラムじゃないですけど言葉にしなくても心の声でという感じです。思ったところに人は集まるので。お客さんが集まってくれて、いいねっていうお互いの感性が響き合っている状態を常にお店の中で作れたらなと思っているんです。
お店の中にはもちろんポップもあるんですけど、あまりお値段とか機能とかスペックとか、もちろんお話の中では大切なことなのでご説明はさせていただきますけど、そこを強調しすぎないようにしています。もっとそのモノそのものを見て欲しいし、それでどんなことができるかが重要だと思っています。贈り物だったら相手がどう喜んでくれるかであったり。どこどこ産だとかいくらだとか、こんな新しい機能がついていますみたいな・・・家電ではないので(笑)。
感覚的なところでもっと見て欲しいし、そういうことが本質なんじゃないかなと思います。
その街に届けたい物語があります
青山っていう街は海外からもたくさんお客様がいらっしゃいますし、地方からもたくさん来られます。もちろん青山を地元としている方々もいらっしゃいますが、多方面から人が集まるのが青山という街。そういう意味である種特別な場所だと思います。逆に自由が丘には、その背景に住宅地も多く、青山に比べると日常的な生活感はあるし、成城や国立などになると、さらにその街の生活感があって、お店づくりに大きな違いが出てきます。
そういうことで言えば取扱商品もCIBONEでは扱えないけどTODAY’S SPECIALなら扱えるんじゃないかとか、TODAY’S SPECIALでは扱えないけどGEORGE’Sだったらわかってもらえるんじゃないかっていうパターンもありますね。お客様側も生活スタイルとか使える予算の範囲とか、そういうことにかける優先順位とか、それぞれに役割があると思っています。僕らはその街に合った物語を届けたいと思っています。
実際に奥さんはTODAY’S SPECIALが好きなんだけれど、旦那さんはCIBONEを気に入ってもらっていて、平日はCIBONEで買い物をされて、休日は家族でTODAY’S SPECIALに来られたりしている方もいらっしゃいますね。同じグループのお店だとか全然知らないで(笑)。
TODAY’S SPECIALの紙袋持ってDEAN&DELCAで買い物されたりDEAN&DELCAのトートバックをもってGEORGE’Sに来てくださったりだとか。やっぱり、お客様の層ってパスっと切れるもんじゃないし、ただなんとなくこのあたりにコアがあったりこのあたりが好きな人が集まっているとか仮定はするんですけど、またがっていたりするものだとも思っています。
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横川さんのライフスタイル論の連載も今回で第2回目。実際に店舗に伺ってみると、その街のコミュニティに合ったお店づくりをされていて、そのお店自体もコミュニティを作り出しているという感覚を受けます。その街に本当に必要なもの、必要なコト、そんな地域に密着した取り組みは本当に勉強になります。我々もリミアを通じて、皆様に本当の意味で必要な情報を多く発信していけるよう努力していきたいと思います。
Photo:木下誠
TEXT&一部Photo:小久保直宣(LIMIA編集部)
●取材協力
WELCOMEグループ
横川氏のインタビュー連載①はこちら
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TODAY'S SPECIALの記事はこちら
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