【ヤマボウシ】の育て方を徹底解説!鉢植え・種まき・水やり・実の正体
6〜7月に白い花を咲かせる「ヤマボウシ」。育てたいという人が多く人気の植物です。今回は、ヤマボウシの育て方を詳しく解説します。庭はもちろん、鉢植えでの育て方、種まきや水やりの方法などを知りたい方必見ですよ! さらに、「赤い実は食べれるの?」といった疑問も解説。ぜひ参考にしてくださいね♪
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ヤマボウシとはどんな木?
中国、朝鮮半島、日本が原産地の、樹高10~15mになるミズキ科の落葉樹です。日本では、北海道を除く全土に自生しています。
開花期は6~7月ごろであり、緑色の葉に白い4弁の花が美しく、梅雨どきの花木として愛でられています。花びらのようにみえるものは花弁ではなく、総苞片と呼ばれる花の付け根の葉のようなものです。花弁ではないため、観賞期間が長いのが特徴です。
樹形も自然に美しく整うため、公園木や街路樹としてもよく利用されています。近年では、庭のシンボルツリーとしても人気があります。
いろいろあるヤマボウシの品種
ここでは、総苞片を便宜上「花」と呼びますが、花の形には違いがあり、幅が広く丸みを帯びた「丸弁」のもの、幅が狭く尖った印象のある「剣弁」などがあります。東北地方など、北の方で自生しているヤマボウシの花は丸弁のものが多く、関東以南に自生するヤマボウシの花は剣弁のものが多いようです。
現在ではいくつも園芸品種が出ており、矮性のもの、花の色も紅色やクリームホワイトのものなどがあります。近年では、常緑のヤマボウシも導入されています。
以下に、いくつか見てみましょう。
・ミルキーウェイ:大輪の白花。
・ロングデイズ:白花。矮性で樹高約80cmから花が咲きます。100日間も花が咲いていることから「百日咲」ともいわれます。
・ホワイトミヌマ:白花で珍しい6弁花。樹高約1mから花が咲きます。
・ホワイトミソノ:花径14cmの超大輪の白花。樹高約1mから花が咲きます。
・ウルフアイ:花と葉に斑が入ります。
・アオヤマボウシ:小さめの緑色を帯びた花。
・サトミ:丸弁の紅花。赤い色を強く出すためには日光が必要です。
・紅富士:剣弁の紅花。赤い色を強く出すためには日光が必要です。
・源平:若いうちは白花が多いですが、成長とともに、白色と紅色の花が混ざります。
・シダレヤマボウシ:白花。枝が垂れ下がる種類なので、花を間近に見ることができます。
・ホンコンエンシス:白花で常緑品種。寒さにやや弱いです。
ヤマボウシの苗木の植え方
ヤマボウシを育てたい場合、種から育てることも可能ですが、苗木を購入して植えるのが一般的です。植え付けには、12~3月が適しているとされていますが、寒さの厳しいときは避けたほうがよいでしょう。
庭へ植える場合
庭に植える場合には、日当たりが良く、乾燥気味の場所を選んでください。ヤマボウシは日光を好みますが、強い西日は当たらないほうがよいでしょう。大きく育てられるように、スペースに余裕のある場所が適しています。水はけがよくない土地では、以下にご紹介するように「高植え」にするとよいでしょう。
1. 苗木の根鉢の1.5~2倍の大きさの穴を掘ります。水はけが悪い場合には、大きめの穴にします。
2. 穴の底に、軽石などの水はけを促進するものをいれ、その上に、堆肥と緩効性化成肥料を掘りあげた土に混ぜ込んだものを、掘った穴の7割くらいまでいれます。樹木専用の用土を掘りあげた土に混ぜたものを用いてもよいでしょう。
3. 中心を少しくぼませて、苗木の根鉢をおきます。
4. 穴に水をたっぷり入れます。苗木をぐらぐら動かして、水が土の中にしみわたるようにしましょう。
5. 水が土にしみこんだら、根鉢を土で埋めます。埋め終わったらさらに、植穴と同じ大きさの輪になった壁を作るように、土をぐるりと盛り上げます。
6. 水をもう一度たっぷり与えます。輪になった壁があるので、水が流れ出ないはずです。こうすると、水がひいたときに根と土が密着するのを促すことができます。
鉢植えにする場合
用土は水はけのよいものを用意しましょう。自分で調整するのならば、赤玉土(小粒)と腐葉土が6:4、あるいは7:3くらいがよいでしょう。
1. 鉢の底に、鉢底ネットを敷き、鉢底石を入れてならします。
2. 苗木をポットから抜いたら、根鉢のまわりを少しだけ崩し、鉢に入れます。根鉢を崩すときに、根を傷つけないように気をつけてください。
3. 用土をまわりにいれ、根鉢を覆います。土の表面から鉢の縁まで、鉢の高さの1割くらいは空いているように調節しましょう。水を与えるときのスペースとして必要です。
4. たっぷりと水を与えます。
ヤマボウシの水やりはどうする?
➢ 庭に植えた場合
ヤマボウシは乾燥を好むので、基本的には水やりは必要ありません。もし、夏季に晴天続きで極度に乾燥するようでしたら、涼しい時間に水やりをしてください。
冬季はヤマボウシも休んでいるので、乾いていても水やりは必要ありません。
➢ 鉢植えの場合
春と秋には、鉢の土が乾いたらたっぷりと水を与えます。梅雨の時期は湿度が高いので、水やりは控えたほうがよいでしょう。葉が落ちた冬季も、水やりはほとんど必要ありません。鉢土を乾燥気味に保つようにしましょう。
ヤマボウシに肥料は与える?
➢ 庭に植えた場合
落葉の時期に油かすと骨粉を等量ずつ混ぜたものを施してください。
➢ 鉢植えの場合
花が終わったころと、葉が紅葉する時期に、化成肥料を施します。加えて、落葉の時期に油かすと骨粉を等量ずつ混ぜたものを施すとよいでしょう。
ヤマボウシを種から育てたい場合には?
種まきをしたい場合には、熟した赤い実の果肉の中から種を取り出し、すぐに土にまきます。あるいは、水で湿らせた砂と一緒に真空パックの入れ物などに入れて冷蔵庫内で保存し、春にまきます。いずれの場合も、種が乾燥してしまうと発芽率が下がってしまいますので、種が乾かないようによく気をつける必要があります。
種をまいたら、発芽までは水を十分に与えるようにしましょう。
発芽して、本葉が数枚つくくらいになったら掘りあげ、植えつける前にまっすぐに伸びている根の先を少し切り落としましょう。そうすると、細かな根がたくさん出てきて、丈夫な木に育ちます。
種をまいてから花が咲くようになるまでには、7~8年かかると考えておきましょう。
ヤマボウシはウドンコ病に注意!
ヤマボウシは手入れが簡単なことでも有名ですが、ウドンコ病にかかることがあります。過湿気味の土地では、梅雨時に発生しやすい病気です。
手がかからない木だからと放っておかず、ときどきは木の様子を見てあげるようにしましょう。特に、葉の色合いに注意してください。ヤマボウシの葉は通常は美しい濃い緑色をしていますが、白っぽい粉がかかったようになることがあります。葉に白い点がついていたら、ウドンコ病の初期かもしれません。
初期で見つけられた場合、発症した葉だけを取り除くとウドンコ病の広がりを抑えられます。すでにウドンコ病が広まってしまっているなら、ウドンコ病に対応した殺虫剤が有効です。ウドンコ病に感染した年に収穫した実は食用として利用するのは避けることをおすすめします。
ヤマボウシの剪定
ヤマボウシは自然にまかせて育てても、あまり樹形が乱れないので、剪定をする必要がない場合も多いでしょう。ただし、枯れた枝や株元から伸びてきた枝は取り除いてくださいね。
スペースの関係上、コンパクトに育てたい場合や、鉢植えの場合には、きちんとした剪定が必要になります。
剪定は、葉が落ちてしまっている12~2月くらいに行いましょう。枝が混みすぎた場合には、花が終わった頃に軽く剪定することが可能です。
樹高を抑えたい場合には、目的の高さで木を切ります。切る場所は、1か所から数本の枝が伸びている車枝と呼ばれるところのすぐ上です。混みあっているところの不要な枝を除く場合も、枝分かれしているところのすぐ上を切るようにしてください。剪定した後は、雑菌が入らないように、癒合剤を切り口に塗っておきましょう。
ヤマボウシの実は食べられる?
ヤマボウシは、赤く丸い実をつけます。食べるなんて考えもしない人がいるかもしれませんが、生でもちゃんと食べられます。ビッグアップルという食用に特化した果実の大きい品種が作出されているくらいです。
実を半分に切って、スプーンですくって食べるとよいでしょう。バナナやマンゴー、黄桃などを思わせる甘い実です。清楚な花のイメージとは違った、ちょっと南国系の味。よい香りもしますよ。冷凍して、シャーベットのように食べるのもOKです。
ビッグアップルも育て方は他のヤマボウシと同じです。実が気に入ったのなら、ビッグアップルを育てるのもいいですね。
ヤマボウシのドライフルーツの作り方
ヤマボウシの実を半分に切って、種を出します。大きい実の場合には薄くスライスしておきましょう。ざるに並べて、風通しの良いところで天日干しすればできあがりです。干し網ネットを使うと、鳥や虫の心配をする必要はないでしょう。
1日で表面が乾いた状態になります。さらに乾燥させたい場合でも、夜の間は家の中へ取り込みましょう。天気に恵まれない場合には、扇風機を使う手があります。
できあがったドライフルーツは、乾燥剤を入れた清潔な密閉容器に入れておいてください。半乾燥の場合には、早めに食べることをおすすめします。
ヤマボウシの実のジャムの作り方
ジャムには、熟して落ちるくらいの完熟の実を使います。ヤマボウシの実と砂糖の割合は3:1~3:2くらいで作るとよいでしょう。
1. 実をつぶさないように水の中でよく洗い、皮のぶつぶつした部分を取り除きましょう。
2. 鍋に実を入れ、軽くつぶします。砂糖をまぶして混ぜ合わせ、30~60分間そのまま置いておきましょう。
3. 実の入った鍋を中火にかけ、沸騰したら火を止めます。ざるで果肉をこして、皮や種をのぞきます。ざらざら感が気になる人は、目の細かいざるで再度こすとよいでしょう。
4. こしたものを再び鍋に戻して中火にかけます。木べらで丁寧に鍋底から混ぜます。好みのとろみ具合になったら、レモン汁を加えてできあがりです。
レモン汁は味を引き締めるために欠かせませんので、忘れずに用意しておいてください。
ヤマボウシの果実酒の作り方
1. 実を水洗いして汚れを落とします。その際に、皮のぶつぶつした部分を取り除いておくと、見た目がよくなります。
2. ペーパータオルなどで水気を拭き取ったのちに、容器に入れます。
3. 実の3倍量のホワイトリカーと、ホワイトリカー1リットルに対して100gの氷砂糖、レモン少々を加え、冷暗所に置きます。
4. 2~3か月後に実を取り出しましょう。さらに6~12か月置いておくとできあがりです。
まとめ
ヤマボウシは、古風な名前に似つかわしい清楚な花がすてきな木です。花が長く楽しめるのも魅力的でしょう。自然樹形がきれいで、それほど手をかける必要がなく育てやすいので、シンボルツリーとして人気があるのも頷けます。ただし、環境になじむまでに時間がかかることがあるので、植えてもなかなか花が咲かないこともあります。そのような時には、気長に待つようにしてみてください。
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