かわいい花が咲く!料理にも使える!丈夫なハーブ「タイム」の育て方
タイムといえば、フランス料理で使われる、ブーケガルニを連想する人も多いのでは。優れた殺菌作用のあるタイムは、古くから料理や生活のさまざまな場で活用されてきました。育てやすく丈夫で、可憐な花も楽しめます。庭先やプランターで育てた自家製タイムを、日々の生活の中に取り入れてみませんか?
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タイムってどんなハーブ?
タイムはシソ科の常緑低木で、草丈が15~30cm程の多年草です。タチジャコウソウという和名もあります。原産地はヨーロッパ、北アフリカ、アジアで、その種類は300~400種類にものぼると言われています。
とても丈夫な植物で、冬に枯れても春には新たに芽吹くことから、「活発」「行動力」といった花言葉がつけられています。
タイムの殺菌作用は古くから知られていて、古代エジプトでは、タイムはミイラの防腐剤として使われていました。古代ギリシャ・ローマでは、タイムは勇気や気品の象徴とされ、また中世では、疫病から身を守るために、タイムを入れたブーケが作られ、持ち歩かれたそうです。
ガーデニングにも人気なので、園芸店でも手に入れやすく、店舗によっては4~5種類くらい置かれていることもあります。葉を収穫して料理などに用いるだけではなく、春から夏にかけては白~紫の可憐な花も楽しめます。
タイムの葉は食用として、料理やハーブティーに使うことができます。ヨーロッパでは、肉や魚の臭み消しや風味付けによく利用されます。生のままでも、ドライでも使うことができます。煮込み料理などの時に用いるハーブの束、ブーケガルニにも、タイムが含まれることがよくあります。
また、タイムは生活の中で香りを楽しむハーブとしても人気があります。スパイシーでさわやかな香りは、アロマやポプリなどで広く親しまれています。
タイムには上に伸びる「木立性」と、這うように生育する「ほふく性」があります。よく料理に用いられるのは木立性の「コモンタイム」ですが、花を楽しむなら、カーペットのように地面を覆う、ほふく性の「クリーピングタイム」、香りを楽しむなら、木立性の「マスチックタイム」など、自分の求める用途に適しているかを確認してから購入するといいでしょう。
タイムは食用にも、香りを楽しむにも、また花を楽しむのにも使える、まさにオールマイティーなハーブと言えます。また、育てるのも簡単で手間もかかりません。長年育てていくと立派な木に生長していきます。ひとつの株を長年育てていける多年草ハーブとして、一年草とは違った楽しみ方があります。
丈夫で初心者でも育てやすい
タイムは、少しくらい放っておいても育ってくれる、とても強いハーブです。ただし、湿度には弱いので、水やりは控え目にするのがポイントです。
➢ 初めてタイムを育てるなら種から?苗から?
タイムは種からも育てることができますが、初めて育てるなら苗を購入する方が、すぐに収穫してタイムを楽しむことができるため、手軽でおすすめです。
➢ タイムが育ちやすい用土
タイムは水はけの良い土を好みます。鉢植えなら一般的なハーブ用の土を使うと便利です。タイムは酸性の土壌を嫌うため、地植えの場合は、苦土石灰などで土壌を調整してから植え付けます。植え付けに適切な時期は、4月~6月、または9月後半頃です。
苗を植え付ける時は、鉢植えなら底に鉢底石を敷き詰め、土を数cm入れてから苗を置き、やさしく土をかぶせていきます。鉢を叩いたり揺すったりして、土をしっかり詰めていきましょう。プランターで複数の苗を植えるなら、20cmくらい間隔を空けます。
また、地植えをする場合は、土を15cmほど盛り上げた高畝をつくってから植え付けます。複数の苗を植えるなら、20cm以上離せば大丈夫です。
➢ 日当たりで注意すること
丈夫な性質のため、明るい日陰でも育てられますが、日当たりが良い方が活発に成長します。あまり手をかけなくても大きくなりますが、高温多湿は苦手です。夏場はなるべく風通しの良い場所で管理し、梅雨時期は軒下に移動させておくと安心です。
➢ 地植えでも冬越しはできる?
寒さにも強いため、関東より南の地方なら特に対策をしなくても冬越しできます。降雪が多い地方では茎や葉が枯れますが、春には新しい芽が出てきます。防寒対策として鉢を軒下や室内に取り入れて育てるといいでしょう。
➢ 水やりは控えめに
湿気に弱いため、水をあげすぎないように注意しましょう。表面の土が乾いたらたっぷり水やりをします。冬場は成長もゆっくりになり、水をあまり必要としないことから、表面が乾いてさらに数日経ってから水やりをするくらいでも十分です。
➢ 肥料はどのくらい必要?
植え付けの際に緩効性の粒状の肥料を与えるくらいで、追肥はいりません。生育が遅いと感じる場合は、4~7月、9~11月に液体肥料や固形肥料を与えましょう。適切な量の肥料は、タイムの葉の色艶をよくし、順調な生育を促しますが、過剰な量の肥料は、枯れたり香りが薄くなったりする原因になります。
➢ 害虫がつくのはまれ
タイムは害虫がほとんどつかないため、あまり気にしなくても育てられます。
➢ 春から夏にかわいい花をつける
タイムは春から夏にかけて白やピンクの小さな花をたくさん咲かせます。花はとてもかわいらしいのですが、花が咲くと葉の香りが弱くなるため、香りの良いポプリやドライハーブを作りたいのなら、収穫は開花の前にしておくといいでしょう。
➢ 鉢植えなら植え替えも
成長が早いため、1年に1回、春か秋に植え替えをします。鉢底から根が出てきたり、水はけが悪くなってきたりしたら、既に根詰まりを起こしています。なるべく早く植え替えをしてあげましょう。
植え替えは一回り大きな鉢にします。何度も植え替えするのが面倒だからといって大きすぎる鉢に植えると、鉢の中がなかなか乾燥せず、湿った状態が続いて根腐れを起こしてしまいます。
タイムの増やし方&収穫し過ぎたら?
タイムは簡単に増やせるので、もっと株が欲しくなったら自分で増やしてみましょう。方法としては、実生、挿し木、圧条法、株分けがあります。それぞれの方法の特徴と注意事項をご説明します。
➢ 種から育てる実生
花が咲いた後に種を収穫して、春か秋に蒔きます。種が発芽するには光が必要なため、蒔いた後は土をかけずに、水やりをします。本葉が3~4枚くらいになったところで間引きをして、さらに草丈が5cnくらいになったら植え替えます。
➢ 挿し木
まだ緑色の若い枝で先に蕾がなく、木質化していないものを10㎝ほど切り取ります。切り口を斜めにカットして、吸水できる面積を大きくしてから、下の方の葉を取り除き、1~2時間ほど水あげします。その後、新しい土に挿して、しっかり根がつくまでは半日蔭で水を切らさないように管理します。根が出て新しい芽が出てきたら、挿し木の成功です。
➢ 圧条法
長く伸びた枝を折り曲げて、土に触れさせることで根を出させる方法です。地面に触れる部分は針金などでしっかり固定して、土をかけておきます。1~2か月して根が出てきたら、親株から枝を切り分けて植え替えます。圧条法をしたつもりがなくても、たまたま枝が土についてそこから根が出ているということもあります。
➢ 株分け
株を掘り起こして、枯れた根や古い土を取り除きます。茎と根のバランスを見ながら、根をほぐして分けていきます。分けた株は新しい土に植え替えます。なお、植え替えのときに株分けも同時にやると、株への負担が少なくなります。
このように、タイムを増やすのにはいくつかの方法があるので、いろいろ試してみて、自分が得意な方法を見つけてみましょう。
タイムを大量に収穫したら、ドライハーブにして保存するのがおすすめです。ドライハーブにすれば、料理やハーブティー、ポプリにいつでも使えます。作り方は、切ったタイムを逆さまに吊るして、数日間乾燥させるだけ。もし乾燥が足りない場合は、電子レンジで数秒加熱して、茎がポキポキ折れるくらい完全に乾燥させれば出来上がり。密閉容器に入れて保存します。
タイムに含まれるチモールとオイゲノールって何?
タイムにはチモールとオイゲノールとい強い殺菌成分が含まれています。このことは古くからよく知られていて、古代エジプトでも、タイムはミイラの防腐剤として使われていました。現在でも、タイムは保存食に使われたり、精油が生活の中で防腐剤や殺菌剤として活用されたりしています。
タイムには利尿作用の他、消化器系の働きを良くしたり、気管支炎を緩和したりといった効果もあります。またタイムの香りはストレスを軽減して、集中力を高めてくれるとも言われています。
自家製ブーケガルニに挑戦!
いくつかハーブを育てているなら、自家製ブーケガルニを作ってみませんか? 市販のものにはタイム、ローリエ、ローズマリー、バジル、パセリ、セロリなどが使われますが、自宅で育てたハーブやありあわせの香味野菜でアレンジしてもOKです。
➢ 自家製ブーケガルニ
材料:好みのフレッシュハーブや香味野菜(タイム、ローリエ、パセリ、ローズマリーなど) タコ糸
1. フレッシュハーブは軽く水洗いして汚れを落とし、水気を切る
2. 一つの束にまとめて、タコ糸で縛る
細かなハーブやドライハーブを使うなら、お茶用パックやだし用パックに入れると便利です。
タイムが味のアクセントに!おすすめレシピ
自分でタイムを育てたら、ぜひ日々の料理に使ってみましょう。タイムが味のアクセントになって、いつもの料理がぐっと新鮮に、おいしく感じられるはずです。また、香りが格別なフレッシュハーブのタイムティーも、自分で育てているからこそ味わえるもの。
今回は、タイムの香りが食欲をそそる鱈のソテーと、おいしくてリラックス効果もあるタイムティーの作り方をご紹介します。
➢ タイムが香る鱈のソテー
材料(2人分):鱈の切り身2切れ 塩適量 コショウ適量 小麦粉大さじ4 オリーブオイル適量 にんにく1片 タイム20g レモン1個
1. 鱈は軽く水洗いしてペーパータオルで水気を拭きとり、塩とコショウをふっておく
2. 1の鱈の両面に小麦粉をまぶす
3. フライパンにオリーブオイルを入れる。オリーブオイルが冷たいうちに薄切りにしたにんにくを入れ、きつね色になるまで熱する
4. にんにくの色が変わったら、オリーブオイルの中にタイムを入れて、オリーブオイルに香りを移していく
5. タイムがさくさくの素揚げになったら、にんにくとタイムを取り出し、ペーパータオルにのせる
6. 5のフライパンに鱈を入れて蓋をする。中火で焼き、身の半分まで白く火が通ったら裏返して、さらに蓋をして蒸し焼きにする。鱈は焼き過ぎると硬くなるので注意する
7. 両面が焼けたら、皿に盛りつけて、5のにんにくとタイムをのせる
8. 最後に薄切りにしたレモンを添える
➢ タイムティー
1. タイムは軽く洗って汚れを落とし、水気を切る
2. ティーポットにタイムを入れて、沸かした湯を注ぐ
3. そのまましばらくおいて、好みの濃さになったらカップに注ぐ
タイムだけでもおいしいハーブティーが淹れられますが、ミントやレモンバームなどを加えても、香りに深みが増します。いろいろ試してみて、好みのブレンドを見つけてみましょう。
見た目も味も本格的なフレンチですが、実はとっても簡単なレシピです。タイムとにんにくの香りをオイルに移しておくことで、素材にしっかり風味が残ります。この方法は他のハーブを使う際にも応用できます。
タイムには血圧上昇効果があるため、高血圧で治療をしている人は主治医に相談してみましょう。また、タイムには子宮を収縮させる働きもあるので、妊娠中の人は使用を避けた方がいいでしょう。
自家製タイムを生活の中に取り入れて
簡単に育てられ、かわいい花も楽しめるタイムは、香辛料やポプリとしても使えるオールマイティーなハーブです。殺菌効果やリラックス効果など、日常生活で役立つ効果もたくさんあるので、自宅で育てて、もっと身近に活用していきたいですね。
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