冬に花を咲かせるシクラメン!知っておきたい育て方や増やし方、花言葉
花鉢として人気が高いシクラメン。寒くなると、園芸店などで見かけることが多くなりますよね。さまざまな品種が流通していますが、育て方には少しコツが必要。上手に育てれば、長い期間美しい花を楽しめます。ここでは、シクラメンを長持ちさせる育て方のコツについて詳しくお伝えします。
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シクラメンってどんな植物?
シクラメンは、北アフリカ~中近東、ヨーロッパの地中海沿岸地域を原産地とする植物です。日本では、秋から春にかけて花を咲かせるため、冬の花のイメージが強い人も多いかもしれません。
原産国のシクラメンは、涼しい雨季に花を咲かせますが、その雨季が日本の冬に当たります。日本とは気候がかなり異なる地域で自生するため、温度管理には注意が必要です。
どんな種類がある?
シクラメンの特徴といえば、なんといってもその印象的な花にあります。赤やピンク、白、黄色、紫など単色のもの以外にも、2色以上の色を持った品種も見られます。
色だけでなく形もさまざまで、花びらがまっすぐのものもあれば、ゆるやかなウェーブを描いたもの、ウェーブが強い「ロココ咲き」など実に多彩。シクラメンは品種改良がさかんに行われている植物で、ミニサイズの品種や耐寒性に優れたガーデン用のシクラメンもあります。
元気なシクラメンを選ぶ6つのポイント
せっかく育てるなら、できるだけ長く楽しみたいですよね。そのためには、購入時に丈夫な株を選ぶことが大切です。シクラメンを購入するときは、以下のポイントに注意しましょう。
葉の数が多いもの
シクラメンの花の数は、葉の枚数に比例します。葉の数が多い株を選べば、たくさんの花を楽しめるでしょう。
株が締まっていて、花の茎がしっかりしているもの
株が健康でないとキレイな花は咲きません。株元や茎がグラグラしていないかを確かめましょう。
初心者は、水やりの管理がラクな底面給水の鉢を
シクラメンの水やりにはコツが必要です。植物を育てるのに慣れていない場合は、水やりがラクな底面給水の鉢がおすすめです。
葉が傷ついておらず、色ツヤがいいもの
葉の状態は株の健康度を反映します。葉に傷がついていないか、ピンとしたハリやツヤがあるかをチェックしましょう。
花にシミや傷がないもの
花びらにシミがないか、変色したり傷んだりしていないかの確認も大切なポイント。花の高さがきれいにそろっている株がおすすめです。
購入時期は11月下旬以降の霜が降りてから
株の品質が安定するため、シクラメンの購入は11月下旬以降、霜が降りてからの時期が理想的です。
シクラメンの育て方
水やりのコツ
シクラメンの水やりには少しコツが必要です。基本的には、土の表面が乾いてから、鉢底からあふれるくらいに水をたっぷり与えます。
ただし、シクラメンの上からジャバジャバと水をかけるのはNG。花や葉に水がかかると、傷が付くおそれがあります。
葉を手でやさしくよけて、先の細いジョウロで土に水を与えましょう。その際、球根の頂部に水がたまると腐りやすくなるので注意してください。
初心者におすすめなのが、底面給水鉢のシクラメン。水やりがとてもラクになります。
底面給水鉢とは、受け皿部分に水を入れておけば、スポンジのようなものが水を吸い上げてくれる鉢のこと。上から水やりをする必要はなく、受け皿に水がなくなったら水を足せばOK。初心者におすすめの方法です。
ただし、底面給水鉢の場合も、月に1度は底の受け皿を外して土にたっぷり水を与えてください。土の中にたまった老廃物を洗い流すことができますよ。
肥料は必要?
その年の9月~翌年5月までの期間、週に1回のペースで液体肥料を与えます。底面給水鉢で育てている場合は、液体肥料を薄めたものを鉢底の受け皿に入れましょう。
夏に休眠させている期間は肥料を与える必要はありません。
置き場所はどこがいい?
きれいな花を咲かせるためには、日当たりが必要です。かといって、温度が高い場所や霜が降りる場所ではうまく育ちません。12月~翌年3月までの寒い時期は、よく日が当たる窓辺で管理しましょう。
暑さに弱いので、暖房には注意が必要。5度以上15度以下が適温です。15度を上回るとぐったりしてしまいます。
暖房がきいた日当たりのよい部屋に置くよりは、玄関や廊下のほうが居心地はいいかもしれません。ただし、5度以下にならないように注意します。
3月になったら、日中は日当たりのいい屋外で、雨に当たらないように管理してくださいね。
失敗しない!シクラメンを育てる3つのポイント
シクラメンの枯れた花はこまめに取り除こう
花が枯れてきたらそのまま放置せず、花茎の根元から摘み取りましょう。葉が黄色く枯れた場合も同様に、根元から摘み取ります。
園芸用のハサミを使って切ると、切り口に雑菌が入って腐ってしまうことがあります。手で根元をつまんでねじり取りましょう。
シクラメンは月に一度「葉組み」をしよう
育てているうちに、だんだん株の中心の葉が大きくなり、込み入ってきます。そうなると、つぼみが葉の下に隠れてしまい、日が当たらずにそのまま枯れてしまうことも。
中心にある葉を外に引っ張って位置を組み変え、株の中心部分にスペースをつくりましょう。株によく日が当たるようになって、きれいな花を咲かせてくれます。
この作業を「葉組み」といいます。月に1度のペースで行いましょう。
シクラメンの夏越しに注意しよう
シクラメンを育てるうえで気を付けたいのが「夏越し」の方法。冬はきれいな花を咲かせますが、夏の暑さには弱いため、5月頃に葉を枯らして休眠に入ることが多くなります。
原産地では、雨季に開花して乾季に休眠するシクラメン。日本の夏を乾季と考えて休眠してしまうのですが、実際のところ日本の夏はジメジメしていて湿気が高く、乾季とはいえないもの。夏越しの難しさはここにあります。
シクラメンを夏越しさせる方法は「休眠法」と「非休眠法」の2通り。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分に合った方法を選びましょう。
シクラメンを夏越しさせる2つの方法
「休眠法」で夏越しさせる
初心者におすすめなのは、シクラメンを休眠させて夏越しさせる方法です。休眠させる分、開花の時期は短くなりますが、夏越しの成功率は高くなります。
春になるとだんだん花の数が少なくなってきますが、それは気温が高くなってきたことをシクラメンが察知して、休眠の準備を始めているサイン。水の吸い上げも鈍くなってくるので、水やりをする回数が減っていきます。
6月になると花がなくなって、葉も枯れてしまいます。枯れた葉は根元からむしってちぎり取りましょう。そのままにしておくと、カビが発生する原因になります。
6月以降は水やりを完全にストップして、風通しのよい涼しい場所に置いておきます。特に日に当てる必要はありません。
9月に入ったら、球根を触ってみましょう。ブヨブヨせず硬い感触なら夏越し成功です。9月中旬までにひと回り大きな鉢に植え替えてください。
「非休眠法」で夏越しさせる方法
シクラメンを休眠させずに夏越しさせる方法もあります。休眠法よりは手間がかかりますが、休眠しない分開花の時期が長くなります。
おすすめは、夏越しする前に植え替えてリフレッシュさせる方法。ストレスが多い夏を迎える前にひと回り大きな鉢に植え替えておくといいですよ。もし枯れた葉があれば、根元からむしり取りましょう。
5月~6月の花が終わりかけの頃に植え替え、雨が当たらない半日陰の涼しい場所で管理します。水やりは10日~2週間に1回くらいのペースでOK。球根の頂部に水がたまらないように気を付けましょう。
底面給水鉢は腐りやすくなるので、夏の間は水受けを外して管理してください。もし外れない場合は、皿に水がたまらないよう注意します。無事に夏越しできたら、休眠株と同じく9月中旬までに植え替えましょう。
休眠法と非休眠法のどちらにおいても、植え替え後は通常通り管理します。
シクラメンの植え替え方
どのような方法で夏越ししたかによって、シクラメンの植え替え方は異なります。
夏の間休眠させた場合
古い土をすべて落とし、根を半分くらいバッサリ切って、ひと回り大きな鉢に植え替えましょう。用土は、シクラメン用の土や草花用の培養土を使うのが手軽で便利です。ホームセンターや通販でも手に入ります。
植え付けるときは、球根の頂部が埋まらないようにするのがポイント。深く植え付けると株元から腐ってしまうことがあるので注意しましょう。
夏の間休眠させなかった場合
株についた土を軽く落として、ひと回り大きな鉢に植え替えます。休眠株と同様に、球根の頂部が埋まらないよう浅く植えましょう。
シクラメンの増やし方
シクラメンの球根は、子球をつくって増えるわけではありません。そのため、子球を分けて増やすことはできませんが、種で増やすことは可能です。
種で増やす場合は、シクラメンを2株用意して人工授粉を行い、それによってできた実から種を採取します。風通しのよい場所で種を乾燥させた後、冷蔵庫の野菜室などで保管してください。
種まきの適期は11月~12月です。ただし、小輪種のミニシクラメンは12月~翌年2月にまきましょう。
種をまいた鉢を新聞紙で覆い、日の当たらない暖かい場所で管理します。土の表面が乾いてきたら、霧吹きで水を与えてください。発芽までには30日~45日程度かかります。
発芽後は新聞紙を取り除き、日当たりのよい窓辺に移動させましょう。5月~6月になって本葉が10枚そろったら、新しい鉢に植え替えます。植え替えてすぐは明るい日陰で管理して、2週間後に日当たりのよい場所に移してくださいね。
切り花でシクラメンを楽しむ方法も
鉢植えの印象が強いシクラメンですが、切り花として楽しむこともできます。開花してそれほど経っていない花を選び、根元から抜き取りましょう。ハサミを使って茎の下端を1cm~2cmほどカットしてから、水に挿してください。
2日おきくらいに水を変えれば、1週間~10日程度美しい花を楽しむことができるでしょう。
シクラメンの花言葉は?
シクラメン全体の花言葉は、「内気」「はにかみ」「遠慮」「嫉妬」など。控えめな印象の言葉が多いようです。花の色によっても花言葉が異なります。
花言葉ではありませんが、シクラメンを贈るときには注意が必要。シクラメンという言葉の響きが「死(シ)」や「苦(ク)」を連想させるとして、お見舞いには避けたほうがいいといわれています。
冬を彩るシクラメンを育ててみよう!
シクラメンは、冬に花を咲かせる日本では珍しい植物です。水やりにはコツが必要ですが、底面給水鉢を選べば問題ないでしょう。
一度育てると、その花の美しさに魅了される人も多い植物です。育て方のポイントをおさえて、可憐な花を咲かせる姿を楽しんでくださいね。
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