幸せを呼ぶ観葉植物「ナギ」とは?意外に簡単な育て方・枯らさない方法を解説

日本で古くから愛されている針葉樹の「ナギ」(梛・椥・竹柏)。神社の境内で見かけることが多く、聖なる木として親しまれています。さらに、「幸せを呼ぶ」と言われているため、観葉植物としても人気です。そこで今回は、ナギについて徹底解説! 本記事を参考に、ナギを大切に育ててみませんか?

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神社の境内で見かけるナギって?

➢ ナギは漢字で…?
「梛」「椥」「竹柏」など、さまざまな漢字で表記されますが、どれも読み方は「ナギ」。古来から日本国内で植栽されてきました。つややかな緑の葉が美しく、またスピリチュアルなパワーを宿しているというエピソードにこと欠かないことから、近年身近に楽しむ人が増えてきた木です。

➢ 熊野信仰と縁の深いナギ

古くは平安時代から神の宿る木とされてきたナギ。災厄をはらうと信じられ、人々の信仰を集めてきました。現在でも神社の境内などで見かけることが多く、奈良県春日大社のナギ林や和歌山県熊野・速玉大社の御神木としてのナギはとても有名です。熊野信仰と縁の深い樹木であり、各地にある熊野神社で目にすることも多いのではないでしょうか。

春日大社や速玉大社のナギは少なくとも樹齢1000年を超えると言われており、有史以前の古い時代に植栽されたものが定着したとの説があるようです。平清盛の嫡男・重盛の手植えと伝わる速玉大社のナギは、国の天然記念物にも指定されています。


➢ ナギの葉は丸いのに針葉樹!?
関東地方より西の太平洋側、四国、九州、南西諸島、台湾などに広く分布しているナギは、「マキ科ナギ属」の常緑高木。幅広で平たい葉を持つその姿はいかにも広葉樹ですが、植物学上では針葉樹として扱われています。庭木などでよく見かける「イヌマキ」に近い仲間とされ、以前は同じ属に分類されていましたが、現在では別の属に分類されるようになりました。

生育北限は関東南部とされ、暖かい地方の山地に自生しています。樹齢の長いものでは樹高25メートルに達するものもありますが、鉢植えで育てるとせいぜい2メートルほどで生育はストップします。寒い地域で育てる場合には、鉢植えにして暖かい室内で管理しなければ、寒さにやられて枯れてしまいます。

➢ ナギには雄株と雌株がある
ナギは「雌雄異株(しゆういしゅ)」となっており、雄株と雌株があります。5〜6月になると雄株には雄花が、雌株には雌花が咲きますが、葉の付け根にひっそりと咲く花はいずれも地味であまり目立たない存在です。雄株には黄色がかった白色の円柱状の花が1ヶ所に数個まとまって咲くのに対し、雌株では1ヶ所につきひとつずつの花が咲きます。

ナギは雄花の花粉が風によって運ばれ、雌花につくことで受粉します。受粉した雌株は直径1.5㎝ほどの丸い実をつけ、秋になるとこの実が青白く、表面に白い粉をふいたような状態に熟します。神社などにナギが植えられる際には、基本的に雄株と雌株の一対として植えられることが多くなっています。

➢ 近年ナギは観葉植物としても人気
神社・仏閣や史跡、景勝地を訪れてその霊験にあやかる「パワースポット巡り」が人気を集めていますが、植物にもその流れが波及したのか、「聖なる木」としてのナギは近年観葉植物としても人気を集めています。「せっかく育てるのだから、縁起のよい植物がよい」という考え方に基づく人気なのかもしれません。

聖なる木として大切にされてきた「ナギ」

➢ ナギは良縁を導く「縁結びの木」
ナギには特に花言葉などは設けられていませんが、ナギの葉は裂けにくいことから、「縁が切れない」縁起の良い木とされ、縁結びや夫婦円満の木としても崇められています。力を入れても裂けないことから「チカラシバ」「センニンリキ」などの別名も持ち、「ちぎれない=縁が切れない」として縁結びのお守りにされることもあるのです。

ナギの葉脈は独特で主脈を持たず、縦方向のみに葉脈が平行に走っています。そのため、縦に裂けば簡単に裂けますが、葉脈を断つ方向には力を入れて引っ張っても裂くことが難しいのです。古来、良縁や夫婦の縁の継続を望む女性は、手鏡の裏にナギの葉を入れて願をかけたと言われています。

➢ ナギ=凪で船乗りの信仰も集める

ナギは「凪(なぎ)」に通じるその樹木名から、航海の安全を司る木として船乗りたちの信仰も集めてきました。漁師や船乗りは海に出る前にナギの葉や実をお守りとして身につけ、航海の安全を願ったそうです。ナギを御神木としている熊野速玉大社が海の神、漁業の神であるのも無関係ではないかもしれません。

これ以外にも、ナギはすべての苦しみを「なぎ払う」、縁起のよい樹木、聖なる木として、古来から大切にされてきました。そんなナギにスピリチュアルなパワーを感じるとして、近年自宅にミニ盆栽や観葉植物として迎える人も増えているようです。

ナギに適した栽培環境って?

ナギは古くから日本列島に広く分布してきた樹木ですから、熱帯性の植物に比べると比較的国内の環境に合った植物です。とはいえ、日陰や極端に寒い場所などでは栽培に失敗してしまうことも。ナギを元気に育てるのに適した環境をご紹介しましょう。

➢ ナギは寒さが苦手!
もともと、暖かい地域に自生してきたナギは、寒さを嫌う植物です。北海道、東北や北関東などの地域では、地植えを避け、鉢植えにして冬季には室内で管理する必要があります。関東以南の暖かい地域では地植えも可能。強い霜に注意すれば、鉢植えを屋外で越冬させることも可能です。

発芽して1~2年程度の若い苗は特に寒さに弱く耐寒性が低いので、冷たい風にあたったり、凍結したりしないよう気をつけてあげましょう。観葉植物として市販されている苗は若い苗が多く、これらも寒さを嫌うので、ある程度大きくなるまでは室内での栽培に限定して楽しむのがよいでしょう。

➢ ナギを元気に育てたいなら日なたで
ナギは耐陰性も高く、日陰にもよく耐えることができる植物です。しかし、日光による光合成が十分でないと、生育に支障をきたすこともあります。常に日があたる場所である必要はありませんが、できる限り日なたで育てるのがナギを丈夫に元気に生育させる秘けつです。

室内で育てる場合も同様に、窓辺などできる限り日のあたる場所を探しておくようにします。気温が低くない時期には、日中ナギの鉢を外に出して日光浴させるという方法も有効です。

植え替え厳禁!ナギの地植えは場所を吟味

➢ 地植えのナギは移動させないこと
ナギは基本的に移植を嫌う植物です。地植えのナギを別の場所に植え替えても、根付くことはあまりありません。ナギを地植えする際には、1度植えたらその場所から植え替えることはできる限り避け、安定的に育ててやりましょう。

➢ ナギラクトンに留意した植栽計画を
また、ナギは他の植物の生育を抑制するナギラクトンという物質を分泌します。このため、ナギの周囲は、他の植物が生育しづらい環境となってしまうのです。ナギを植える際には、それに合わせた植栽計画を立てましょう。ナギがナギラクトンを分泌するような、植物の自己防衛行動をアレロパシー(他感作用)と呼びます。ナギラクトンには抗菌、抗炎症効果もあるため、アロマテラピーでも用いられています。

意外に簡単!?ナギに必要な日常の手入れは?

聖なる木として神聖な存在であるナギですが、特に難しい手入れを必要とする樹木ではありません。むしろ、手入れいらずで管理が簡単なので、ミニ盆栽や鉢植えでも気軽に楽しむことができるのです。ナギの日常的なケアについてまとめてみましょう。

➢ 地植えは雨水で十分、鉢植えは水やりを適度に
ナギを庭先など地植えで育てる場合には、特に水やりの必要はありません。雨水など自然に届く水分で、十分に生育できるからです。しかし、ナギを鉢植えで育てる場合には、適度な水やりが欠かせません。

水やりの方法としては、鉢土の表面が乾いたらたっぷりと与える基本的な方法でOK。もともと乾燥に強い植物なので、水やり不足よりむしろ与えすぎないように意識するのがよいでしょう。特に冬場は数日に1度程度に水やりを控え、水の与えすぎに十分注意しましょう。

➢ ナギは肥料なしでもよく育つ
ナギは特に肥料を与えなくてもよく育つ植物です。特別追肥を与える必要はありませんが、生育がよくないと感じたら、3〜6月の時期に少なめの液肥を追加しましょう。

➢ ナギは剪定も不要!?
放っておいても特に樹形を乱すことのないナギ。むやみに枝数を増やすこともなく、自然と樹形が整うので、剪定(せんてい)はあまり必要ありません。伸びすぎて空間に合わなくなったり、枝が込み入ってしまった場合に限り、適期である4月を選んで切り戻します。

➢ 鉢植えのナギは植え替え必須!
地植えのナギは植え替え厳禁ですが、鉢植えのナギでは根詰まりを起こしやすいので植え替えが必要です。1〜2年に1回、4〜5月にひとまわり大きな鉢に植え替えるようにしましょう。

➢ 害虫、病気も心配無用のナギ
ナギは害虫や病気の心配もほとんどない、大変丈夫で育てやすい木です。ごくまれに「テッポウムシ」の幼虫がナギの幹の内部に入り込み、食い荒らして木を枯らしてしまうことがある程度です。「テッポウムシ」が一度幹に入り込むと殺虫剤も届かないため、対処法がなくなってしまいます。とはいえ、「テッポウムシ」の被害はレアケースなので、過度に心配する必要もないでしょう。

基本は種から!ナギの増やし方

ナギは他の熱帯性観葉植物と異なり、挿し木や取り木などで気軽に増やすことは難しい樹木です。そのため、ナギを増やしたいと思ったら、種を採り、発芽させて育てるしかありません。ナギが実をつけるのは樹齢25年以上の成木に限られるため、自宅で育てたナギから種を採ることは難しいかもしれません。近所にナギが植えられた神社などがあれば、10〜11月ごろに熟した実がないか探してみるのもよいでしょう。

ナギの熟した実から種を採ることができたら、果肉部分を取り除き、すぐに清潔な土にまきます。あるいは、乾燥させないように保存して、翌春にまく方法もあります。種をまいたら1㎝ほど土をかぶせ、土を乾かさないように適度に水やりすれば、翌春には芽を出すでしょう。

発芽したばかりのナギの若い苗はとても寒さに弱いので、2年くらいはしっかり防寒して室内で管理します。

まとめ

樹齢1000年を超えるものも国内に多数存在し、国の天然記念物に指定されているものもあるナギ。古くから日本人に愛され、縁結びや航海の安全を願うお守りとしても大切にされてきました。聖なる力を宿すと言われる木「ナギ」を自宅にも迎えてみてはいかがでしょうか。

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