いつまでも豊かな暮らしを。老後を考えた動線づくり【我が家の暮らし #8】

歳をとっても好きなものに囲まれながら、豊かに暮らしたい。家は人生で長い時間を過ごす場所だから、今だけじゃなく将来の暮らしを見据えてつくりたいものです。そこで今回伺ったのは、神奈川県川崎市にある中古マンションをリノベーションしたHさんのお宅。デザイン性を大切にしながら、歳を重ねても快適に暮らすために心がけたことを伺いました。

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スケルトンを白く塗った、好きなインテリアが似合う空間

H邸 リビング 
Hさんお気に入りの家具店〔TRUCK〕の家具が似合うようオーダー。

80代のお父さまと2人で暮らしながら、こだわりの暮らしを実現したHさん。

中古マンションのリノベーションを選択した理由は、おしゃれな暮らしをしたかったというよりも、もっと現実的な問題があったからだと言います。

「シングルでの生き方を選択して将来設計をしたときに、歳をとってからの賃貸物件の借りづらさや、いつまでもワンルームの狭い部屋で暮らしていたくないという思い、毎月支払う家賃のことを考えると、マンション購入をした方がいいと思ったんです」(Hさん)

そして、せっかくお金を出すんだから内装も気に入ったものにしたいと、中古マンションのリノベーションを選択したといいます。

お部屋を見渡すと、家具や雑貨のひとつひとつが選び抜かれたものばかり。センスのいいセレクトショップのように洗練されていながら、リビングとダイニングには暖かな光が差し込み、ほっこりとした雰囲気もある居心地のいい空間に仕上がっています。

H邸 ダイニング

もともとインテリアショップで働いていたこともあり、“好きなもの”が明確にあるHさんの家づくりは、かなりスムーズに進んだそう。

「リノベーションをする時っていろいろ決めなければいけないんですけど、好きなものがはっきりしていたこともあってかサクサクと決められて......担当の方が感覚の合う人だったことも功を奏して、最短で終わらせることができました(笑)」(Hさん)

イメージがはっきりしていることで工期も延びることなく、工事中の賃貸料などの節約にもつながったといいます。そしてHさんが目指したのは、“老後を考えているけど老人向けじゃない家”。そのために心がけたことがあるといいます。

「同居している父が高齢であることも考慮に入れつつ、自分自身も歳をとったときに動きやすくなるように“動線”を大事にしながら考えていきました」(Hさん)

それでは、老後の暮らしやすさを考えながら、自分のセンスを存分に活かしたHさんのお家を見てみましょう!

料理が好きだから、キッチン収納にもこだわりを

親子そろって料理好きだというHさん。キッチンのカウンター部分は造作家具となっていて、収納スペースとして活用することができます。

造作のカウンターは、裏側部分が収納に。扉をつけずオープンにしています。

「造作の家具は一番お金がかかる部分だったんですけど、予算の関係もあって必要なところだけ引き出しにして、あとはオープンにしました」(Hさん)

苦肉の策だったそうですが、すてきな食器類を重ねてしまうことで見た目も美しく、みごとなまでの見せる収納になっています。

引き出し部分を深めに作ったことで、カップやグラスの収納も楽々。

引き出し部分は、背の高いカップやグラスを収納できるように深めにオーダーしたそう。

実際に引き出しからコップを取り出したりしまったりしてみると、その便利さに驚きます。

洗面台は脱衣所から独立させて、おしゃれに広々と使う。

洗練されたトリレタリーグッズを取り入れて、よりおしゃれに。

脱衣スペースに設置されることが多い洗面台。Hさんは脱衣スペースを広く取るために、洗面台を廊下に設置することを選びました。

「家に来てくれたお客さんにとって、手を洗うために人の家の脱衣所に入るのって抵抗感があったりする。でも廊下に洗面台があれば、ちょっと手を洗いたい時も気軽に使いやすいかな、というのもありました」(Hさん)

住む人のことはもちろん、家を訪れる人のことまでしっかりと考えられています。

立ち上がる時の手すりは、ディスプレイ棚としても活用

手すりの棚には洗剤も置けるため、床もスッキリ清潔に。

お父様の部屋からのアクセスもいいトイレスペースは、座るときや立ち上がる時の手すりとして使えるように、丈夫な棚を設置。ディスプレイ棚としても活用できるので、機能的でありながらおしゃれに仕上がっています。

玄関スペースを広々とって寝室と地続きに

玄関と寝室はモルタルで地続きというユニークなつくり。

「玄関が狭いと、部屋全体が狭く感じるから」と、玄関スペースは贅沢に広々と取っています。さらに床のモルタルは、Hさんの寝室と地続きになっています。

「寝室のスペースをどう取るかや、予算の兼ね合いを考えていくなかでデザイナーさんが提案してくれました。玄関のモルタルと寝室と地続きにすることで、床材をはらなくて済むから予算が浮くし、外国のお家っぽさもでる。これはいいなと思って取り入れました」(Hさん)

寝室はこぢんまりとした海外のアパートのようにおしゃれな雰囲気。

「床がモルタルで寒くないの? って友達に聞かれることがあるんですけど、ベッドは高めのものを使っているし、床に座って生活をするようなスペースでもないので、そこまでデメリットは感じないです。秘密基地みたいで落ち着きます(笑)」(Hさん)

コンパクトにまとめられた居心地のいい寝室の奥には、クローゼットも設置。玄関と行き来しやすいので、身支度もスムーズにできそうです。

周りの環境も考慮に入れて、将来も快適に

快適に暮らせるお家を手に入れたHさん。〔nuリノベーション〕に物件選びからサポートしてもらったことで、現在の理想的な物件に出会うことができたそう。

「神奈川県って坂が多いんですよ。歳をとって足腰が弱くなった時のことを考えると、都心へのアクセスもよく、駅近で坂の影響が少ないこの物件に出会えたのはよかったです」(Hさん)

と、周辺の環境の良さも気に入っている様子。自分好みの環境で、自分好みのインテリアに囲まれながら暮らすことが、すてきに歳を重ねていくことに繋がるのかもしれません。

●取材協力 nuリノベーション(運営会社:株式会社ニューユニークス)
●テキスト 宇治田エリ
●写真 土佐麻理子

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