火災保険の新築での選び方と節約のポイントは?【専門家監修】

家を建てるときには加入がマストともいえる火災保険。しかし、いろいろありすぎてよくわからないと感じている方も多いのではないでしょうか。新築するにあたって、初めて火災保険を選ぶという方もいるかもしれません。そこで今回は、新築の火災保険の相場から選び方、節約のポイントまでを伝授します。これを読めば、もう火災保険選びに迷うことはなくなるはずです。

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このアイデアの監修者

清水みちよ
学生時代にアジア滞在中、現地で感染症を患い生死をさまよう。奇跡的に生還するも保険の大切さを痛感し、卒業後は保険の代理店窓口等で働く。趣味は懲りずにアジアの発展途上国を訪れて刺激をもらうこと。犬好きのアラフォー女子。

新築の火災保険料の相場はいくら?

新築の場合の火災保険料

火災保険料は、家の構造やつける特約(火災補償以外の補償)、契約年数によって変わります。10年契約の場合、基本的な火災保険のみでおよそ4~8万円、特約を全てつけた場合はおよそ9~30万円になります。

マンションの場合は保険料が安くなりますが、一戸建ての木造建築では、補償の内容によって30万円以上になることも珍しくありません。1年契約の場合は、これのおよそ10分の1になります。

保険料は、「建物の構造」と「補償の内容」によって決まります。それぞれ見ていきましょう。

建物の構造

建物の構造とは、形ではなく、耐火性のことを指します。耐火性が高ければ高いほど、火災が起きる可能性は低く、起きても被害が小さいと考えられます。そのため、火災保険料も安くなるのです。

マンションは、M構造といって、最も耐火性に優れた構造になっています。

一方、一戸建てには2種類の構造があります。ひとつが、T構造で、鉄骨やツーバイフォー住宅がこれに当たります。一戸建ての中でも、比較的耐火性の高い構造です。

もうひとつがH構造で、木造建築が相当します。耐火性がない、もしくは著しく低いため、保険料も一番高くなります。ただし、H構造の建物でも、「省令準耐火」が認められるものであれば、T構造と同じ保険料が適用されます。

省令準耐火とは、木造であっても、一定の基準を満たしたものに認められる耐火性能です。屋根や壁などに細かい規定がありますが、工務店に尋ねればすぐにわかります。保険料が大きく変わってくるので、木造住宅の場合は、保険を契約する前に一度確認しておきましょう。

補償の内容

火災保険は、火災や落雷、破裂・爆発といった被害の補償をしてくれる保険です。しかし、それ以外にもさまざまな補償をオプションでつけられるのです。このオプションを特約といい、契約者が自由に選べます。

火災保険の特約には次のようなものがあります。

●水災(洪水や土砂崩れなど)
●風災・雹災・雪災
●水濡れ・物体落下・衝突・デモなどの集団行為による破損
●盗難

また、家屋だけでなく、家財にも補償をつけられます。家財の補償額も契約者が決められます。特約をたくさんつけて、家財にも多くの補償をかければ、それだけ保険料は高くなりますから、必要な補償をしっかりと見極めたいところです。

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新築の火災保険を選ぶときのポイント

複数の保険会社を比較検討する

保険料や補償内容は、保険会社によって異なります。住宅ローンを組むときに特定の火災保険をおすすめされることもありますが、それに加入しなければいけないわけではありません。同じ内容で数万円違うということもあるので、同じ条件で見積もりをとり、しっかりと吟味して選びましょう。

建物の補償金額は「新価」で設定

火災で建物が被害を受けたときの補償額の計算方法には、「時価」と「新価」の2種類があります。時価は、火災が起きた時点でのその建物の評価額で、建物の新築時の価額から、経年劣化した分を差し引いた金額です。簡単にいうと、中古の値段ということですね。

新価は、再調達価額などとも呼ばれます。これは時価とは違い、経年劣化の分は差し引かれません。「新」、「再調達」とあるように、同じ家をもう一度建てるために必要な金額が補償されます。

時価に設定してしまうと、保険金だけでの家の建てなおしはできないということになってしまいますから、新価での契約をおすすめします。

費用保険金は含まれているか

火災が起きたときに必要となるのは、家の建てなおし費用だけではありません。家に住めなくなったときに一時的に宿泊するホテル代や、火災後の片付け費用などもかかります。
それを補償してくれるのが、費用保険金です。

はじめから火災保険にセットされていることもありますが、保険会社によっては、追加で選択しなければ補償が受けられません。保険料が安いと思ったら、実は費用保険がついていなかったということもあるので、確認した上で、これを含めた価格で比べるようにしましょう。

家財保険に入るかどうか

火災保険の主な補償対象は、建物の損害です。ですから、家財に関しては保険をかけるかどうか、かけるとしたら補償額はどのくらいに設定するかを決めなくてはなりません。

家財には、テレビや冷蔵庫などの家電、テーブルなどの家具、カーテンや洋服、自転車なども含まれます。一切を失ってしまうと買いそろえるにはそれなりのお金がかかりますから、家財保険はつけておいたほうがよいでしょう。補償額の上限は、契約時に持っている家財の合計金額になります。あとから高級品に買い替えたとしても補償額には反映されないので、その点は注意しましょう。

上限までの範囲であれば補償額は自由に設定できます。火災後に生活を建てなおすにはどの程度必要なのか、保険料とも相談しながら決めることになります。

その他の補償(特約)はどうするか

前の章でも解説したように、火災保険には、火災以外にもさまざまな補償がつけられます。

最近は異常気象などで水災や風災は身近なものになっていますし、雹災や雪災も珍しいものではなくなりました。ハザードマップやその土地の気候などを調べ、少しでも危険性があるものはできるだけつけるようにしましょう。

衝突やデモ、盗難などは、その地域の交通事故や事件について調べると、必要かどうか判断するヒントになるでしょう。当然、特約をつけるほどに保険料は高くなります。安心のためにはケチらずつけることが大切ですが、不要と判断できるものは思い切って外すことも重要です。

また、特約は、保険会社によって分け方が少しずつ違います。A社の場合、必要な特約をつけると不要なものもついてきてしまうけれど、B社なら必要なものだけつけられるということもありますから、そうした点も細かく調べられるとよりよいでしょう。

火災保険保険料を安くするポイント! 新築の火災保険

長期契約で一括払いする

補償内容はそのままに、保険料を節約する方法が、長期契約での一括払いです。火災保険の支払い方法は、一括払い、年払い、月払いなどがあります。また、契約年数に関しても、1年などの短期のものから、最長10年(※)までと幅があります。

保険料を節約するためには、10年契約での一括払いがおすすめです。10年分を一括払いすると、年払いや1年ごとの契約に比べて、20%近くもお得になるのです。一度にまとまったお金を用意しなくてはならない、10年間は契約の見直しができないといった点はデメリットともいえるかもしれませんが、それが問題なければ、選ばない手はないでしょう。

※2014年9月までは、最長で35年の契約が可能で、長期一括払いでの割引率もさらに高いものでした。自然災害の増加を受けて、同年の10月より、契約期間は最長10年に短縮されています。

不要な特約を外す

雪の降らない地域で雪災は起こり得ないように、特約の中には明らかに不要なものもあるでしょう。特約をつけていくと、数万円、場合によっては何十万円もの違いが出てくるので、不要なものは外して節約しましょう。

補償額(保険金)を減らす

受け取れる保険金の額を減らせば、その分保険料は節約できます。安易な判断は危険ですから、最低限どのくらいあれば生活が立て直せるのか、きちんとプランニングした上で、決めましょう。

もし減らすとしても、建物の評価額の80%以上は確保しておくようにしましょう。これより少なくなると、多くの保険会社では、「実損払い」での補償が受けられなくなります。実損払いとは、契約した補償額を上限に、損害を受けた全額が補償されるものです。もし80%を下回る契約だと、損害の全額が補償されないことになってしまいます。

新築の火災保険を選ぶときは、以下のポイントをおさえよう

火災保険を選ぶときのポイントをまとめると、以下のとおりです。

●建物の構造(耐火性)によって金額が大きく変わる
●建物の補償額は「新価」を選ぶ
●費用保険がついているかどうか
●家財保険はつけるかどうか
●特約はつけるかどうか
●支払いは10年一括払いがお得

これらをきちんと決めた上で、複数の保険会社で、同じ条件で見積もりをとりましょう。保険会社によって大きく節約できることもあります。賢く選んで、安心と節約を両立させたいですね。

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