火災保険に対する質権設定とは?質権設定のメリット・デメリットを解説【専門家監修】

住宅ローンを借りて物件を購入した場合は、火災保険への加入が必須になっています。中には、その火災保険に質権を設定するのが条件になることもあります。質権とはどのような権利で、質権設定とは誰にメリットがある制度なのでしょうか。近年、質権設定は減少傾向にあり、質権設定されない方が一般的になっています。質権設定によるメリット・デメリット、質権設定が減少した背景について解説していきます。

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この記事の監修者

金指 歩
法学部政治学科出身・元信託銀行勤務のフリーライター・ブックライター。神奈川県出身。FP3級を大学在学時に取得。金融系全般、女性のライフスタイルをテーマとした記事を中心に執筆している。

質権・質権設定とは

まず「質権」とは、お金を貸している債権者が、お金を借りている債務者から受け取った担保(物品や権利など)を、債務の返済が完了するまで保管する権利のことです。もしお金が返済されない場合は、担保を売却するなどして優先的に債務の弁償を受けることができます。

火災保険の「質権設定」とは、住宅ローンを貸した金融機関が、住宅ローンを借りた顧客の火災保険に対して質権を設定することを指します。質権を設定した場合、火災保険の保険証書は金融機関が保管します。

価値のある品物を質に入れることでお金を借りられる「質屋」のシステムをイメージするとわかりやすいでしょう。

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火災保険に質権設定する理由

金融機関が火災保険に質権を設定する理由は何でしょうか。それは、貸し付けた住宅ローンをきちんと返済してもらうためです。

もし、住宅ローンを利用して購入した物件が火災で全焼・倒壊する、物件に泥棒が入って金品が盗難されるなどの被害に遭った場合、住宅ローンを借りた顧客は金銭的被害を受けます。

その結果、顧客が住宅ローンを返済できないまま夜逃げしたり、自己破産したりと、借金を踏み倒す可能性が出てきます。

貸し付けたお金が返済されないことを金融機関はとても嫌うため、火災保険に質権設定をして万が一の場合には保険会社から下りる保険金を確実に受け取れるようにしているのです。

質権設定のメリット・デメリット

火災保険に質権設定することで金融機関にメリットがあることはわかりましたが、保険を契約する側にとってのメリット・デメリットとは何でしょうか。

質権設定のメリットとは

質権設定によるメリットはあまり多くありませんが、強いて言えば2つあります。

質権設定のメリット①

1つ目は、住宅ローンの返済をスムーズに行えることです。火災などのトラブルにより資金不足に陥ったとしても、火災保険の保険金が下りて、住宅ローンの返済に自動的に充ててもらえます。さらに、すぐに返済に充てることで本来かかったはずの利息もカットできるので、資金の節約にもつながります。

質権設定のメリット②

2つ目は、万が一の際に相談できる相手がいることです。火災保険証書を金融機関に預けている関係で、火災などの被害を受けたら金融機関担当者に連絡して指示を仰ぎます。面倒な反面、万が一のときに頼れる相談者がいるという安心感にもつながります。

質権設定のデメリットとは

質権設定によるデメリットも、2つ挙げられます。

質権設定のデメリット①

1つ目は、火災保険の内容変更が自由に行えないことです。もし火災保険の補償内容を変更しようと思ったら、債権者である金融機関の同意が必要になります。

どの火災保険に加入するかは本来なら顧客の自由ですが、金融機関によってはその事実を伝えず、提携している保険会社の火災保険に加入させようとすることもあります。そのことに後から気づいても、あなたは契約内容を自由に変更できません。加入する火災保険の内容は、最初から満足の行くものを選んでおくと良いでしょう。

質権設定のデメリット②

2つ目は、万が一のときに保険金を当てにできなくなることです。火災などで自宅が被害を受けたときには、仮の住まいを契約したり、なくなった生活必需品を購入したりと、緊急でお金が必要になるケースも多いです。

しかし質権が設定されていると、下りた保険金はまず住宅ローンの支払いに充当されてしまうため、本当に必要な緊急の用途にお金が使えず、生活に不便を感じることがあります。

質権設定の手続き方法

質権設定の手続きには、火災保険の契約に加えて、「質権設定承認請求書」という書類が必要です。

保険会社所定の質権設定承認請求書に、契約者・被保険者・質権者を記名・捺印して、保険会社に提出します。保険会社や金融機関の指示に従って手続きをしましょう。

最近、質権設定が減った背景とは

最近は、質権設定を行わない金融機関が多くなっています。その理由は3つあります。

質権設定が減った背景①

1つ目は、予定していた利息を受け取れなくなるからです。

火災保険に質権設定をすると、住宅ローンの貸し倒れが防げるという利点がある一方、住宅ローンの利息を受け取れなくなるというデメリットも存在します。火災などのトラブルがあっても、顧客が返済をきちんと行えるならば、予定通りに住宅ローンを貸したままにして予定していた利息まで受け取った方が、金融機関の利益は大きくなります。

そのため、最近では質権設定を行わず、火災保険の保険金を顧客に受け取らせ、その中から予定通りの返済をしてもらうという金融機関が一般的になりました。また、質権設定をした場合でも、質権を行使せずに、保険金を顧客に送金させる金融機関も多いです。

質権設定が減った背景②

2つ目は、火災保険の設定期間が短期化されたからです。

以前は、火災保険の加入期間は36年という長期で加入できる商品でした。しかし、2015年10月より、火災保険は最長10年と短期化されました。

もちろん10年ごとの自動更新制度はあるため、結果的には住宅ローンの返済が終わるまで加入しているケースが大半ではありますが、この期間変更をきっかけに、質権設定をやめた金融機関があるのも事実です。

いまだに質権設定をしている代表例は、住宅金融支援機構の「フラット35」ですが、実際に質権設定するかどうかは、取扱金融機関によって異なります。

ちなみに、2015年10月の制度改正は、東日本大震災の影響が大きいです。東日本大震災では、甚大な被害となったために多額の保険金が支払われました。その結果、従来の長期火災保険の保険料では今後保険金を賄えない可能性が出てきました。

そのため、加入期間を短期化して火災保険にかかる総額を抑えつつ、単月当たりの保険料を増額させることで、保険料を確保するようにしたのです。要するに、火災保険料の値上げが行われたということです。

質権設定が減った背景③

3つ目は、質権設定をしても貸し倒れする可能性があるからです。

万が一災害に遭ったときに十分な保険金が下りるかどうかは、質権設定の有無ではなく、火災保険の補償内容が充実しているかに左右されます。もし補償内容の薄い火災保険だった場合、そもそも保険金が少ない、もしくは受け取れない可能性が高いです。

質権設定と、住宅ローンの貸し倒れリスクの軽減化は、相関関係が低いという判断から、質権設定をしない金融機関が一般的になりました。

火災保険の質権設定よりも、火災保険の内容が大事

以前は、金融機関は火災保険に質権設定をすることで、火災などのトラブルによる住宅ローンの貸し倒れを防いでいました。しかし、東日本大震災をきっかけに火災保険制度自体が見直される中で、質権設定の有効性の低さが露呈し、質権設定をする金融機関は減少していきました。

大切なのは、十分な補償内容の火災保険に加入しておくことで、あなたと金融機関を守ることです。納得できる火災保険に加入して万が一のトラブルに備えましょう。

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