
【専門家監修】雪害にあったら補償される?火災保険の保険金を受け取る方法とは
急な豪雪や雹(ひょう)などの雪害で、大切な物件が被害を受けることがあります。このとき、火災保険は適用されるのでしょうか。豪雪地帯ではない場合、雪害の被害を考慮せずに火災保険に加入していることも多いと思います。もし万が一雪害に遭ったときのために、その対応方法について解説していきます。自身の加入している火災保険の内容を見直す際に参考にしてください。
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雪害は火災保険の対象に含まれる?
雪害・雪災とは、大雪や雪崩、降雹(ひょう)などによる被害や災害のことです。
雪害は、火災保険の対象に含まれます。加入している火災保険のサービス内容によって補償範囲は異なりますが、雪や雹によって建物や家財が被害を受けた場合には、「風災・雹災・雪災による損害」として補償対象になります。
一般的に「風災・雹災・雪災」はセットとなっており、雪災だけを補償対象にすることは原則できません。
また、建物部分と家財部分の両方とも火災保険をかけていれば、建物部分と家財部分に対する被害はどちらも補償されます。しかし、建物部分のみに火災保険をかけている場合は、もし家財部分が被害を受けたとしても補償対象外になりますので、ご注意ください。
雪害と認定されるには
雪害として認定されるためには、「豪雪」や「雪崩」といった異常気象によることが大前提です。通常の降雪で、近隣の住宅が特に被害を受けていないのに、あなたの住宅だけが被害を受けた場合は、住宅の自然劣化と見なされて雪害と認定できない可能性があります。
また、災害として認定する基準は地域差によって異なります。例えば、5cmの積雪があったとします。大雪がよく降る北海道では住宅が大雪に耐えられる仕様になっているので特に問題ありませんが、めったに降らない東京都では、たった5cmの積雪でも被害が出てしまうことがあります。このような地域差と被害状況を総合的に判断して、災害認定は行われています。
雪害補償が適用されるケース・されないケース
大雪による被害にはさまざまケースがあり、場合によっては、雪による被害なのに雪害補償が適用されないこともあります。雪害補償が適用されるケース・されないケースについて説明していきます。
雪害補償が適用されるケース
雪害が適用されるケースは、以下のような場合です。
・大雪や降雹で屋根が壊れた
・積雪の圧力で窓ガラスが割れた
・雪の重みで車庫、物置、アンテナ、雨どいなどが壊れた
・大雪で積もった雪が落下して給湯器、室外機などが壊れた
・隣の住宅からの落雪で、自宅の壁や塀が壊れた
・雪崩により建物の外壁が破損し、室内に流れ込んだ雪で家財が破損した
雪害が適用されるのは、保険に加入している建物部分・家財部分に対する被害のうち、積雪や積もった雪の重みによって建物や建物に付随した施設、家財が破損した場合です。隣の住宅に積もった雪が原因で自宅が破損した場合も対象になります。
雪害補償が適用されないケース
雪害補償が適用されないケースは、以下のような場合です。
・自宅の屋根に積もった雪が落ち、隣の住宅の屋根や窓を壊した
・積雪の重みで車庫の屋根が落ち、車のフロントガラスが割れた
・雪解けによる洪水や地すべりで、住宅の一部が壊れた
自宅に積もった雪が原因で隣の住宅に被害が及んだ場合、その被害は補償対象外です。隣の住宅で加入している火災保険で補償してもらうことになります。
ただし、明らかに落雪の危険があるのに雪かきを怠ったなど、あなたに明らかな過失がある場合には、損害賠償を請求される可能性があります。雪かきなど、できることは常日頃から行うことが大切です。
雪による被害でも、車は家財に当たらないため、火災保険の補償対象外となります。
雪が解けた水による被害は、雪害ではなく「水害」の対象になります。これを補償したい場合は、「水災」の補償に加入することが必要です。
雪害補償の自己負担金額における2つの方法
以前の火災保険には「風災・雹災・雪災」補償も必ず付帯されていましたが、最近では、不要な補償を外すことで、保険料をコントロールできる火災保険が増えています。そのため、「風災・雹災・雪災」補償は必ずしもついているわけではなく、基本補償の「火災、落雷、破裂・爆発」に追加する形になります。
雪害補償はどの程度保険金がもらえるのでしょうか。
火災保険の商品には、「風災・雹災・雪災」の補償に「自己負担額設定」をするものがあり、被害を受けた際に下りる保険金額が変わってきます。
自己負担額の設定は、「フランチャイズ方式」「免責方式」という2種類があります。
フランチャイズ方式
フランチャイズ方式とは、受けた被害額が設定金額以上になったら保険金が支払われるものです。一般的な設定金額は20万円です。被害額が20万円以上なら保険金が支払われますが、被害額が20万円未満だと、保険金は1円も支払われません。
建物部分が大きく損壊した場合は、まず問題なく保険金を受け取れると思いますが、家財の一部が破損した場合や、車庫の屋根の一部が壊れた場合などは、20万円に満たずに保険金がもらえない可能性があります。
フランチャイズ方式は古くからある制度のため、以前に長期契約の火災保険に加入された方は、自動的にフランチャイズ方式を適用されていることがあります。
免責方式
免責方式とは、火災保険加入時に、自己負担金額を複数のコースから設定し、被害を受けたときは、被害金額から自己負担金額を差し引いた保険金が支払われるものです。免責方式による保険金額は、以下の数式で算出されます。
※被害金額-自己負担金額=実際に支払われる保険金額
以前は、フランチャイズ方式の方が主流でしたが、最近では、確実にいくらかの保険金が受け取れる免責方式の火災保険が増加しています。
なお、現在加入している火災保険がどちらの方式なのか知りたい方は、保険証券や加入時の書類を見て確認しましょう。
雪害補償のある火災保険に加入するメリット・デメリット
最近では、雪害補償をつけるかどうかは選択性になっています。雪害補償のある火災保険に加入するメリットとデメリットを整理したいと思います。
雪害補償のある火災保険に加入するメリット
雪害補償のある火災保険に加入するメリットは、万が一雪害による被害を受けても、保険金が下りることです。フランチャイズ方式では保険金が下りない可能性がありますので、確実に補償を受けたい場合は、免責方式の火災保険に加入することをおすすめします。
豪雪地帯に住んでいる方、日頃雪は少ないものの、降ったときに積もりやすい地域に住んでいる方、物件を新築したばかりで補償を十分につけておきたい方、貯蓄が少なく万が一の際の備えが欲しい方などは、加入しておくとメリットがあるでしょう。
雪害補償のある火災保険に加入するデメリット
雪害補償のある火災保険に加入するデメリットは、保険料がより高くなることです。
とある火災保険の「火災、落雷、破裂・爆発」の基本補償部分の保険料が19,500円のとき、「風災・雹災・雪災」補償をつけるとプラス11,000円、合計で30,500円と、基本補償部分だけの保険料よりも1.5倍程度に増加します。
保険料をなるべく低く抑えたい方、雪害がほぼ存在しない地域の方は、加入するメリットは少ないでしょう。
雪害も補償付きの火災保険なら保険金を受け取れる!
大雪などの雪害は甚大な被害を及ぼすことがありますが、雪害補償つきの火災保険に加入しておくことで、万が一の際に保険金を受け取ることができます。雪害の可能性がある地域のお住まいの方を中心に、加入を検討してはいかがでしょうか。
このアイデアの監修者
金指 歩
法学部政治学科出身・元信託銀行勤務のフリーライター・ブックライター。神奈川県出身。FP3級を大学在学時に取得。金融系全般、女性のライフスタイルをテーマとした記事を中心に執筆している。
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