「屋根貸し」でおこなう太陽光発電とは?導入のメリットと対象物件について解説!
節電や省エネに対する意識の高まりとともに、所有物件にソーラーパネルを設置して太陽光発電を導入する取り組み事例が増加しています。しかし当然のことですが、ソーラーパネルの設置工事には相応の費用がかかります。こうした負担を解消する設置方式として注目されているのが「屋根貸し」です。本記事では、屋根貸しについての基本的説明のほか、屋根貸しのメリット、対象となる物件について紹介していきます。
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業者に屋根を貸し、賃料を受け取るサービス「屋根貸し」
屋根貸しとは、太陽光発電の施工工事を請け負う業者に物件の屋根を貸すことで、ソーラーパネルなどの設備を設置してもらうというサービスです。
物件の所有者は、屋根を貸す代わりに施工業者から賃料を受け取ることができます。また業者によっては賃料の代わりに安価な電力供給を特典として提供しているところや、ソーラーパネル設置時に屋根のリフォームを無償で請け負うところも存在します。
賃料の価格決めには、大きく分けて以下の2つがあります。
【方法1:面積あたりの賃料単価から価格算出をおこなう】
1つ目は面積あたりの賃料単価から価格算出をおこなうというものです。単価設定は施工業者ごとに異なる数値が採用されていますが、東京都の場合を取り上げると、1㎡あたり100円から300円程度の範囲内で設定されることが一般的です。もちろんこれ以上の高単価で設定している業者も存在し、なかには700円を超える価格設定を採用している業者もいます。
さらに業者によっては、賃料が発生する屋根部分を「屋根全体」とみなすケースと、「パネルの設置箇所のみ」とするケースがあります。どちらの計算方法を業者が採用しているかによって賃料収入が変化しますので、契約前にきちんと確認しておきましょう。
【方法2:売電収入のうち一定程度を賃料とする】
2つ目は、太陽光発電によって業者が得た売電収入のうち一定程度を賃料とする、という方法です。
この方法を採用した場合、賃料は売電収入の変化に直接影響を受け、年間を通して変動することになります。賃料収入が安定しないというデメリットはありますが、一方で、夏場など発電量が多くなる時期には賃料収入も増加する可能性もあるのです。
ここで紹介した2つの方法のうちどちらを選ぶかは、物件所有者と事業者の間で相談して決めることになっています。
屋内の保冷効果や屋根の保守も期待できる
屋根貸しのメリットは、賃料が受け取れるというだけではありません。ほかにも以下のようなメリットがあります。
【メリット1:非常時の電源が確保できる】
屋根貸しをおこなうことにより、住宅所有者は災害時の非常電源を簡単に確保できるようになるという利点があります。太陽が出ている昼間の時間帯であれば、地震により停電が発生した場合でも、電力復旧を待たずに電気を使用することが可能になるのです。
【メリット2:保冷効果が期待できる】
屋根貸しではソーラーパネルが屋上に降り注ぐ太陽光を防ぐため、屋内を涼しい気温に保つ保冷効果も期待できます。
パネルがあることでエアコンなどの冷房器具を使用した際の冷却効果を向上させるため、結果的に電気代を抑制することに繋がります。もっとも大きな保冷効果が期待できるのは金属製の外壁材でできた屋上に設置した場合ですが、コンクリート製の外壁材でも十分な効果が見込めるでしょう。
【メリット3:屋根の劣化速度が遅くなる】
屋根貸しをおこなうと屋根の大半がパネルで覆われることになりますので、直射日光による外壁の傷みを抑えられます。また、雨や風などによる屋根へのダメージも防ぎ、屋根の保守に役立つのです。
屋根貸しは、十分な物件規模と日射量が条件
メリットの多い屋根貸しですが、一方で実際に屋根貸しをおこなうためには、所有物件がいくつかの条件を満たしていなければなりません。
【条件1:十分な太陽光パネルを設置できるスペースを確保できること】
1つ目は、十分な太陽光パネルを設置できるスペースを屋上に確保できることです。
基本的に屋根貸しは、公共施設や工場、倉庫、大型分譲マンションを対象としています。そのため、残念ながら一般的な大きさの個人住宅は、屋根貸しの対象外となります。
【条件2:日照条件や立地条件が太陽光発電に適していること】
2つ目は、物件屋上の日照条件や立地条件です。
たとえば昼間の時間帯に屋上の広い範囲にわたって影ができるような物件、あるいは、屋根が北の方角を向いている物件では、施工業者が工事を断る可能性があります。
また、物件の立地場所が台風や豪雪による被害を頻繁に受ける地域の場合にも、太陽光発電システムの故障リスクが高いため、業者は屋根貸しを避けたがります。
【条件3:契約中に屋上を再塗装する予定がない】
3つ目は、屋上の外壁材に金属が用いられている物件に限定されますが、屋根貸し施工業者との貸借契約期間中に屋上を再塗装する予定がない、ということです。
貸借契約期間中に塗装をする場合、そのたびに太陽光パネルの取り付けと撤去をおこなわなければならなくなり、業者にとって負担が大きくなります。そのため業者はあらかじめ必ず屋上のメンテナンス状況をチェックし、場合によって屋根貸しはできないと判断する可能性があります。
まとめ
屋根貸しをおこなうことにより、物件所有者は普段使わない屋上を有効活用して収益を上げられるほか、建物を保冷することなども可能になります。物件規模などいくつかの条件をクリアしていなければなりませんが、太陽光発電の導入を検討している人にとって、屋根貸しは一考の価値ある選択肢だといえるでしょう。
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