夜間には使えない太陽光発電。日中に発電した電力を夜に使う方法ってあるの?
太陽光発電システムは、太陽のエネルギーを電気に変換して発電するシステムです。それでは、太陽光のない夜は、太陽光発電で作った電気を活用することはできないのでしょうか? 今回は、太陽光発電で発電した電気を一般家庭でもっとも需要の多い夜間に使う方法や、蓄電池の選び方をご紹介します。
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太陽光発電システムは、夜間には起動しない
まず、電気と太陽光発電システムの仕組みを簡単にご説明しましょう。
電力には、主に2つの種類があります。1つは、乾電池のように電気の大きさや向きが一定の「直流」電力、もう1つは、電気の大きさや向きが波のように規則正しく入れ替わる「交流」電力です。
電気の大きさ・向きが1秒間に入れ替わる回数(波の数)を、周波数と呼びます。一般家庭で使われている電力は交流で、周波数は地域によって50hzか60hzです。
太陽光発電システムにおいてはまず、「太陽電池」が、日光のエネルギーを「直流電力」に変換して発電します。そして、発電された電力は「パワーコンディショナー」により、一般家庭で使用できる「交流電力」に変換されます。
つまり、太陽光発電システムを利用して一般家庭で電気を使うためには、エネルギー源となる太陽光が必要なことはもちろんですが、直流から交流に変換させるパワーコンディショナーの働きも欠かせないのです。
それでは、太陽光のない夜は発電できないのでしょうか? 実は、月光があれば、電気を作り出すこと自体は可能です。しかし、一般的な家庭用パワーコンディショナーの起動電圧(起動するのに必要な最低限の電圧)は、50~100Vほどです。
もっとも起動電圧が低いタイプを利用するとしても、月光による発電では、パワーコンディショナーを起動させるほどの電圧が得られません。つまり、太陽光発電システムを使って作った電気は、夜間は使えないと結論づけることができます。
家庭で電気の需要が多いのは太陽光発電システムが起動しない夜
太陽光発電システムによる発電量は、1日のうちでどのように変化するのでしょうか? 太陽光発電による発電量を大きく左右しているのは、日射量です。そのため、季節や天候にもよりますが、快晴時には、正午頃を中心に発電量がもっとも多くなり、その前後は、正午頃を頂点とする山の形に変化します。11時から13時までの間に、1日の総発電量のうち約4割もの電力が発電されていることになります。
それでは、1日のうちでもっとも電力を消費する時間帯はいつでしょうか? 一般的な家庭で消費される電気の約4割は、冷暖房機器、冷蔵庫、照明、テレビの使用によるものです。電気の使用量も季節や時間帯によって変わり、特に夏や冬は、冷暖房機器を使用するために消費電力量が増えます。
一般家庭では、起床してから消費電力が上がりはじめ、朝食や身支度をする時間帯にたくさんの電力を使いますが、その後、日中はあまり電力を消費しません。そして、19~21時頃、夕食から夕食後のだんらんの時間帯に、もっとも電力を消費するようです。
日中留守の家庭では、在宅している朝と晩の時間帯にまとめて電力を消費し、留守中の電力消費は冷蔵庫の使用くらいになります。しかし、昼間在宅の家族がいる場合でも、昼間留守の場合でも、消費電力の推移パターンに大きな変化はありません。いずれの場合も、特に夜は、照明やテレビなどの家電を使用する機会が増えるため、より電力消費量が増えます。
太陽光発電による発電量のピーク時は正午頃なのに、その頃の家庭での電力需要はあまり大きくありません。一方、一般的に家庭での需要が増える夜には、太陽光による発電を期待できません。家庭でもっとも需要が増える夜に、太陽光発電を活用する方法はないのでしょうか?
蓄電池があれば夜でも太陽光発電システムを活用できる!
蓄電池とは、電気を蓄えたり放出したりできる装置で、繰り返し使用が可能です。充電式電池や自動車のバッテリーなどをイメージすると、わかりやすいでしょう。蓄電池があれば、太陽光発電が起動しない夜間や雨の日にも、日中や晴れの日に蓄えておいた電力を利用して電気が使えます。そのため蓄電池は、災害時や停電時などの非常用電力としても注目されています。
また、蓄電池には、太陽光発電システムで発電した電力はもちろん、電力会社から購入した電力も蓄えることができます。電力会社は一般家庭だけでなく、業務用や産業用にも電力を供給しており、それら全体の電力供給のピークは、13~16時頃となります。そのため、もっとも電力が必要な昼間は電気代が高く、あまり需要のない深夜は電気代が安く設定されているケースが多いのです。
蓄電池を持っていると、電気代が安い深夜に電気を購入して蓄電池に蓄え、昼間に太陽光で発電した電力は電力会社に売る、といったことも可能になり、電気代の節約につながります。
蓄電池に蓄えられる電気の量は「蓄電容量」によって、蓄えた電気を同時にどの程度使用できるかは、「定格出力」によって決まります。ご家庭の電気使用状況や用途に合わせて選んでください。
一方で、蓄電池の種類によっては「ダブル発電」とみなされ、太陽光発電で作った電力の売電価格が下がってしまうものもあるため、注意が必要です。そのほか、価格だけでなく、充電時間や連続使用時間、保証などもしっかりと確認して購入しましょう。
まとめ
今回は、日中に太陽光を使って発電した電力を、家庭でもっとも電力需要の多い夜に使う方法をご紹介しました。最近では、太陽光発電システムと合わせて、蓄電池も購入されるケースが増えています。2つの設備を有効活用して、電気代の節約にもお役立てください。
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